軽~いコメディタッチのサスペンスものは、あまり重い内容の本に手が伸びない時のボクの強い見方です。何気ない気持ちで読んでいるつもりでも、このパーネル・ホールさんの本はついつい引き込まれていきます。「探偵になりたい」から始まった、スタンリー・ヘイスティングスを主人公とする探偵モノはすでにシリーズ化されていますが、今回紹介する作品が初代のモノです。全シリーズ通して、さえない探偵のヘイスティングスがイヤイヤながら事件に巻き込まれていく展開は、当たり前のようで、面白い。ボク等と同じ一般人目線で犯人を探すヘイスティングスに感情移入するのは簡単です。


●探偵になりたい●

探偵とはいえ、雇われの事故調査員という身分のヘイスティングスが、最初はイヤイヤながら、後に少し楽しみながら事件の真相を追っていく。ドジなところや変に依怙地なところまで、謎解きよりは人間観察を楽しみたくなるような内容。でも、プロットはかなりしっかりしているので、グングン引きこまれます。読後もスッキリ気持ちよしですよ。                            

                               書評:活字中毒者



パーネル ホール, Parnell Hall, 田村 義進
探偵になりたい
最近忙しく更新が滞ってました・・・・・今回もちょっと息抜きがてらの美しい写真本です。

バラガンピンクと呼ばれるほどのピンクを使いこなす人はこの人以外にいるんでしょうか??

色だけでなく、デザインも。

メキシコの建築家ルイス・バラガンの代表作をふんだんに織り込んだ写真集です。

値段も写真集にしては安いので一度開いてみてはいかがですか??



●カーサ・バラガン●

はっとするような色使いの建築物ばかりなのに、なぜか不思議と落ち着いて見える。天才なんですかねぇ?ここまでのモノがつくれるなんて。

建築物としても、芸術品としても一見の価値ありです。

                                書評:活字中毒者



齋藤 裕
カーサ・バラガン

最初この本を「1」のみ買ってしまい、あわてて2~4まで探して買いました。一応1では一つの物語として読めるのですが、それ以降は完全に内容がつながっています。

作者のクランシーは有名ですが、もともとの彼の作風とは変わってしまっているかも知れません。

人物描写はさすがといわざるを得ませんが、プロットの複雑さは影をひそめています。

純粋なエンターテイメント作品としての楽しさは一級品です。


●レインボー・シックス●

本当の精鋭のみを集めた多国籍特殊部隊「レインボー」 彼らとテロリストとの対決をテンポ良く描いた作品。全世界を死に至らしめる為活動している組織から人類を救えるか。

レインボーの隊員一人一人がまるで生きているかのように描かれています。それぞれに感情移入していてはとても身が持ちませんが、ヒーロたるものこうであれと思わせるものです。楽しく読めます。

                              書評:活字中毒者




トム クランシー, Tom Clancy, 村上 博基
レインボー・シックス〈1〉
トム クランシー, Tom Clancy, 村上 博基
レインボー・シックス〈2〉
トム クランシー, Tom Clancy, 村上 博基
レインボー・シックス〈3〉
トム クランシー, Tom Clancy, 村上 博基
レインボー・シックス〈4〉

恐竜時代の生き残り、体長30mもの巨大ザメ「メガロドン」 この物語自体はフィクションですが、メガロドンは研究の結果本当に実在したと言われています。げんに歯の化石などが見つかっているようです。

う~ん、ワクワクします。こんなヤツが現代の海で泳いでいたら・・・・・間違いなく海の王者でしょう。シャチも鯨もかなわない。水族館で飼育なんかした日には。トラブル続出でしょうな。



●メガロドン●

内容自体はいかにもアメリカ的というか。。。。多少のつじつまあわせもなんのその。作者のペン通りにどんどん進んでいきます。

テンポが良いので非常に読みやすく、爽快感もあります。

現代に生き残るメガロドン、非常に凶暴な彼女はお腹に子を宿しています。古生物学者テイラーは彼女の行動を阻止できるのか!?って書いてみて、やっぱりアメリカ的内容が濃いなぁと感じてしまいました。 

                                 書評:活字中毒者


スティーヴ オルテン, Steve Alten, 篠原 慎
メガロドン

人間はここまで強く生きることができるのかと、半ば驚愕の思いで読んだ本です。

南極大陸横断にかけた男達の夢は船の沈没という最悪の事態で散っていきます。

ここから始まる地獄のような日々に男達はどう対応していくのか。読みながら体が震えるような思いがします。ノンフィクションです。星野道夫さんの座右の書でもある本書。すべての人に読んでもらいたい本です。



●エンデュアランス号漂流●

イギリス人探検家シャクルトンをリーダーとした28人の男達。南極大陸横断の途上、船は氷に押しつぶされそして漂流。

17ヶ月にも及ぶ期間を全員が生き延び、無事に生還するまでの記録。ボク達の生活の中では想像もできないような極限状態の中、彼らの生に対する執着があればこそ生き延びることができたのか。

またシャクルトンのカリスマ性、リーダーシップがなければ全員帰還は無理では無かったのか。

やっぱりノンフィクションはフィクションを超える素晴らしさがあると感じた一冊です。

                               書評:活字中毒者



アルフレッド ランシング, Alfred Lansing, 山本 光伸
エンデュアランス号漂流

カヌーが好きで、当たり前のようにカヌーイストの野田知佑さんにもあこがれました。野田さんの本の中で出会ったタイトルがこれでした。

その後出会いのないままユーコン川を下りに行ったときのこと。ある日本人からこの本を手に入れたんです。何か運命的なモノを感じましたね。まさかカナダで出会うことになろうとは思ってもみなかった本です。

内容も好きですが、思い入れがかなり強い本の中の一冊です。



●宇宙船とカヌー●

タイトルが不思議だと思いません??内容は父と子の話なんですが、父は世界的に有名な物理学者。宇宙を夢見て、宇宙船を作ることを夢に見た人物。子はイヌイットの持つ技術を生かし、伝説のカヌー「バイダルカ」を作ることを夢に見た人物。父は地球の外の星を愛し、子は地球の中の自然を愛する。

相反することをしているように見えて、追い求める対象が違うだけの同じ人間を見ているよう。

淡々と進んでいくストーリーが好きです。

ちなみに彼の作り上げた「バイダルカ」写真で見ましたがスバラシイの一言です。

                                書評:活字中毒者



ケネス ブラウワー, 芹沢 高志
宇宙船とカヌー

今日は週末。ちょっと息抜きがてら写真中心の本を紹介します。

「カラー・オブ・ネイチャー」「バイ・ネイチャーズ・デザイン」ともにパット・マーフィーの作品です。

両書ともに自然を題材にした内容で、タイトル通り一冊は「色」をテーマに、一冊は「デザイン」をテーマにしています。

ボクは自然大好き人間なので両書ともかなり共感を覚えるものでした。

写真だけでも一冊の本として成り立つほどレベルの高いものですが、それぞれの事柄に説明がついているところが優れものですよ。「ふ~ん、納得」がいっぱいです。



●カラー・オブ・ネイチャー●

私達にとって「色」とは普段意識しないあたりまえのものです。

しかし自然の中にある素晴らしい「色」の写真を目の当たりにし、ボクは「色」の素晴らしさを再認識できました。たぶん細かい模様なんかあまり気にしていなかったんでしょう。木を見て森を見ずだったのかもしれません。


パット・マーフィー, ポール・ドアーティー, 津田 晴美
カラー・オブ・ネイチャー [クロニクル・ブックス日本語

●バイ・ネイチャーズ・デザイン●

人間の考え出したデザインは、すべて自然から生まれていたのか?と思わされてしまいました。

すべてのことがらに理由がある。デザインも然り。

人間工学に基づいたものが使いやすく、またキレイに見えるのも人間が自然の一部だから??

地球規模の大きな視点で、昆虫規模のマクロの視点で見てみてください。


                                 書評:活字中毒者


大自然のかたち―バイ・ネイチャーズ・デザイン [クロニクル・ブックス日本語版]


パット・マーフィー, ウィリアム・ニール, 津田 晴美

待ちわびていた最新作「ウォータースライドのぼれ」がやっと発売したドン・ウィンズロウですが、(待ってたみんなにはほんと長い歳月でした・・・)そのシリーズ1作目がこの「ストリートキッズ」です。

ファンになった人はだいたいこの1作目にヤラれて、その後も買っているんでしょうか?ボクはそうです。

活字中毒友達から紹介された本ですが、良いテンポと主人公の軽さでグイグイ引きこまれていった作品です。

軽快なハードボイルド調とでも言うのかな!?軽~い気持ちでお読みあれ



●ストリートキッズ●

プロの探偵から稼業をみっちりと叩き込まれた元ストリートキッドのニック。

親父代わりというか、師匠というか、探偵グレアムとのやりとりが面白い。表向きすべてにたいして軽口を言うようなニックの、実は繊細な若者らしさがまたかわいらしくもある。

2作、3作とシリーズ化していくんだろうなぁと思わせる、ニックの人物作りが細かい作品。


                                 書評:活字中毒者


ドン ウィンズロウ, Don Winslow, 東江 一紀
ストリート・キッズ

う~ん。賛否両論の作品です。

設定は「オペラ座の怪人」から13年後。舞台はパリからマンハッタンへ。

ボクのようにフォーサイスのファンならば彼らしい(らしからぬ??)面白い作品として受け入れることは可能かなと思いますが、もともとガストン・ルルー、A=ロイド・ウェバーが好きな方には「??」となる可能性もありますね。少し設定も無理した部分がありますし・・・・

まぁこのブログは活字中毒者であるボクの自分勝手な推奨作品ばかり集めてますから、好き!と言い切ってしまっても良いかとは思いますが。フォーサイスが好きな人は一読の価値ありです。


●マンハッタンの怪人●

名作「オペラ座の怪人」のその後の物語。(注:もちろん作者は違います)

オペラ座の怪人ことエリクは現在のニューヨークの影の実力者。

彼に届いた一通の手紙から運命はもう一度大きく動き出します。仮面の下の醜い顔。彼を愛することをできた女。残酷で、心温まる物語。

                                   書評:活字中毒者


フレデリック フォーサイス, Frederick Forsyth, 篠原 慎
マンハッタンの怪人

ボクの世代の方なら当時NHKで放送していた人形劇を覚えているかもしれません。違う世代の方、見ていなかった方、スイマセン。

ボクはあの番組が楽しみで仕方なかったです。同じように楽しみにしてた人もいますか??

現在DVDが発売されてますが、全編でなく、ハイライトのみのものなので、残念です。

参考商品

アミューズソフトエンタテインメント
NHK人形劇クロニクルシリーズVol.7 ひげよさらば タナカマサオの世界

原作を読んだのは放送終了後でした。内容はテレビのものよりも少しハードな世界観になっているかもしれません。

どちらかといえば子供向けの内容のテレビに対し、原作は大人も楽しめる内容になっています。



●ひげよ、さらば●

記憶を失った猫「ヨゴロウザ」 最初は右も左も分からない新参猫でしたが、やがて野良犬との戦い、ネズミ達との戦い、友情とリーダーとして成長していく。

猫の物語とは思えない内容。いつのまにかすべての登場人物が人間に置き換えて考えることができることに気づいた。

テレビ版のイメージがある人にとってはかなり暗い内容に感じるかもしれないが、言いたいことは同じ。

秋の夜長にどうでしょうか??

                      書評:活字中毒者



上野 瞭
ひげよ、さらば