「ヴェノナ」❺ ジョン・アール・ヘインズ、ハーヴェイ・クレア著(2010発行) | ウインのワクワク「LIFE」

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気にかかった文章】

 

第二章 暗号解読

「ヴェノナ作戦」の解読作業は、1970年代には規模を縮小したが、1980年10月1日まで続いた。~しかし、その成果は1995年まで秘密にされたのである。

 

「ヴェノナ」がもたらした情報によって、FBIはソ連の主要スパイのいくつかと、個別のエージェント数人を無力化(訳注:活動できないようにすること)することができた。しかし、「ヴェノナ」の実際の成果はそれ以上のものだった。規模は小さいが、イギリス、カナダ、オーストラリア、などの他国で活動するソ連のエージェント網も把握し特定したのだ。

 

アメリカの当局はこれら関係国の防諜機関と情報を共有し、それによってより多くのエージェントが無力化された。

 

 

第三章 アメリカ共産党の地下組織

第二次世界大戦中のソ連の対米スパイ攻勢の大きさとその成功は、1930年代のアメリカ共産党による地ならしと支援によるところが大であった。

 

1919年の(アメリカ共産党)宣言文にはこうある。「我々の共産主義運動は、ブルジョワ議会国家を『乗っ取る』ことではなく、それを征服し破壊することをめざすものである‥‥プロレタリアートが、フルジョワジーを強制し抑圧するために自らの国家を作ることが必要なのである」。

 

これらの(アメリカ)共産党地下組織は第一義的にスパイ・インテリジェンス機関だったわけではない。しかし、これから見るように、そのような地下組織が政治活動を通じ世界革命を促進するという本来の活動から、「世界革命の祖国」つまりソ連をスパイ作戦で支援する活動に移行するのは比較的容易だった。