「地政学の思考法」➋ ペドロ・バーニョス著(元欧州合同軍防諜・治安維持部隊長官)2019年発行 | ウインのワクワク「LIFE」

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            琴線に触れるものを探して

 

 

気にかかった文章】

 

 

第五章 抑止力と包囲網のゲーム

抑止力とは基本的に「攻撃してきたらそれ以上の反撃を加えるぞ」と脅かして、相手が報復を恐れて攻撃できないようにすることだ。

 

 

”相互確証破壊”〔訳注:核兵器を保有し敵対する2カ国のどちらかが先制攻撃をしかけ、もう一方が核兵器で報復すれば、双方に確実な破壊がもたらされると認識することで核戦争の抑止を図る戦略]

 

 

ロシア政府は、米国やNATO加盟国によって戦略地政学上包囲されていると感じ、なんとかその状況から抜け出そうとしている。

 

 

 

第八章 上手のにあざむく演技派の戦略

オバマ政権時代にワシントンがその外交政策の軸足を、ヨーロッパや中東からアジア太平洋地域に移すほど重要な国になるとは、誰も考えていなかった。

 

 

第九章 ブレイキング・ポイントの戦略

英国の地政学者ハルフォード・マッキンダーの有名な次の説に似ている。

「中央ヨーロッパを支配するものがハートランド(心臓部となる重心軸地域)を支配する。ハートランドを支配するものが世界島*を支配する。そして世界島を支配するものが世界を支配する」

 *訳注:マッキンダーの造語。世界本島ともいい、ユーラシア大陸とアフリカ大陸を合わせた部分を示す

 

 

日本の貿易船に日本人の生存がかかっていたため、そこが日本人のブレイキング・ポイント(破壊点)だった。

 

 

第十章 分裂させる戦略

すでに存在する強国の骨組みを崩したりばらばらにしたり、小国同士が合併して新しい強国となり既存の勢力に立ち向かってきたりしないようにする戦略は、少なくともローマ帝国時代からあった。

~この戦略は多くの文献でも研究されているが、その効力を疑う者はいない。

 

 

この戦争(第二次世界大戦)でアラブ系イスラム教徒が一致団結して大きな力になるのを避けるため、列強国はアラブ諸国間の対立をあおった。

 

 

民衆の決起は外国によって助長されていたのである。

 

 

米国にとっては、これまでずっとホワイトハウスのよき友であったヨーロッパが頼りにならない存在に成り下がり、そのせいで自分たちが新しい敵に対峙せざるをえなくなっては困るからだ。

 

 

第十一章 間接的に支配する戦略

間接支配とは、疑いの目を向けられたり、相手に「やられた!」と感じさせたりすることなく、狡猾に実行するものだ。

 

 

マシュランによると、狡猾さとは、相手にこちらの考えを押しつけていながら、相手には、あたかもそれは自分が正しいと思う判断基準に従って自ら考えたものだと信じ込ませることにあるという。

 

 

米国の映像製作には、裏で米国国防総省(ペンタゴン)もかかわっている。

 

 

そのような検閲システムを通し、ハリウッドは米国の国家安全の枠組みにおけるプロパガンダのツールとなった。

 

 

恐怖心を利用する国家に操られた人民は、全能の政府が約束するセキュリティと引き換えなら、自分たちの自由や基本的保障を犠牲にしてもかまわない、とさえ考えるようになる。

~ブッシュ政権は米国同時多発テロの後、テロは祖国そして国家の安全にとっての~。

 

 

国民は、戦争の残虐さや恐ろしさを直接体験しない限りは、軍需品の大量生産に異を唱えることはない~。

 

 

国連安保理は、生々しい戦地を常任理事国の国民たちからできるだけ遠ざけることに貢献してきた。

 

 

新聞などの報道でも、ソロス(ジョージ・ソロス)が気候変動説の擁護者たちを援助したり、世界中の多くの進歩的あるいはリベラルな活動を支援していることを非難している。

 

 

1946年から2000年にホワイトハウスは45ヵ国で行われた81の選挙に干渉していたと結論づけた。~ただし、クーデターや、ワシントンにとって不利な候補者が選出された場合に政権を交代させようと介入したケースなどは含まれていない。

 

 

NED(全米民主主義基金)とNEDの資金援助を受ける組織が、設立当初からホワイトハウスの政治方針に反する国々の奥深くに紛争や対立の種をまくことを目的として、メディア、政党、労働組合、そして実権を握る政府に対立するさまざまな民間機関を支援してきたことを厳しく批判する声もある。

 

 

国の軍事力がどれだけ大きくても、相手を安心させ、信頼してもらえるような支配の仕方をするほうが割に合うのだ。破壊力のある武力を行使することに世論が大反対するような場合にはとくにそうだ。