ポツンと一軒家 vs ”日本の豊かさ”を教えられるかとぅ | katoo the world

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山間部の一軒家で強盗事件が相次いで発生していることを受け、ひとつの番組に批判の声が寄せられている。それが『ポツンと一軒家』(ABCテレビ・テレビ朝日系)だ。

4月下旬から栃木、長野、群馬の各県で強盗事件が相次いでおり、5月14日午前0時頃にも福島県の住宅に住む1人暮らしの60代女性が強盗被害に遭っている。女性は手首をテープで拘束され、現金1万数千円を奪われたといい、男は少なくとも2人いたとされ、片言の日本語を話していたとも報じられている。いずれの現場も山間の住宅ばかりで、複数の男が押し入り住人を縛るなどして現金を奪って逃走するなど、手口も似ている。

稀の休日に途方に暮れる事も少なくない。

バンド活動や何やらで休日の方が多忙な事も多いのだが、逆にポッカリと空いた何も無い一日を前に唖然とする事も有る。

朝、起床して無心のまま身支度をするが、日がな一日予定も無く、さりとて当日になって都合の付く知人もいない。

執筆や作曲には、この様な空白が必要ではあるモノの、相当に精神力を使う訳で万全で無ければならないのだが、そんな健康体には此処何年もなっていない。

ふと釣りにでも行こうかとも思うが、準備をする間に嫌になってしまった。
以前、よく海釣りに行っていたが、釣れたとしても今日は共に酒盛り出来るモノもいない。

虚しい限りである。

よもやこの私がこの境地に達するとは思いもしなかったが、此処である独りの男の悲哀を思い起こさずにはいられない。

そう!賢明なる我がブログ読者諸氏に至っては、既にお気付きの事であろう、かつて”はてな匿名ダイアリー”にて全おじさんの感涙を誘った「53歳独身だけどやる事なくて辛い」である。

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53歳独身だけどやる事なくて辛い
http://anond.hatelabo.jp/20150204215709
 
最寄り駅の立ち飲みやで軽く晩酌してつまみで腹を満たし8時頃帰宅した。
もう既にやる事が無い。
 
一時小説を読んでいたが目が疲れるのでやめた。
両親は共に他界してる。
本当にやる事がなくて暇だ。
 
会社ではそこそこのポジションにいて、それなりに給料を貰っているが使い道が無い。
同級生はほぼ所帯を持っているので平日の夜に呼び出すなんて事は出来ない。
 
そもそも家庭がある人間と話が合わなくなって来た。
子供の教育や進学の話なんぞ分かるはずが無い。
私が死ぬまであと40年程ある事に絶望してる。
 
毎日仕事して帰宅して起きてまた仕事しての繰り返し。
週末は本当に何をしていいか分からない。
趣味を持てなんて言われても正直めんどくさいしこの歳から何をすればいいんだよって思う。
 
一時寂しくてキャバクラに行ってた時期も合ったが相手が自分の金の事しか見てない事が分かりやめた。
結婚しておけば良かった。
少なくとも今よりは絶望を感じないだろう。
仕事に家族の為に働くという意味を見いだせるだけで御の字だ。
 
なんでこんな人生なんだ。
 
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端的に53歳独身男性の悲哀が表現されている良文だ。
 
何もやる事が無いとボヤキながらも、小説を読み、立ち飲みやで一杯引っ掛け、キャバクラに通うなど、中々に充実した日々を送っている。

「最寄り駅の立ち飲みやで軽く晩酌してつまみで腹を満たし8時頃帰宅した。
もう既にやる事が無い」
 
「様々な事に挑戦するが、それでも上手くいかない。
なんでこんな人生なんだ」
 
このあたりのボヤキ芸、ヒロシに通ずるセンスを感じる。
 
「俺のサドルがありません...ヒロシです...」
「今日は占いで思わぬ出会いがあると言われましたが、一日中家にいました...ヒロシです...」
「僕の知ってる女の子はみんな電波の悪いところに住んでいるとです...ヒロシです...」 
「女の人と五分話をすると好きになります...ヒロシです...」
「僕と会う約束した女の人は当日風邪をひくとです...ヒロシです...」 
 
私の敬愛するヒロシを髣髴とさせる、読めば読む程ジワジワ来るセンスの良い笑いだ。
しかもそれを「はてな匿名ダイアリー」なる日記にしたためる当たり、相当な笑いの切れ味と言わざるを得ない。

53歳独身ボヤキ芸人
https://ameblo.jp/katoo-the-world/entry-11991766762.html

さてそんな虚しさ募る休日にチャンネルを回すと、ククク…、ヤッている…、またしても…、懲りもせず…、圧倒的デジャヴ…。

「YOUは何しに日本へ?」、「家、ついて行ってイイですか?」、「世界!ニッポン行きたい人応援団」、「世界くらべてみたら」、「ぶっこみジャパニーズ」、「開運!なんでも鑑定団」…。

何故だか海外からの旅行者にフォーカスした番組が多いが、その中に於いて、日本の心を思い起こさせるのが「ポツンと一軒家」である。

リアルタイムなのか再放送なのかは存じ上げないが、個人的に興味のある番組の傾向が完全に固まって来た。

それ自体は良いのだが、その番組の提供が「サントリー・ロコモア」、「ライフリー・大人向けおむつ」、「やずや・にんにく卵黄」、「世田谷自然食品・グルコサミン+コンドロイチン」と、高齢者向け健康補助食品ばかりで、この私かとぅも「休日にこの番組を観ている視聴者は、ヒザが悪く外出など出来ない」と言う、CMマーケティングに完全に取り込まれており、石原良純よろしく登山中に「コンドロイチーン!」と叫びたくもなる。

まー、認めたくは無いが、私も人生半ばを超えた初老の域。

幸いにも健康ではあるし、未だステージに上がりヘドバンしながらデス声で叫べる身ではあるが、唐突な「急に尿がしたくなり、我慢が難しい事、ありませんか?」なるTVCMにハッとさせられ、歳を取った事を実感するのだ。

さて、そんな尿漏れ初老たるこの私かとぅではあるが、私の愛する「ポツンと一軒家」に批判の声が寄せられていると言う。

何でも「この時代に自宅はもちろん、生活スタイルまでテレビで公開することにはリスクが伴う」と言う専門家の指摘もあり、「うかつにテレビに映るとこれからは、とても危険な世の中になりそう」、「ポツンと一軒家。悪い奴からしたら格好の狙い目じゃん」との批判が相次いでいると言う。

思い返せば、冒頭にGoogleMAPを活用して「この”ポツンと一軒家”に行きます!」と言う、詳細なMAPが開示されており、防犯上多大なリスクが有る事は理解出来る。

ただ、その番組を見て、わざわざ強盗に押し入るだろうか?

「ポツンと一軒家」の見せ場は3つある。

1つは訪問する事が極度に困難な事。
車を運転するスタッフも「ホントにこの道で合ってますか~?(泣)」と、脱輪し崖から転落するかの恐怖が如実に伝わる悪路を行く。

2つは居住者の生い立ちと、何故ポツンと一軒家に住み続けているのかという理由。
両親が亡くなった夫が実家を継ぐと言うのでいやいや引っ越した所、翌年には夫が亡くなり、それ以来20年、奥さんだけが住み続けている。
そんな”人に歴史あり”が、実に興味深い。

3つはソウは言いながらも、悠々自適で幸せなポツンと一軒家暮らし。
野良仕事にイヌの世話と、日々やるべき仕事は沢山あるし、週末には子供の家族らがやって来るので、ソレが楽しみで料理を作り過ぎてしまう、などと言った、都会暮らしながら実に孤独な我々からすると羨ましくもなるライフスタイルだ。

ソレを所ジョージと林修が、「良い生活だ…」、「日本人の原風景…」とか、ボソッと言うのが、実に説得力が有る。

確かに悪意と共に「ポツンと一軒家」を観る者もいるかも知れない。
ただ、番組を観れば「この家は…、この家だけは、止めておこう」となるだろう。

過疎地一軒家の凶悪強盗の多くがベトナムからの技能実習生の逃亡に絡んでいると言う。
私もベトナム人の知人がいるが、余り人の心を感じない、「恩を仇で返す」かのメンタリティーすら感じる。

ただ、日本人の暖かさに触れ、そのまま日本に移住する者も少なくない。

その意味でも犯罪リスクを排除する為に番組を打ち切るのでは無く、「過疎地一軒家の凶悪強盗などと言った馬鹿なマネは止めておけ」と、犯行を思い留まれるメッセージを打ち出すべきである。

ポツンと一軒家に押し入った所で、現金1万数千円しか得られないのだから、そんな大変な想いをする位なら、汗と泥にまみれて実直に働く方が幾分か楽だ。

最早日本は経済大国では無い。

ただ、急速な経済成長の裏側で、日本人が見失ってしまった”日本の豊かさ”は、今尚至る所に息付いている。

今となっては”日本の豊かさ”を、逆に海外の方から気付かされる事が多い。

「YOUは何しに日本へ?」、「世界!ニッポン行きたい人応援団」、「世界くらべてみたら」、「ぶっこみジャパニーズ」など、海外からの旅行者にフォーカスした番組が多い理由も、大いに頷けるモノである。

 

日本の文化への憧れや日本食の美味さに泣いて喜ぶ外国人観光客を拝見して、私とて泣けるほど嬉しいのだ。

かとぅ