カウンタック三連星と奇妙な友情 | katoo the world

katoo the world

お笑い系デスメタルバンドFUJIYAMA、世界の大統領かとぅのブログ

https://twitter.com/katoo3000
https://www.facebook.com/fujiyama.metal/

新東名高速道路をトヨタカローラで飛ばす。
ドリュー・バリモアがドライブに行きたいとゴネるので、愛車を駆り出したのだ。

お盆時期ながら、渋滞も無く快適にドライブを楽しめた。
当のドリューは殆どの時間寝ていたが、純粋にドライブを楽しめたので無問題である。

毎度の事ながら新東名の道路の滑らかさに驚く。
道路の幅や、車両境界線における破線の間隔も広く、スピード感を感じないので、普通に走行していても、気が付くと時速150kmを超えている事もある。

完全に危険運転行為に該当する速度であるが、それ程迄に走りやすい新東名高速道路であった。

しかし、事件は突然起こった。

赤い薄っぺらの板が稲妻の様に我がカローラを追い抜いて行った。
その後に轟く雷鳴の様な地響きに更に驚く。

カウンタックLP500sだと気付くのに、実に0.2秒を要したが、ミニバンやワゴンが中心の日本の自動車市場に於いて、車高100cmと言うのは余りに平べったく、板切れにしか見えないカウンタックだ。
車高の高い運転席からだと、ホントに見えないのでは無かろうか?

そんな板切れが猛烈なるスピードで日本が誇る国産車をブチ抜いて行くのだから、これは何とも痛快ではある。

二度見する間も無く消えて行ったカウンタックだが、余りの爆音に熟睡のドリューも目覚めた訳で、私の幻覚と言う訳では無かろう。

唖然とするより他無い私ではあったが、しかし、ある長いトンネルに突入した際、更なる新展開に直面するのだ。

何故か走行車線を超スローで走る赤い板、カウンタックLP500sを追い抜いて気付いた。

そう、ヤツは溜めるだけ溜めて、一気にブチ抜きに掛かるのだ!

その証拠に、追い抜いた遥か彼方から轟くのは、雷鳴にも似たヤツの空吹かしである。

ヤツは何時、ギアをニュートラルからドライブに入れるのか…?
戦慄が走る。

…と思うが速いか、いよいよ爆音が炸裂し、トンネル内に響き渡るッ!

バアアアァァァァァアアア!!!

ヤバい!
来るッ!
国産車の3倍のスピードでッ!赤いッ!ヤツが来るッ!!

半ばパニックに陥りながらも、覚悟を決めた私は、赤いヤツをしかと受け止める事にしたのだ。

追越車線から走行車線に一目散に逃げ惑う国産車を尻目に、我がカローラは確固たる意志と矜持を持って、追越車線から離脱する事は、決して無かった。

突如真後ろに現れた赤い悪魔。
ハイライトに加え、ウインカーによる煽りも強烈だ。
激烈なる怒りを感じる。

しかし、私は耐える、忍ぶ、省みぬッ!
それでもメーターは時速160kmを超え、我がカローラの限界は当に超えている。

「よーし、良い子だ…。あと少し、保ってくれよぉ~!」

トンネルが終わりに差し掛かった頃、赤い悪魔は理不尽なる怒りと爆音をそのままに、走行車線から我がカローラを強引に抜き去り、遥か彼方に走り去って行った。

確かに狭い日本に於いて、スーパーカーの醍醐味を味わえる場など限られるし、速度という面では新東名以上に出せる場も少なかろう。

カウンタックの販売価格は中古でも1000万円は下らない。
それだけの想いを乗せたカウンタックなので、どうぞ束の間のブチ抜きをお楽しみ頂きたい。

しかし戦いも終わり、ホッとしたのも束の間、更なる衝撃が私を襲う。

赤い悪魔の後に続くのは、青い衝撃、銀の流星…。

そう、ガイア、マッシュ、オルテガと続く、華麗なるカウンタック三連星によるジェットストリームアタックであった!

「カウンタックは風になった。
かとぅが無意識のうちにとっていたのは“敬礼”の姿であった。
涙は流さなかったが、無言の男の詩(うた)があった。
奇妙な友情があった…」

かとぅ