- 前ページ
- 次ページ
2〜3カ月、どこでどうやって生きよう、、、
まず最初に思いついたのが「民宿のヘルパー」
離島での長期滞在の方法としてポピュラーな手段
ほぼ住み込みのような形で民宿の手伝いをして、3食昼寝付きでお小遣い程度はもらえる
石垣島、竹富島、西表島、いろんな求人を探して、「畑で野菜を育てる」「三線や郷土芸能を教えてもらえる」などなど、気になるところに何ヶ所かお電話したりお手紙を送ってみたりもした。
実はこのとき小浜島はリストに入っていなかったのだ
というのは、小浜島→リゾートというイメージがあって、自分の思い描く離島生活とちょっと違いがある気がして
20代の頃、東南アジアにバックパッカー旅行した事があって、生まれて初めての海外旅行でホテルの予約もせず現地調達の行き当たりばったり20日間の旅という無謀な試みをする感覚も持っているので、その日暮らし的な風来坊な過ごし方がいいな、と思っていた
滞在先探しはなかなかうまくいかず、このまま行くと単なる2〜3カ月の沖縄旅行、お金持ちの人がやるホテル住まいの有閑マダムになってしまうなぁ、と
そこで、ある人に相談してみた
新婚旅行で小浜島に行く際に、はいむるぶしを紹介してくれた、通称やまだのねーさん
当時はいむるぶしと同系列になる北海道のあるリゾートによく仕事で演奏に行っていたのですが、その仕事の担当だったねーさんが小浜島と繋げてくれたのだった
ねーさんを通して、はいむるぶしの当時の社長に石垣島や離島のローカルな情報はないかな、という情報提供の協力をお願いすることにしてみたのだった
旅から戻った日常
変わらずカタヒジ張って、虚勢も張って、カッコつけて生きていく私
でも、カタヒジ虚勢を張るということは、本当の自分はそうじゃないという事
頑張っちゃう自分に気付くたびに思い出されるのは、島のゆっくりとした空気とおっとりした笑顔、自然と生きている人達の景色
とはいえ、自分は自分、仕事に対するプライドはあるし手も気も抜けない、働かねば食べていけない、今の生活スタイルも決していやじゃない
けど、人並みに未来への不安もある
総合的にみてまぁまぁ暮らせている笑
でもこの頃から仕事に悩む事が多かった
このままこの世界の中だけで生きていくのかな?
もっと上もっと上と上昇志向が強すぎてかえって現実とのギャップにも苦しんだり、「仲間」と呼べる人が周りにはいない、なかなか孤独な仕事でもあったので、自分の小さな頭の中でしか答えは出せない、それも最適解かどうかもわからぬまま日々過ぎていく
あるとき、そこまで深い意味もなく、ただの戯言レベルで仕事の愚痴を夫に吐き出していたところ
夫がさらりと
「だったら、2〜3カ月沖縄の島にでも行って来たらいいじゃないか!😀」
と言ってきた
この一言が全ての始まり
旅から帰り、再び「次いつ行くー?」ばかりの夫婦の会話
心残りはやっぱり小浜島でつちだきくおさんのライブが見れなかった事だったので、次は見れたらいいねーと話していた
八重山に思いを馳せる半面、「日常の生活」というのももちろんあるわけで
この頃の私は30過ぎたあたり、まあまあ仕事も頑張って、街中にあるタワーマンションに住み、それなりに見栄を張り、それなりに時代に敏感に、他人からカッコよく見られるように生きたいと、思っていた。
(「他人からカッコよく?」自分はどうなんだ?)
そんな私、実はこの島の旅で一番カルチャーショックを受けたのは、青い海、鮮やかな花の色、汗の行き場のない湿度だけではなく、「そこに生きている人」だった
自分が生きて来た環境や文化とは全く違う場所で、便利やカッコ良さを求めて生きて来た自分とは全く違う環境で穏やかに生きている人がいる
誰かが作った一時の流行や好みをはるかに凌駕してしまう、脈々と根付く文化、気候も含めた環境の中での価値、そこで生きている人の中に自分と「同業」の人がいる事も大きな驚きだった
何か心が揺れ動く「何か」が生まれた
その「何か」は事あるごとに、自分のそれまでの価値観のヒビを広げていった気がします