『ロミオとジュリエット』(アリーナ+ヨハン) | WITH HOPE!!

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在英14年目、イギリスの生活を愛し、楽しんでいるMiyukiです。
イギリスで細々と演奏活動をしているので、クラシック音楽の話題、日常、イギリスの姿をお伝えしたいと思います。
バレエが好きで、ロイヤルバレエの公演を主に観ているので、その感想も。

 朝から雨。 よって、昨日、その前の先週からの雪がだいぶ溶けてくれました。


 ロイヤルバレエは火曜日から『ロミオとジュリエット』が始まっています。 


 故ケネス・マクミランが1965年に振付けたこの作品です。 曲はプロコフィエフ。


 今日の主な配役は


 ジュリエット: アリーナ・コジョカル

 ロミオ: ヨハン・コボー

 マキューシオ: ブライアン・マロニー

 ベンヴォーリオ: 蔵健太

 パリス: ヨハネス・ステパネク

 ティボルト: ベネット・ガートサイド


 最終ドレスリハーサルがこのキャストだったようで、写真は、http://www.ballet.co.uk/gallery/jr_rb_romeo_and_juliet_roh_0110  より。


 

もちろん、『くるみ割り人形』も、先週の『ベアトリックス・ポッターの物語』も大好きだけれど、このマクミラン振付の『ロミジュリ』も大好きなバレエ。 これを観ていると、特に第3幕はバレエって言葉を発しないのに凄い表現ができるものだな、と改めて思います。


 日本ではきっと一番人気のアリーナ、実は私はあまり相性がよくなくてほとんど観に行きません。 踊りは好きですが、音楽のとり方が全然違って結構イライラするので。 でも、プライヴェートでのパートナーでもあるヨハンと一緒に踊るのを私はほとんど観ていないので(2人とも怪我で降板が多かったので)、今回は観に行きました。


 演技派のヨハン、なぜかかなり老けて観えましたが、でもマキューシオを踊ったブライアンとのやりとりが絶妙。

 ブライアンもかなりキャラクターを出すのが得意なダンサーなので、非常に興味深い舞台でした。 ブライアンは怪我による長期降板から復帰してちょうど2年、毎回違う舞台を作り出し、切れのある踊り、まだ5段階の真ん中、ソロイストにいるダンサーですが、私は大ファンです。


 今日もロミオがジュリエットに初めて会って惹かれて行く時、マキューシオは苦い顔。 仲間意識が強く、裏切られた、という思いもあるのでしょう。 へらへらしているけれど、でも本当は強い意志がある、というようなキャラクターでした。


 やはり、アリーナはヨハンと踊る時の方がずっと良く観えます。第3幕、死のパ・ド・ドゥ(眠っているジュリエットとロミオが踊る)、踊る、というよりもロミオがジュリエットを振り回す、といった表現の方があっているような気がしますが、ジュリエットはだらっとしているけれど、でも絶対に力を抜いていたらあんなことはできないはず。 客席からは死んでいるように見えるけれど、本当はあれって大変なのだろうな、と思います。

 そして、ヨハンもアリーナと踊ると、こんなによいダンサーだったのか!と衝撃的。


 ジュリエットのお父さん役をデイビッド・ドリューが。 彼はもう60を超えているとは思いますが、存在感、表現、若い頃の舞台を観てみたかったな、と思います。


 パリスのヨハネスは2007年の時にはブライアンのマキューシオとヨハネスのベンヴォーリオ、という組み合わせで観ていたので、反対のパリス、というのは新鮮。 


 何度観ても凄い、と思い続けることができる舞台。 プロコフィエフの作曲は言葉を補う、というと変な言い方ですが、音楽が情景、心情を表す。 よくダンサー達が、『音楽が全てを語る』とおっしゃっていますが、まさにその通り。


 最後のジュリエットの息が途絶える部分、純粋なドの音で終わる。 あれだけ複雑な和声を用いていたのに。

 

 シェイクスピアの原作とはもちろんバレエでは違う部分もあるけれど、それでもあの傑作の文章を言葉の無バレエ、というもので表して、それが客席に伝わる。 魅力的です。


 3月までとびとびで、今回は8キャストが2回ずつ(男性は怪我の降板で2人は2人の女性と踊りますが)、計16回の公演。 私もとびとびでいくつか観に行きます。