「なんだよ、仕事のことは書かねーって言ったじゃん。」


そう思われる方もおられると思う。

仕事のことは極力触れないようにしている。

しかし、極力であって絶対ではない。




ここのところ、私の知人を通じて『興味がある』という女性と頻繁にお会いしている。

いわゆる紹介ってやつである。

もちろん『興味』とは私にではなく仕事であることは言うまでもない。

待てど暮らせど紹介なんぞ全くないときもあれば、こうして重なるときは重なるものである。


知人といっても『水』『風』の業界人ではない。(ご承知の通りあるわけがない。)

夜遊びがお盛んな方からはもちろんだが、どうして私にこんなに立派な立場の方が・・・と自分でも思うような年上の方からいただいたりもするもんだからびっくりする。


しかしこれがまた問題なのだ・・・。

私たちと私たちの業界に一切縁のない人との判断基準のギャップがあまりにも違いすぎるのである。


外見に関して言えば、「ちょっと無理です・・・。」というレベルの人を紹介するはずもなく、合格ライン以上ではあるのだが、この業界は単純に美醜だけではない。※因みに、こりゃ勘弁というレベルも多数あり。


業界に10年もいる私でも上手に説明はできないが、まぁなんというか・・・こう・・・キラッというかピカッというか・・・根拠のないイケる感が感じられるか否かというどうにも曖昧な直感ではあるが、これが大事だったりするのである。

それが全く・・・微塵も伝わってこないのである。


採用することが前提での紹介者立会いのもと会食がてらの面接である。

北斗神拳のケンシロウは3つ数えて「ボンッ」であるが、私は話して3分でボンだ。



「まぁやってごらん・・・。」

そう満面の笑み浮かべながらささやくのが、私のできる精一杯である。


すでに脱落者も出ているが、この中からわずかな人数でも楽しく続けてくれれば幸いなのだが・・・。

いやせめて使った飲食代だけでも還元してもらいたい・・・頼むし!!




しかし・・・合コンで出会っていたならテンションMAXなのは間違いないのだが、「このコいったいいくら稼ぐかな?」という目線で見てしまう自分に一抹の不安を感じるわけである。


最近ちっともモテないのはこのせいだろうか・・・いや、歳のせいだな。







「こう見えてもオレは若いころワルかったんだよ。」

「若いころは金がなくって苦労したんだ・・・。」

「最高で5股かな?若いころはモテたからさ。」


はいはい・・・。

いろんな自慢をするおっさんが巷には溢れている。


ワルだったらその道を極めろと思うし、若いころ金がないのはあたりまえ。

そんなにモテたんならなんでそんなブスな嫁をもらったんだってことになる。


「最近揚げ物が食べられない・・・歳だよなぁ・・。」


なんだよ、今度は加齢自慢かよ・・・。

そう思う若いみなさん、これはたぶん本当のつぶやきだ。


私、あぶらを受け付けない。

油も脂もダメ。

朝から焼肉もとんかつもペロリといける『あぶら部部長』を自任していた私がである。


「野菜?そんなもん牛が食ってるから大丈夫なんだよ。オレはね、ビタミンも食物繊維も体内で作れるんだよ。」

「野菜スティック?虫じゃねーんだからさぁ・・・豆腐?年寄りか!!漬物?塩分とりすぎだべ?ていうかさぁ、よくそんな病院食みてーなもんで酒飲めるよな。肉食え肉!!」


激しく反省である。

現在の私は豆腐と漬物さえあれば記憶を飛ばすほどお酒が飲めるのだ。


外見は自分の努力でいくらでも若さを保つことが可能だが、中身的なことはどうにもならない。

加齢はだれにでも訪れる自然なこととはいえ、実に恐ろしい現実なのだ。



しかし、体はこんなにもあぶらを拒否しているにもかかわらず、なぜか顔もカラダもアブラっぽいのはなぜなのであろうか?


この現象も、まごうかたなく恐ろしい現実なのである。


おっさんは大変なのだ・・・。






ここのところ少なくはなってきた気はするが、相変わらずインチキくさい電話がなくならない。


「いつもお世話になっております。わたくしN○T お客様係り、株式会社ナンタラカンタラのサイトウと申します。いつもフレ○ツをご利用いただきましてありがとうございます。」


こんなあいさつから始まるインチキセールスである。


でもこのあいさつだけはよく練られている。

まず超有名企業の社名を印象づけ、そのあとに実在するかどうかは不明だが、長ったらしいカタカナの社名を告げる。

こうされるとほとんど記憶に残らない。


次にお得な情報。

ここからはダメダメである。

まあ大抵はこのあたりで『うちは間に合ってますから』と切られてしまうのだろう。

しかし私は違う。

事細かに説明を聞き、そして質問をするのだ。


「なんだよ!?そんなにお得ならすぐそうしてよ!!」


営業担当はしめしめと思うだろう。

しかしそうはいかない。


「じゃあさ、すぐやってよ。オレんとこわかるでしょ?お客様係りなんだから」


ここから反撃スタートである。


「え・・・いやアトランダムでお電話させていただいていまして・・・」


いやいや苦しいでしょそれじゃ。


「アトランダム?あれあれおかしいなぁ・・・どこに電話してるか言ってみ?お客様係りで無作為っておかしいよね?」


ここまで詰めるとほとんどがしどろもどろで、なかには「大田原内山田さんですよね?」なんて日本にそんな名字があるんかい!!と激しくつっこみたくなるような間違い電話のふりをするやつもいるのである。


あのさ・・・そもそもうちはフレ○ツじゃねーから・・・。



私にとってはひまつぶしのいい相手になるわけだが、彼らは仕事である。

会社ももうちょっとマシな応酬話法のマニュアルをつくってあげないと、せっかく高収入の夢を抱いて入社した営業マンが潰れていくだけになると思うのだが・・・。



『営業マンは使い捨て』

いまだにそう考えている販売会社もあるようだが、人材は会社の宝である。

私のところはまさにそれなのだ。

いくら私ががんばったところで売り上げはあげられない。

すべてを稼ぎ出すのは女のコなのである。


私の仕事は、人材の確保と、長く在籍してもらえるよう働きやすい環境をつくること。

そしてなんといっても稼がせてあげることなのである。


私もまだまだ修行せねば。