今年!人参の又根、玉葱の分球が多かったのはなぜ? | 家庭菜園を応援する農業おやじのブログ~家庭菜園・園芸用野菜の種のことなら市川種苗店

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更新が滞っている間、・・・いつしか・・・週末の外出は控えましょう!というご時世になっておりました。

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 新型コロナウィルスには未知の部分が多く、治療の本命たるワクチンが存在しないことが不気味です。 2割しか重症化しないとのことですが、その2割の中のある割合の人々は急激に重症化し、人工呼吸器なしには生存が難しくなる人が”確実に存在する”と報道されています。

特に高齢者や既往症を持った人が危ない!

私も今年から年金受給者。切実感はひとしおです。

 

 日本の初期対応を非難していた欧米が現在は武漢よりひどいことになってしまっています。日本も気を緩めれば明日は我が身。外国に比べて清潔で医療設備も国民皆保険も充実しているので気が緩んでたのかもしれませんが、見えない悪魔は容赦してくれるはずはありません。小池さんの口から飛び出した、「ロックダウン」「首都閉鎖」がすぐそこに迫っているような恐怖に感じられます。

前置きが長いのは恒例で、誠に申し訳ございません。

 

 

2~3月、夏秋蒔きの野菜の評価をお客様から聞く機会がとても増えてきております。もちろん、良いことも、悪いことも様々です。

 

暖冬による、野菜の価格低迷。これは暖冬により、積算温度が前倒しされたことにより野菜が早くできすぎたことによる供給過多という側面は明らかです。・・・が、それだけではないことも事実のようです。秋の台風禍の影響がなかった地域もあったでしょうが、そうでない地域も確実にあったはずです。それなのに安い??

輸入野菜の増加。強すぎる流通による安い価格決定。青果より安い加工野菜の需要が増えたこと。・・・などにより、本来の市場原理が働かなくなっているのではないかと私なりに考えております。

 

さて、悪いことが続きますが、

◆今年は夏蒔きの人参の又根が多かったとよく耳にします。

 

状況をまとめると、

①佐世保近辺では8月に異常に継続的に雨が降り続いた。

②8月に蒔いた人参は又根が非常に多かった。

③又根はほぼ同様な形で発生している。又の位置はほぼ一緒。

③早めに蒔いた、あるいは遅めに蒔いたものは又根が少なかった。

④そこそこ畝をあげていても、水はけがよい畑でも又根が発生した。

 

以下、下手な図で申し訳ございません。

本来、人参は上図のように生長しなければなりません。

普通、人参は初期の直根が地下に降りる力が大根より弱いので、発芽後1~1.5カ月程度は十分な水分が無いと直根が土中深く降りてくれないので、短根になってしまします。(大根はそこそこ乾燥しても地下に潜りこむ力が強いのである程度の根長は確保できます。逆に水分が多すぎるとその水に甘えるので短根の原因になる程です。)

 

しかし今年は水分が多すぎたのが禍となりました。

今年の8月のように雨がり続き、畑が乾く暇もない程であると、まるで畑が水田のようになってしまいます。すると土壌中の酸素が不足してしまいます。その傾向は深い程強いので、深い所ほど程酸欠になってしまうことになります。酸素がないと細胞は生きてはいけないので死んでしまいます。特に地下最下部の生長点がやられてしまします。その成長点が死ぬと地上部の摘心と同じように脇芽に相当するわき根がたくさん発生してしまいます。これが今年の又根の原因ではないかと推測されます。

 

小石や、有機物の塊に根が当たり又根が発生することもありますが、

この場合、又根の発生する部位はランダムです。今回は③に反しますのでこれらは原因ではないと推測されます。

畝上げが浅いと地下の水がはけないラインで又根になる可能性が高くなります。

通常は高畝にするほどその落差分だけ排水性は良くなるのが道理です。しかし今年は高い畝を挙げた土壌でも又根が発生しているようです。これは間断なく雨が降り続いたせいで、畝の落差=物理的な排水機能さえ失われた結果だと思われます。上述したように畑でありながら田んぼのような状況になってしまったものと思われます。

直根が地中に降りるとき酸素がある間は正常に真下に伸長することができますが、常に水分を福でいるライン=酸欠層に達すると先端の生長点が損傷を受けることになります。そしてこれが又根の発生の原因だと考えられます。従ってこのようなメカニズムで又根が発生する場合、畑全体に又根が発生します。又になる位置はほぼ同じ部分になるのが特徴です。

 

今年のような天候はまれだと思いますが、人参の場合、

◆良く耕して畑の排水性をよくすること。

◆排水性の良い畑が人参には適する(また発色も良くなる)ので、畑が選べるのであればできるだけ水はけのよい畑を選定すること。

◆畝は高く上げたほうが排水性が良くなる。

さらに、

◆元肥は多すぎると裂根につながるので、CECに応じできるだけ控えめにすることが大切。主たる肥料分は直根が伸びきって根径が肥大するタイミング以降に漸次効くようにできるのが理想的。

 

だと言えましょう。

 

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あと、

◆今年の超極早生玉葱は内部分球が多かった・・・

との声が多く聞かれます。

 

原因は8月の高温のようです。品種によらず発生しており、早蒔き程内部分球の程度がひどかったようです。またセル苗等で定植が遅れたり活着不良などで発生の程度が多かったようです。

 

生理的な障害のうち、花芽分化やトウ立ちは低温が主因ですが、分球の原因はストレスだと考えられます。ストレスなので、低温だけではなく、高温、日照不足、過湿過乾、肥料切れなど様々な条件が原因となりえます。今回は想定以上の8月の高温が内部分球の原因のようです。それは8月下旬~9月上旬蒔きでは分球がそれ程見られなかったという事からも言えるようです。

 

ただし、今回の分球が8月の高温が主因だとしても、同じように来年も起こるとは限りません。ここ5~6年の極早生玉葱の出来不出来と天候の相関を調べているのですが、一度として同じだったことはありません。これは播種から収穫までの時間が長く、生育が普通の野菜が休眠する12-1月も続くことが関係しているのではないかと考えられます。

 

私なりに超極早生玉葱栽培を考えるにあたり、

◆出来るだけ若苗を素早く定植し、素早く活着させること。

◆ある程度疎植し、肥料は成長に合わせて遅滞なく追肥し、10-11月にグーンと成長させ結球に最低限必要な8枚~10枚程度の葉っぱを十分に肥大させること・・・

が成功のポイントではないかと考えております。

 

※ご意見のある方のコメント大歓迎です。

 

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