N県のR.T様より「あごおちサラダ白菜」に異常な斑点が出た件でお問い合わせ(ちょっと時間がたっておりますが( ´艸`))がありました。
最初は生理障害か、病気か判断がつかなかったので、タキイさんに写真を送付して調べてもらいました。(私の経験が浅いのが悪かったのですが)珍しい症例でしたので、結論を引用する形でご報告いたします。
結論は白菜に発病したカブモザイクウイルス病でアブラムシの吸汁が原因でした。
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N市で野菜を作って販売しているものです。
御社のあごおちサラダ白菜の種を購入し、ここ何年か露地で作っています。
今年の収穫をしたところ、すべての株で内側に茶色の斑点がびっしりとつき、売り物になりませんでした。腐敗を伴うものではありません。
外側の数枚と芯の部分には問題がなく、内側の数枚だけが斑点入りです。
こんな現象は初めてです。また、同じ畝で作っている他の白菜(産毛のある普通の品種です)には全く問題がありません。何が原因か、どのように予防すればよいかを教えていただければ幸いです。
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【以下はメールをそのまま引用しております】
最初に思いついた生理障害ではありませんでした。ウィルス病でした!
◆生理障害では、ホウ素欠乏症、カルシウム欠乏症、マグネシウム欠乏症、ゴマ症などがあり、細菌病では黒斑細菌病などがあります。似ている部分もありますが、写真から判断するといずれにも該当しないそうです。
◆TuMV=カブモザイクウィルスの症状で間違いないそうです。過去に何度か見たことがある人が農場にいました。多くのブリーダーは初めて見たとのことでした。
◆TMVなどと同じウィルス病なので、種子感染、土壌伝染ではなく、感染したアブラムシによる吸汁感染だと思われます。ウィルス病はDNAをまたいで感染しますので、蕪や他のアブラナ科以外からでも、アブラムシの接触感染で移ります。
◆あごおちサラダ白菜に限らず、サカタのタイニーシュシュ、タキイのサラダ白菜など、毛が無いか少なくて柔らかい葉を特徴とする台湾系の品種が罹病しやすいとのことでした。先のメールでも書いた通り野崎系などでもみられる現象のようです。従いまして、毛がある品種や表皮が硬い最近の品種のほうをアブラムシが嫌うみたいで罹病には確かに品種間差があるようです。ただし、トマト等のように完全に耐病性の品種は上梓されている品種ではないようです。他の品種には感染したアブラムシがつきにくかったのが品種間差が表れた原因かもしれません。
◆感染した時点から以降、葉にウィルスが伝染していくので、古い外側の部分には斑点が見られず、内側に斑点が局在します。この境目の部分で飛来アブラムシにより感染したものと思われます。
◆ウィルス病は細菌病以上にかかったら治りません。アブラムシの予防を徹底する以外に方法はありません。 盛夏期の高温時期、雨が降らない時期、白菜だけではなく、大根や蕪や菜類などのアブラナ科、あるいは圃場周辺の野の草にはアブラムシが発生しやすいので、今年のような夏の場合、予防的な農薬防除が必要なのかと考えます。