神様が決めた法則・・・芽が出ない!! | 家庭菜園を応援する農業おやじのブログ~家庭菜園・園芸用野菜の種のことなら市川種苗店

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カボチャの芽が出ません、種が悪いんじゃないですか?
と、お怒りのお問い合わせがありました。

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よくお話を聞くと、2月、ポットに南瓜の種を蒔いたとのこと。ビニールのトンネルをして暖かくしてやっても、10日以上経っても芽が出ないとのことでした。

直接的な理由として想像できることは、
①温度不足、特に夜の温度。この温度は気温ではありません。地温です。
②電熱や発酵熱を利用した温床をしないと2月なら無加温では無理です。夜は平気で10℃以下に下がっているはずだからです。
③ポット直まきはポットのお尻の穴が小さいので、水分の対流が起きにくく、温床をしても種子の周りの地温が上がりにくい。・・・などです。

南瓜の場合、30度くらいの地温があると2~3日位で発芽してきます。しかも100%に近い発芽率を示します。
発芽が積算温度で決まるとすれば、理論的に導き出される結論は、
30×3=20×4.5=10×9なので
平均地温20℃なら5日くらい
平均地温10℃で9日くらい・・・で、発芽できる??・・・はずです。

でも20℃でも一週間以上かかるでしょう。多分10日以上かかるはずです。そのうえ非常に不揃いになります。さらに、双葉が十分に展開できなかったり、双葉に種皮がこびりついてたり、双葉の先端部分に腐れが見られたりします。
10℃だと全く芽が出ず、全部死んでしまうでしょう。
逆に30度以上だともっと短時間で発芽できるなってあり得ません。経験的に温度が高すぎても悪影響が出ます。

では、なぜこのようになるのでしょうか?農業を営む上でこうすれば良いという方法を知っていれば十分だとは思うのですが、私には満足できません。なぜか、どうしてだろうとずっと考えてきました。

多分、人間が無理に種を蒔き、芽を出させようとするからだろうと思います。
そして、100粒種を蒔いたら、少なくとも60粒くらいは健全に育ってくれと求めるでしょう。つまり最低発芽率=60%です。法律で定められた販売可能な種子の最低発芽率がちょうどこのくらいです。

でも、自然界で60%も発芽率があったら大変です。そこらじゅう南瓜だらけになってしまいます(笑)。魚たちだって何万と産卵し、生き残るのは数匹だと言います。植物だって何万分の一か多くとも数千分の一の確率でしか子孫を残せません。60%なんて生存率はどんな逆立ちしても無理です。

つまり、少ない種子を効率良く生存させていくためにはとても狭い最適環境を整えてやらねば当然失敗します。保育器で未熟児まで全部育て上げる現代人間と同じことをしないと無理なのです。
だからとてもシビア-な条件を満たしてあげないと上手く発芽できないのだと思います。

このブログで何度も書いてきました。「春は人より遅く、秋は人より早く」と!春は急ぐ必要はありません。特に家庭菜園においてはなおさらです。春の数週間の遅れは夏数日で取り返すことができるでしょう。春数週間早く種まきして低温の影響をうけるより、周囲の人が種まきしてもう大丈夫と思えるくらい暖かくなってからの方が失敗がないということです!繰り返しますが30度近い十分な地温が確保できないなら少しでも遅く蒔くように心がけた方がよいのではないかと思います。


では、なぜ自然はこのような無慈悲な運命を生き物に与えるたのでしょうか?
これはまさに「ダーウィンの適者生存」という法則に支配されているという証拠だろうと思うのです。

自然はどんな荒れ狂うか予測が付きません。自然自らでさえ予測すらつかぬだろうと思います。そのような激しい変化に耐えて生き抜かなければ種は存続できません。だから、千に一つとか万に一つとかといった激烈な生存競争を生き抜いた優秀な種でなければ少なくとも可能性はないわけです。

種が発芽するか、しないかというハードルは、受験競争などといった人間の競争から比べべても桁違いに高い障壁だと思います。 種が未来に向かって繁栄していくために、弱いものはこのハードルを越えてはいけないと神様が決めたのです。環境に適した強い種を選び出すためにどうしても必要な神様が決めた掟なのです。それほど通り抜けるのが困難なフィルターを60%以上の確率ですり抜けるためには相当な努力が必要なのだと考えるべきではないでしょうか。

種まきは奥が深い!と、つくづく思っています。



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