息子のペンケースが何だか汚れて見えるので、洗ってあげようかと思って一緒に中身を取り出した。

 

以前使っていた物は、↓の記事にも書いたが夫によって破壊されてしまった。

 

 

入学以来大事に使っていたもので、息子も気に入っていたのに。

 

恐ろしい力で筆箱だけでなくありとあらゆる文房具が壊され、息子は学校に持っていくものが一つもない状態になった。

 

鉛筆も全て折られていたし、定規も真っ二つ。

 

下敷きさえ割れていて、ノートは破られていた。

 

ここまでして一体どうしたいのだろうと思ってしまうほどの大惨事だったわけだが………。

 

その後、少しずつ買い揃えてお気に入りの物も増えてきた。

 

今回洗うことになったのは新調したペンケースで、まだ新しい。

 

でも、薄いカラーだったので黒ずんで見えてしまうため、洗おうと思った。

 

乾くまでは兄の子供たちにもらった予備を使用することにして、早速二人で中身を全て取り出す作業を開始。

 

ペンケースの前側にはチャックで閉まる小分けにできる部分がついている。

 

そこを開いたら、出るわ出るわ。

 

よくこんなに詰め込んだねというくらいの量の物が出てきた。

 

中には何に使うのか分からないようなものもあり、お友達からもらったお手紙もあった。

 

あとは光に当てるとキラキラ光る石?とか。

 

そいうのと一緒にぐちゃぐちゃに丸められた紙を発見して、苦労しながら広げた。

 

何かのお便りかしら?などと思いながら。

 

しかし、ギューッと小さくなっていたその紙はテストだった。

 

あの日に『見つかったら大変だ』と慌てて筆箱から取り出して隠したらしい。

 

 

 

 

広げて見ていたら何だか涙が出てきた。

 

間違いがチラホラあるけど、息子なりに頑張って解こうとしたのか、何度も書き直した跡が見えた。

 

力が弱くて消し切れていないので、前に書いたものがうっすらと残っている。

 

何度も書き直して黒ずんでいる部分もたくさんあって、85点と書かれていた。

 

頑張ったんだよね。

 

でも、85点じゃ何て言われるか分からなくて怖かっただろうね。

 

『どうしようもないバカだ。一日十時間勉強しろ!』と言われたかもしれないね。

 

隠しものを見つかってしまった息子は、少しバツが悪そうに笑っていた。

 

そうしたら、後ろから母がやってきてそのテストを見るなり、

 

「あら~、良い点なのに何でこんなにぐちゃぐちゃなの」

 

と言った。

 

その言葉を聞いて、二人顔を見合わせて笑った。

 

「でも、なんでまだ隠していたの?もう誰も怒る人はいないのに」

 

と聞いたら、本人はすっかり忘れていたんだそうだ。

 

テストのことなんて忘れてしまい、そのままになってしまったようだ。

 

あの日、全てを破壊されてうなだれていた息子は、

 

「おとうさん、どこかに行って帰ってこなければいいな」

 

と言った。

 

でも、今はすっかり元気になって父親から受けた仕打ちによる影響を感じさせない時間も増えた。

 

地獄のような日々は息子から笑顔を奪ったが、周りの人たちの優しさで着実に回復してきている。