今日は息子や兄の子供たちが家の中でかくれんぼしていた。

 

そんなに隠れるところも無いだろうに………。

 

一応ルールはあるみたいで、玄関から外に出てはいけないらしい。

 

それで息子が、

 

「ベランダは?」

 

と聞いたので、他の子たちが爆笑した。

 

「○○(息子)ちゃん、それ言うとベランダに隠れるってバレちゃうよ」

 

と言われて初めて気づく息子。。。

 

そうね。

 

宣言してから隠れるようなものなんだから、きっとすぐに見つかるよね。

 

基本的にみんな仲が良いので、集まるとすごく賑やかになる。

 

そんな様子を私たちは穏やかな気持ちで眺めていた。

 

隠れる場所を探してみんな家の中をウロウロ、ウロウロ。

 

何人かはカーテンの裏とかソファーの影とか普通の場所に身を潜めた。

 

そんな中、息子もウロウロしていたのだがふと姿が見えなくなった。

 

あれっ?

 

どこに隠れたんだろう?

 

最後の一人になって他の子たちが探し回るのだが一向に見つからない。

 

それでみんな、『あそこしかないでしょ』と思ってクローゼットを開けた。

 

だけど、実はそこは既に探したらしく、

 

「私その場所は見たんだよ。怪しいと思って一番最初に」

 

と姪っ子が言った。

 

それならどこに行ったの???

 

押し入れ?

 

押し入れは確かに隠れやすそうだけど、スペースがあるかな。

 

そんなことを思いながらみんなで確認した。

 

 

 

 

息子はそこにいた。

 

上手に隠れていて、服の端が布団から出ていなかったら気づかなかったかもしれない。

 

「○○(息子)ちゃん、みーつけた!」

 

その声と同時に息子が飛び出してきた。

 

こんな普通の風景が私たちにとっては特別だ。

 

楽しむことを諦めていたから、ちょっとしたことでも幸せだと感じられる。

 

すぐに押し入れから出てきた息子だったが、そのまま私の手を引いてクローゼットに向かった。

 

「どうしたの?」

 

と聞くと、

 

「アノ人の服が置いてあったんだよ」

 

と教えてくれた。

 

以前義実家の方に送ったはずなのだが、まだ残っていたらしい。

 

それを見た息子が、

 

「捨てちゃおうか」

 

と言った。

 

だけど、兄の奥さんが、

 

「こういうのは送り返した方が良いよ。後で何か言われたら面倒だし」

 

と助言してくれた。

 

「きっと何が残ってるか全部覚えてるよ」

 

と言われると確かにそうかもしれないと思えてくる。

 

「勝手に捨てたなんて言ってきそうだし、送ってサッパリしちゃおうよ」

 

と言うのでちょうど良さそうな段ボールを探した。

 

そこに兄の奥さんが器用に詰めていく。

 

文句を言われないようにきちんと畳んで、まるでお店の商品のよう。

 

夫の性格をよく分かってるんだなと感心しているうちに箱詰めが終わった。

 

すぐに出しに行って気持ち的にもサッパリしたのだが。

 

子供たちはその様子を遠巻きに見ていて、決して近づこうとはしなかった。

 

理由を聞いたら、

 

「なんか怖いから」

 

もしかして、夫の洋服等からもドロドロとした怨念が漏れ出てるのかもね。