大坂なおみ選手の問題を3つの視点で考えたい | 戦略PRプロデューサー・片岡英彦【公式】ブログ

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大坂なおみ選手の件、色々と話が転じて広告代理店界隈がワサワサとしてきている。もっとも、健康に優先する選択肢はないので、個人として先ずは心身の回復を願いたい。

ここで、お金の話をするのはイヤらしいが、年収60億とはいえ、テニスの賞金は5億円ほど。これだけの知名度の選手にしては決して多くないと思う。

税金など諸経費抜けば一般サラリーマンの生涯年収程度だ。それでも高額だと思うかもしれないが、スポーツ選手の旬は本当に短い。50歳、60歳まで今の賞金を稼げぎ続けるわけではない。

彼女は選手としては超一流なので、プロテニスプレイヤーとしての活動については、今後、記者会見のことなど含め、様々な配慮もなされるだろう。そうあるべきだと思う。

一方で、広告業界のワサワサは、もちろん残りの55億のスポンサー関連収入の話についてだ。

これは選手としての活動とは話が変わってくる。55億円の方の業界では、彼女はテニス以外のアスリートや映画スタート等とも並ぶ有力ではあるが一つの「華」に過ぎない。

オンライン上のコメントなどを見る限り思っていたよりも“アンチ”の声が可視化されつつある。これまであまり見えていなかった声だ。

スポンサー企業の投資は、彼女の選手としての「能力」に対してではない。彼女を取り巻く全ての「読者(視聴者)」からの評判(レピュテーション)に投資している。今すぐ「契約取消」など極端なことにはならないだろうが、今後の世論の流れによっては、契約更新を留保するなど、厳しい判断をするケースも出てくるのだろう。

こういった事象を見る時には、

①「個人」として
②「アスリート」として
③「広告塔」として

3つに分けて考えないと、話がおかしくなるのだ。

①としては、これは言うまでもない。医師のサポートの下で健康最優先にして欲しい。周囲からも十分な配慮が必要となる。

②としては、有力選手として様々な配慮はされるべきだが、他の選手との不公平は許されないだろう。また各大会における根幹となる規約は変えられない。コーチやトレーナーのサポートで判断していくしかない。

③としては、もっと上手い対外コミュニケーションをしないと、このままでは中長期的に彼女が失うものも大きくなる。一度“地雷”を踏んでしまうと次の話は来ない厳しい業界でもある。引退後の活動なども含めてアドバイスできる、心を許せるマネジメント担当が必要だ。

それから、影響力のある人物による「特定の行為」とその人の「病名」が過度に結びついてしまうことで、同じ病名の人が予期せぬ不利益を被ることがある。この点には注意したい。診断名は同じでも症状の重さや特徴は人それぞれだ。