安定期に入った経済大きな問題は、かってアダムスミスが指摘していた貧富の格差の拡大の問題です。

資本主義経済体制では富める人と貧しい人の貧富の格差が拡大してゆくという宿命があります。 成長期の経済では経済成長による労働力の需要の拡大があるため、貧しい人もその所得は富める人ほどではありませんが毎年増えて行きので貧富の格差の問題は大きな問題にはなりません。

 

しかし、経済が安定期に入ると、企業は成長期に得ていたほどに毎年の生産量を上げ、収益を増加させるという成長期のシナリオが期待できなくなります。 いきおい、収益を確保・増加させる方策として人件費を削減するという手段に走ることになります。

具体的な方法は、毎年のベースアップの抑制、パートなど非正規雇用を増やす、極端には人員の削減・・・。

あるいは、下請け企業への納入価格の削減・・・”下請けいじめ”などともいわれています。

 

こうして、社会的に有利な立場にいる人と、社会的に弱い立場に人(パート従業員や下請け企業で働く人たち)の所得格差の拡大が発生することになります。

アダムスミスが指摘した格差の拡大です。富める人はその立場を利用してそれなりに所得を増やしますが、貧しい人は富める人が所得を増やした分だけ所得を減らすことになります。

この様子は、アメリカの経済学者レスターサローが『ゼロサム社会』と言う言葉で説明しています。 すなわち、社会が生み出す”パイ”が一定な中で、誰かがより多くの”パイ”を獲得すると、ほかのだれかがその分取り分を減らすことになり、マスマス格差が拡大してゆくことになる。 そういう社会を「ゼロサム社会」と呼んで警告しました。

 

この10年に渡る格差の拡大は、一生懸命毎日働いても生活が良くならない人たちを生み”ワーキングプアー”と言う言葉が生まれました、また”子供食堂”と言った貧困層の子供達のために食事を提供しようとするNPOが各地で設立されています。

 

新自由主義、働き方改革、非正規雇用、と言った政策がこの傾向を促進してきたことは否定できません・・・。

 

では、次回は・・・安定期の経済政策の課題の2つめ経済規模の縮小スパイラル・・。