とりあえず、一旦物語の整理も兼ねて、不思議な世界でのキャラ設定を書きました。



*杏子(アンズ)-アリス-*
・白ウサギによって現代から不思議な世界に紛れ込んだ。一度暴走すると余程のコトが無い限り止まらなくなったりする。
・不思議な世界に介入する能力を持っているが、そのチカラは白ウサギが側にいるコトが条件となっている。
・不思議な世界を壊すコトが出来るらしいが、よくはわかっていない。
・知らず知らずの内に付人に利用される。

*杜松(ネズ)-白ウサギ-*
・アリスを不思議な世界へと呼び寄せた、”カギ”。
・トラブルメーカー。白ウサギのいる所には何かしら必ず問題が発生する。その問題の被害者が彼自身であるコトもしばしば。
・付人の変わり身になり撃たれる。アリスが一時消息を絶った後、行方不明に。

*霞(カスミ)-チェシャ猫-*
・いつもひょっこり現れる。
・アリスを大切に思っていて、アリスのボディーガード役を自ら買って出ている。
・身体能力は高め。

*瑞(ジュン)-帽子屋-*
・帽子屋の片割れ。召喚師。しかし空間転移の様な術は扱えない。
・持っている銃は魔法銃。あらゆる物体を擦り抜け、魔法で出来たモノだけを撃つ事が出来る。
・アリスのコトを気に入っていて、隙あらば狙っている。

*紫苑(シオン)-帽子屋-*
・帽子屋の片割れ。
・ジュンの銃とは違い、普通の機関銃を所持。ジュンが魔法を担当し、シオンが物理的な攻撃を担当している。
・前代アリスの魂を蘇らせる為に、現在のアリスの命を狙っているが、お人好しな性格の為いつも機会を逃す。

*蓮華(レンカ)-前代アリス-*
・不思議な世界へと迷い込んだ、アンズよりも前のアリス。どうやってこの世界へ入ってきたかは不明。
・シオンの恋人だった。
・今その体は女王の城の時間が止められた一室にて仮死状態のまま眠っている。が、それも完全なモノではなく、その部屋から出れば途端に塵となって消えてしまう。

*椿(ツバキ)-ハートのクイーン-*
・不思議な世界の管理者。不思議な世界の状態は常に女王の精神状況によって変化する。
・不思議な世界においては絶対的なチカラを有し、それに適うのはアリスの世界を壊すチカラだけ。
・プライドが高く、自分のテリトリーに他者が入るのを酷く嫌う。しかし一度気に入った者はとことん信頼し、口には出さないが大切に扱っている。気まぐれ。

*伊吹(イブキ)-黒服-*
・女王の側近。主に門番と女王の護衛をしている。
・女王の城の、何部屋もある内の書斎のひとつ、不思議な世界の歴史書を安置している部屋で生活している。
・気まぐれな女王に唯一意見するコトが出来る。頑固な女王の気持ちを少し変えるくらいには発言権を持っている。
・女王だけが黒服の下の名を言う辺り女王から絶大な信頼と信用を買われていると思われる。

*檪(アララギ)-使用人-*
・黒服とは昔なじみの腐れ縁。女王の城で雑用をこなしている。
・普段は掃除をしたり洗濯物を運んだりしているが、女王がある程度は魔法で済ませてしまうのでほぼ城の中で自由に行動している。
・どうやら炊事の様なモノはしていないらしい。かと言って誰が料理を作っているのかは謎。

*木立(コダチ)-付人-*
・アリスがこの世界で一番最初に遭遇した人物。強力な魔法使いで、女王の側近の一人だった。
・女王を裏切ってアリスに世界を壊すように命じたが、失敗に終わった。しかし彼は諦めてはおらず、再びアリスと接触し自分の計画成功の為にアリスを利用する。
・命令されてもそれ以下の行動もそれ以上の行動もしない。言われたコトだけを忠実に守る、ある意味仕事マン。




こんなもんかな。
ところどころこれから先に露になる設定もありますが、まぁ、それも一興ってコトで。
さてさて。
友人たちから更新を心待ちにしていただいているコトだし、続きをそろそろ書きますか。
突然目の前でアリスであるアンズが消えたというのに、女王は無反応だった。
ただひたすら、震える我が身を抱き抱え、身を小さくしていた。

雑用係のアララギと共に客人らを他の部屋へ移した後、黒服は女王の元へと歩み寄った。


「女王」

「……」

「女王」

「……」

「…帽子屋を初めとする客人達には、他の部屋に控えさせています」


黒服は未だ床に座り込んだままの女王に目線を合わせるように跪いて声を掛ける。
女王は俯いたままで、顔を上げようとしない。
仕方がないので、黒服はそのまま続けた。


「アリスが消えました。現在のアリスの方がです。召喚された前代のアリスは、帽子屋が術を解いたため消えました」

「……」

「そして、コダチも現在行方が知れません」

「…コダ…チ……?」

「先程俺が撃ったのは、変わり身でした」


そこでようやく、女王が顔を上げた。


「ユウ……私は……」

「……」

「コダチは……私を、裏切った…のか…?」


顔を上げた女王は、”女王”ではなかった。
女王としての威厳や品格などを取り払った、素の彼女がそこに剥き出しになっていた。
普段は余裕綽々としているその表情は、今にも泣き出しそうな少女のあどけなさが露になっている。




「…俺達側近の役目は、貴女を守るコトです。彼があの行動を取ったというコトは……そう、でしょうね」

「………そう、か…」


女王は悲しそうに目を伏せた。

黒服は知っていた。
どうして女王がそこまで取り乱しているのかを。

女王は恐れているのだ。
この世界を壊されるコトを。
誰かに裏切られるコトを。

だから女王はアリスを自分の側に置こうとした。
すぐ側に置いていつでもその様子を監視できる様に。
だから女王は城から出ない。人にも関わらない。
人と触れ、人と関係を持つコトで、絶望から身を守る為に。

この世界の誰もが、世界が壊されるコトを恐れている。
だから先程コダチを撃つ時も、シオンもイブキも、彼を捕らえ、殺すコトに躊躇しなかったのだ。
しかし、女王は特に敏感にその悪意を察知してしまう。
まるで自分の身体が壊されるかの様に怯えてしまうのだ。

黒服はしばらく沈黙していたが、再び口を開いた。


「女王。世界はまだ、こうやって存在している。…壊されてはいない」

「……本当に……?」

「ええ」

「本当に……壊れていないと思うのか…?私が、そう錯覚しているだけかもしれないだろう!?今私達がいるこの世界が実は仮初のモノだとしたら!?今!……今私の目の前にいるお前も、次の瞬間に壊れてしまったら……?目の前に広がっているこの世界が本物だと……誰がそんなコトを言いきれる!?」


女王は不安に駆られていた。
女王としての威厳を忘れるほど。
それほどまでに、彼女は信頼していたはずの付人に裏切られたコトにショックを受けていた。
そんな彼女を前に、黒服は外を見た。


「外をご覧ください、女王。雨が降っていますでしょう」

「………」

「ご存知でしょうか?この世界の天候は貴女の精神状況によって変わります。貴女がこの世界の基準になっているのです。貴女が喜べば快晴に。貴女が怒れば嵐に。そして貴女が悲しめばこの様に雨が降ります」

「……」

「この世界を生かしているのは、貴女です。女王」

「わた…し……」

「ええ。…忘れないでください。貴女はハートのクイーン。この世界を管理する者…。貴女がこの世界を仮初だと思ってしまえば、この世界はそのように姿を変える」

「………」

「この世界と貴女は、繋がっているのです女王。御気を確かに」


女王はそのまま外を見ていた。
そこからは薔薇園が見え、いつも女王が座っている小さなテーブルセットが雫に濡れていた。
そのテーブルセットの上には、この前女王が切り取った薔薇が一輪、ガラスの花瓶に生けられていたはずだが、そこに薔薇の花はもう無かった。


「立てますか?女王」

「……ああ、立てるとも…手は貸さなくていい」


女王はやっと立ち上がると、そのままテラスへと足を運んだ。
まだシトシトと小雨程度に雨が降っていた。

すると扉が開かれ、アララギがヒョコヒョコとやってきた。


「あ。良かったココにいて」

「アララギ。…どうしたんだお前。濡れてるぞ」


黒服の言う通り、雑用係のその付人は少しばかり濡れていた。
しかし本人はそんなコト気にしていないようだった。


「いや~、ちょっとふと見てたらね。あ!と思ってね」

「…ちょっと待て。ちゃんと説明しろ。理解できない」

「まぁまぁ。お前はいいんだよ女王に用があるんだよ。…で、あの。女王」


付人に声を掛けられて、女王が振り返った。
すると付人が何かを差し出した。


「コレは……もしかして…」

「この前小さな開きかけの薔薇生けてたじゃないですか。それがね、開いてたから。喜ぶかな~と思って」

「……そうだな…」


微笑んで、女王は薔薇の花弁に触れた。
サラリとしたベルベットの様な質感のそれは、雫に美しくその身を紅く輝かせていた。


「ありがとう…」

「いえいえ」

「そういえばこの薔薇…棘はどうした?」

「あ。その花取った時に確か女王怪我しちゃったでしょう?だからさっき全部取っちゃいました」

「バカなコトをするな。それでお前が傷を負ったらどうするんだ?雑用係」

「ええもう、この通り刺さりまくりました」


そう言うと付人は両手をパッと見せる。
引っ掻き傷の様な傷がいくつもあり、血が滲みかけている。
それを見て女王は「ハッ」と笑った。


「それは大変だ。ユウ。同郷のよしみだ。早く治る用に手当てしてやれ」

「御意。よし手を出せ。塩塗り込んでやる」

「やめて痛いから!」


二人がふざけ合っているのを女王は微笑みながら見ていた。
そして薔薇の花を顔に近づける。

その背に広がる薔薇園は、雲間から差し込む陽射しにその雨の雫で濡れた体を光に反射させてキラキラと輝いていた。
「前代………、…アリス——召喚…!」


響いたのはジュンの声だった。
女王がハッとして振り落とした腕をそのまま振り払った。

すると、女王とシオンの前で魔方陣が展開され、光が集束する。
それは眩さを増し、人の形を形成していく。


「……前代アリス…」


そこに現れたのは見目麗しい女性だった。
アンズはその女性に見覚えがあった。


「レンカさん…?」


レンカ


ソコにいたのはシオンと共に写真に写っていた女性、レンカだった。


「お前、まだ意識があったのか。しぶといな」


黒服が未だ床に這いつくばっているジュンを見下ろしながら言った。
すると、ジュンは腕をつっぱりながら身を起こし、


「昔から図太いのだけが人一倍でね…」


そうジュンが皮肉を言うと同時に、広間の扉が開かれ、先程唯那たちを案内していたコダチが、進入するなり大声で叫んだ。


「今だアリス!世界を壊せ!!」

「「「「!!!」」」」


彼がそう言った直後、シオンが付人の体を捕らえ押さえた。


「お前っ!!」

「くっ、早くしろアリス!壊すんだ!!」


彼の声に女王が体を強張らせ自分の身を抱くようにして座り込む。
怯えた様な女王の様子に、傍らのアンズは首を傾げた。


「女王…様…?」


アンズがしゃがみ込んだ女王に触れようとしたその時、銃声が響いた。
アンズが振り返ると、ソコにはシオンに押さえられた付人が黒服によって撃たれた所だった。
キン…、と薬莢が落ちた音がやけに大きく聞こえた。
シオンの腕の中で、グッタリとしている彼。
アンズは血が逆流するような不快感と共に意識を手放した。






つづく。

次で一旦唯那がこの夢から目覚めたという夢を見ます。