前立腺の大きさ | 松山市はなみずき通り近くの漢方専門薬局・針灸院 春日漢方

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     [前立腺と排尿障害]


 薬局向けに無料で送られてくる、『クレデンシャル』という医療・薬学系の情報誌の8月号に、前立腺の特集がありました。その特集は、世間でいう「前立腺肥大」というものの概念が、変わってきているという記事から始まっていました。

 初老の男性が、小便の出が悪い、夜間尿が増えた、残尿感などで泌尿器科を受診して、前立腺の肥大を見つけると、前立腺が尿路を圧迫しているから、小便の出が悪いのだ。原因=前立腺肥大。結果=排尿異常、という分かり易い<因果関係>が成立して、場合によっては前立腺を内側から削る手術も、よく行われていました。


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 しかし一方で、わたしが学生のころから、60歳にもなれば、ほとんどの前立腺は肥大している、などの情報も耳にしており、ずっと疑問に思っていました。
 この記事の冒頭で、「これまで男性の尿路症状は前立腺による尿路閉塞が原因であり、閉塞を解除することで症状も改善する、とされてきた。しかしこの単純な仮説は臨床試験によって、きちんと検証されたことはなく、この問題に正面から取り組んだ研究はほんの僅かである、といわれている。」

 前立腺の手術を受けた人の話は、相当の数を聞いていますが、ちゃんとした根拠があって、手術していたわけでは無かったんだ。人間の身体の働きを、ひどく単純に考えて治療が続けられてきたんですね。
 また、術後しばらくは症状は改善していたけど、1年ほどで元に戻ったということも、よく聞きました。 それにああいう微妙な、敏感な部分にメスを入れると、後でややこしいことになる人も、まま、あるように思います。

 また記事の中で、前立腺の肥大化と小便の出具合(時間あたり流量)の関係を、国際比較しています。
 日本人の前立腺の容積の平均は、45歳で17ccから75歳の23cc(1.3倍)に増加します。いっぽうアメリカ白人は、24ccから38cc(1.6倍)に増加します。
 それに対応する1秒当たり排尿量は45歳の23ccが70歳の15ccに減少するのは、日米でほとんど差がありません。
 つまり前立腺の圧迫の程度は、日本人はアメリカ人よりはるかに少ないのに、排尿障害の程度は同じなのです。

 「結論としては、前立腺が大きくなればたしかに排尿障害は強くなりますが、そこには膀胱そのものの機能、排尿・蓄尿に関する神経系などが複雑に関わっていることが分かります。」


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 わたしも若いときから、小便の出が悪いほうでした。少し体調が思わしくないと、小便の勢いがなくなります。勢いが良くなるのは、身体を動かしたとき。散歩で30分ほど歩いたり、店の掃除で汗をかくほど雑巾がけをしたりするとよく出ます。
 つまり軽い運動で「気」が巡ると、あちこちに滞っていた水分が集まってきて、気持ちよく降りていきます。逆に気がかりなことがあったり、焦っていると小便は前向いて出てきません。
 またほとんどの人が針灸治療をすると、帰りには必ず小便がよく出ます。人によっては足の浮腫みがその場で減ります。これは針灸が「気」の流れをよくする効果が大きいからです。

 漢方薬では、排尿異常といえば、腎・膀胱の機能を高める八味丸をよく使います。これは根本の原因を老化としていますから、夜間尿が多い、腰痛や倦怠感があって、胃腸の苦情の無い人に向きます。
 
 排尿痛や陰部の違和感などのある場合には、龍胆寫肝湯(リュウタンシャカントウ)をよく使います。尿路の炎症でなくとも、肛門や陰部の粘膜の痛み・炎症によく効きます。
 その名のとおり、龍胆(リンドウ)の根が主薬になって、下半身の粘膜、泌尿器・生殖器、血の熱を冷まします。