私はチェアヨガインストラクターでもあるのですが、ヨガというのは心と体を健やかにするためのものとして広く知られていますよね。
ヨガ中に度々つかう言葉に、「背筋を伸ばして」「坐骨から登頂に向かって背中引き上げて」「肩の力みをほどいて」というものがありますが、これらは姿勢に意識を持つための言葉がけですね。
姿勢がなぜ大事なのかよく考えて見た事はありますか?
姿勢が悪いと背骨が歪むから
姿勢が悪いとだらしなく見えるから
姿勢が悪いと歩き方がおかしくなるから
人それぞれの考え方があると思いますが、瞑想やヨガ、座禅において姿勢への意識を持つことが頻繁に言われるのは
背骨がまっすぐ伸びている姿勢の時にもっとも人の呼吸が深くなるから。
ということが一番の理由だと私は考えています。
なぜ猫背の人からは気力もないような雰囲気を私たちは感じるのか。体の状態でいえば、ただ背中が丸いだけなのに。
それは本当に「気」が回っていない状態だからです。
私たち人って、人の出している見えないエネルギー(気と呼ばれるもの)を感覚的にちゃんと察知しているんですよね。
酸素をたくさん取り込んで体の中にエネルギーを取り込み、二酸化炭素をしっかり吐き出して体の中のいらなくなったエネルギーを自然に放つ。
この私たちの中を絶え間なく巡ってくれる生きるエネルギーは深くゆったりとした呼吸によって強くなります。
肺の下部まで深い呼吸が行えるのは、背中がすっと空に向かって引き上げられている状態の時です。
その時は丹田と呼ばれるおへその下の部位にも程よく意識が向いている状態ですね。
背中をまっすぐにすることにはそれを支える腹筋も必要ですから。
そうして程よく緊張感を持って姿勢を正して過ごすことは、マインドフルネスに繋がります。
常に、今の自分の姿勢に意識を向けていないとできないからです。
とはいえ、起きてから寝るまですっと姿勢のことばかり考えてはいられませんよね。
でも特に気をつけていただきたいのはパソコン仕事の人。
人は集中すると画面に頭が引き寄せられがちなので、そうなると首や肩に過度な負担がかかってしまいます。
お尻の後ろの方をどっしりと座面に預ける意識が持てると素晴らしいですね。
腰の付け根から前傾になっていることもあるので。
頭蓋骨が体の前に飛び出している状態は人の体力や気力を消耗し、それに伴って呼吸が浅くなるので集中力にも影響してきます。
頭蓋骨が体の真上にちゃんと乗っているか、たまに意識を向けてあげると、体も心も「気付いてくれてありがとう!」と大喜びしてくれると思います。
私はこの文章を書く時は椅子の後ろに腰から背中に当たるようなクッションを挟んで腰の負担を軽減させています。
長い時間背もたれと体が離れている状態が続くと腰と背中に緊張が強く出るのです。
そのように自分の体がどんな姿勢が苦手かということを知っておくのも、自分の体を大切にするということに繋がります。
自分を大切にするとは、精神的なものだけではなく肉体的にも同じことです。
痛みがある箇所、慢性的な寝不足、食べているもの
それらに無頓着でいすぎると、体と心は密接な関係がありますから、メンタルにも必ず影響を与えます。
もっとストレートな表現に言い換えると、
体に痛みがあることが心の不安につながるということが言えるのです。
体が健やかであって心が健やか。逆ももちろんそう。
私たちは物質的であり精神的な存在です。
どちらの面をおろそかにしても本当の安心を感じることはできないと言えるでしょう。
エスカレーターに乗っっている時、エレベーターの中、電車の待ち時間や移動中、
その場面で「今、私の姿勢ってどうなっているかな」と気づきを持つことを取り入れてみて欲しいです。
これがマインドフルネスです。
「今の自分の状態に優しさを持って気づきを持とうとする意識」です。
姿勢が悪いと感じても、そこに「悪い」というジャッジは必要ありません。
その状態を冷静に観察するだけです。
「左足に重心が乗っているな。そういえばよくこの姿勢をしている。」
「首を少し右に傾ける癖があるようだな」
「いつもカバンをこっちの方にかけているな」
「足を組んでいることが多いな」
姿勢が「良い」「悪い」というのはジャッジです。
その状態を客観的に、冷静に見るだけということに意識を持つと、「良し悪し」で判断して終わらせるよりも、より具体的に改善に向かう気づきが得られると思いますよ。
私は普段から姿勢をものすごく気にしていますが、それは20歳のときにスノーボードで転倒して頭を縫う大怪我をした頃から、なんとなく腰の痛みがおさまらないというところから始まり、
「これくらい誰にでもあるだろう」と何年もほったらかしにした結果、何かの拍子に腰をかなり痛めてその後背中まで慢性的に痺れている状態を2年くらい経験したからということがあったからです。
その時は精神的にもかなりネガティブな状態で、自分の「ない」にばかりフォーカスがかかって、周りの人の豊かさが羨ましくて妬ましくて、そんか自分が好きになれなくて、かなり不安定でした。
更に保育士の仕事で床に横ずわりでいる姿勢を長くとっていたので、体が「いい加減にしてください」とメッセージを送ってきたのでしょうね。
最終的にはちょっとつまづいただけなのに「ぱしんっ!」と首の付け根を捻挫して働くことを一回やめるという選択をすることができましたが、
あれは二度と経験したくない痛みです。
そんな経験させてもらったので、現在の私は「バレエか新体操かやられてたんですか?」とよく言われるほどに姿勢に常に意識が向いています。
ある意味、ショック療法ですよね。笑
私に姿勢の大切さや、背骨が歪んでいないことが生きる上でどれほど大切なことなのかを気づかせてくれるための出来事だったと思っています。
と言うことで今回は「姿勢がなぜ重要なのかと言うと、人は背骨がまっすぐに伸びている状態の時に深い呼吸をすることができるからです。呼吸とメンタルには交感神経や副交感神経の関連として強い結びつきがあります。深くゆったりとした呼吸を行うために、日常での自分の姿勢の状態や癖に意識を持って見てください。そしてその時は良し悪しのジャッジを介さず、ただ状態を見るということを意識て行ってください。姿勢と精神状態の関わりはとても強いので、気づきを持つ瞬間が増えていくと、きっとポジティブな変化を感じていただけると思います」というお話でした。
体に痛みがないということは、本当にありがたいことですね。
健康な体があること、感じる心があることへの感謝を大切にして過ごして行きたいです。
次回は「慢心にいつも心を向ける」です
読んでいただいてありがとうございました。