【東京マラソン2021レポ Harf~Finish】
ハーフを過ぎ、改めて自分自身の体力を確かめる。
特に疲労感は、感じられない。
呼吸も、通常通りだ。
ハーフ通過が1時間26分と言うことは、
フィニッシュでサブ55が出来るのでは?
一瞬、そんな考えがよぎりますが、慌てて打ち消す。
変な色気を出して、全てをぶち壊しては、元も子もない。
今はサブ3を目指し、落ち着いて、淡々とペースを刻むのみです。
富岡八幡宮の折り返しを回り、25km地点のマットを踏み越える。
25km通過 1時間42分48秒 (1時間46分15秒)
※( )はサブ3設定ペース
相変わらず、キロ4分5秒前後のペースを刻めている。
ふと前方を見ると、準エリートの女性ランナーを先頭に走る、数人の集団を発見。
似たようなペースで走っているので、その後ろに付かせてもらう。
胸を張って、テンポ良く走っているその姿に良い影響を受け、自身の走りも楽になってくる。
やはり、一人で走るより集団で走る方が楽です。
やがて、蔵前の交差点に戻り、左折。
コースは銀座方面へと向かいます。
30km通過 2時間03分34秒 (2時間07分30秒)
華やかな銀座の街並み。
背の高いビルが並んでいる。
しかし、そのビルとビルの間、交差点に差し掛かると、突然、横風が襲って来る。
ここまでは大して風を感じることは有りませんでしたが、ここに来て、ビル風が強く吹くようになりました。
ただ、集団の中を走っているので、そこまで気になる事は無し。
風向きに合わせ、細かく位置を調節。
前を走るランナーさんに、心の中でお礼。
有難うございます。
コースは日比谷の交差点を左折、田町の最終折り返し地点に向かい南下。
35km地点を過ぎ、いよいよ終盤戦です。
35km通過 2時間24分15秒 (2時間28分45秒)
相変わらず、小さな集団の中を走る。
と、前を快走していたランナーの膝が、急に落ちた。
どうやら、脚が攣った様子。
そのまま、後方へと姿が見えなくなる。
終盤に来て、確実に疲労が蓄積されています。
かく言う私も、両脚に疲労物質が溜まっているのが感じられる。
先程のランナーのように、急に機能停止してしまうこともあるかもしれない。
幸い、呼吸はまだ苦しくない。
脚に意識を集中して、丁寧に丁寧にピッチを刻む。
東京タワーを過ぎ、「残り5km」の看板が目に入る。
ここのまま行けば、サブ3は、ほぼ確実か。
と、その時、沿道から檄が飛ぶ。
「サブ55行けるぞ!」
私にではなく、前を走る知り合いのランナーに向けた言葉のようでした。
しかし、その言葉を聞いて、ここ迄あえて考えないようにしていた感情が湧き上がる。
「キロ4分15秒でいいんだ」と言う考えが、ここ迄の走りに、安心感を与えていました。
このまま、集団の中で走ることで、安全に目標を達成する事ができるだろう。
しかし、終盤に入って集団のペースが明らかに落ちてきています。
田町の折り返しを回ると、風向きが変わって、強い向かい風
39km地点のラップは、4分21秒。
それでも、サブ3には十分なアドバンテージがある。
安全にサブ3をゲットするか?
それとも、敢えて集団を抜け、勝負に出るか?
選ぶまでも無い。
ここまで来たら、勝負の一択です。
残り3kmの看板を過ぎると同時に、集団の前に出る。
同時に、向かい風の圧を、モロに受ける。
ここまで、それほど風の影響はありませんでしたが、最後の最後にきて、強烈な向かい風でした。
40km地点のマットを越え、傍らには経過時間が表示されているハズ。
しかし、もう時計には目もくれず、とにかく全力で前に突き進む。
残り2km。
ひたすら風の壁を押し返す作業。
息が苦しくて仕方が無い。
フォームがバラバラなのが自分でもわかるが、もう立て直す体力も無い。
残り1km。
丸の内通りに入る。
周囲のビルのおかげで、風は幾分マシに感じられたが、
体力はとっくに限界を超え、息も絶え絶え。
両脚は乳酸爆弾で、破裂寸前です。
この通りの突き当りが、フィニッシュゲートへの曲がり角のハズ。
しかし、走れど走れど、一向に見えてこない。
1kmが、果てしなく遠い。
沿道に、多くの観客。
声は出せずとも、拍手で応援してくれます。
再び、マラソンを走ることができるようになったんだな…。
歯を食いしばって走る中でも、そんな喜びがこみ上げてくる。
応援に押され、ついにフィニッシュゲートが目の前に。
サブ55は達成できるのか?
分からないが、もう残る力を吐き出し、全力で走り切るだけだ。
最後の一滴まで振り絞り、
ついに東京マラソン2021のフィニッシュゲートを越えました。
【記録】2時間54分22秒