§アラビアン・ナイトは眠れない 3
「っはあああああ~~~・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・どーしたー?蓮・・」
深く長いため息を朝っぱから何度もつかれて、社はようやく突っ込みを入れた。
まだ早朝の企画営業課では、社と蓮しか出社していなかった。
いつもなら京太がみんなのディスクを磨いて、笑顔で出迎えてくれるはずなのが今日は蓮の重苦しい空気とため息ばかりだ。
出社してきたばかりなのにもう三度もこのため息を聞かされて、社はいい加減口を開いたのだ。
「・・・・・社さん・・・・俺・・・京太が好きです」
「へ~・・俺も好きだぞ?可愛い部下だし、弟みたいだし」
「・・・キス・・・しました・・・無理やり」
「へ~・・可愛いからな~・・・・・・・・・・・・・ぅええ!!?キッ!?」
「めちゃくちゃ驚かれて、突き飛ばされて逃げられました・・・・ハハ・・女の子ならみんな腰砕けにすることできるのに、京太は走って逃げました・・当然ですよね?男の京太に男の俺がキスしたんですから・・・ハハハ・・・・」
(・・・・こ・・壊れてる・・・)
遠い目つきで、無表情のまま空笑いする蓮の屍のような動きに社は困惑した後少し考えて・・考えて・・・・ダラダラと汗をかいて眉間に皺を寄せて大きくため息をついた。
「蓮、こっちにこい」
蓮の腕を掴んで立ち上がらせると、第二会議室を使用中にプレートを移動させて二人で入った。
「・・・・・いつ・・そうなったんだ?」
「昨晩・・たまたま先に帰した京太が、貴島に誘われて行ったバーにいて・・帰ろうとした俺を京太が追いかけてきて・・・」
「いや、そうじゃなくて・・・・いつから・・京太のことを・・その・・・・特別に?」
社の問いに、蓮はキョトンとした後しばらく考え込んだ。
「いつ・・・かな?・・・・自覚したのはキスする直前だったけど・・・可愛いと思い始めたのは、資料倉庫に閉じ込められた時に暖を取るために後ろから抱きしめた時に女の子みたいに細いのに俺のためにジャケットをかけて自分は体を冷やし切るのかって思って・・・・・でも・・一番は・・・あの時かもしれません・・」
「あの時?」
社に答えるためなのだが、その時の光景を思い出した蓮がくにゃりと頬を弛めた。
「・・・彼が初日に、告白しにきた女性社員から俺を救い出しに飛び込んできてくれた・・・真っ赤な顔で必死に・・・あの時から俺は彼に心を掴まれていたのかもしれません」
柔らかな表情で微笑む蓮に、社は大きく息を吐いた。
「まさか・・・お前をあの『一晩ループ』から救い出した奴が・・男だとはな・・・・・・」
自分がいつか言っていた、『蓮を救い出してくれる本命の相手』が京太だったことに社は納得できるようなできないような複雑な気持ちでじっと蓮を見た。
照れながらも幸せそうに微笑む蓮に、社も笑っていた。
「・・お前・・・・見る目あるよ、京太はすっごくいい奴だからな?・・・でも、男だ」
「・・・・・はい・・」
現状を客観的に伝えてくれる社の言葉に、蓮は真剣な顔に戻った。
「気持ちも伝えずにいきなりキスするのは相手が女性でもダメだろ?ましてや同性相手に心の準備もさせないで・・・京太・・・お前に嫌がらせされたって思っているかもしれないぞ?」
社の言葉に蓮は、先ほどまでの幸せオーラを一気に腐のオーラに変えて凹んだ。
「・・・どうしたら・・・いいでしょうか?・・・・」
予想以上に凹んだ蓮に、社は慌てて慰めた。
「と・・とにかく、出社してきた京太を営業の勉強だと外に連れ出して誤解を解け!いいな?」
「っ・・・誤解・・・じゃないんですが・・・・でも、もし・・・ショックで・・・休んだら・・・」
いつも朝一番に来ていることを見計らって、朝から蓮も話をするつもりで来ていたのに京太が出社していないことに嫌な予感が拭えなかった。
「今日がダメなら明日!お前のスローガンだろ?!」
「それは・・仕事での・・・・・」
「仕事も恋愛もたいして変わんないよ、如何に真剣に向き合うかだ・・・相手とも・・・・自分とも」
社にそう励まされてようやく蓮は、いつもの調子を少し取り戻して課に戻ることが出来た。
(京太に会ったら、昨夜のことちゃんと謝ろう・・そのうえで俺の気持ちをきちんと知ってもらおう)
決意を固め課に入ると仕事に取り掛かった蓮に、その決意を簡単に打ち砕く言葉が村雨から伝えられた。
「あ、主任!おはようございます!!さっき社長室から電話があって京太に用事があって昼過ぎまでこっちに戻ってこれないそうです」
「・・・・・え?・・・・・」
***************
「っ・・・ずずっ・・・・っひぃく・・・・うっうっうっ・・・・・」
京太の姿を半分解いて、キョーコはボロボロと涙と鼻水を流しながら困り果てた表情のローリィの前に居た。
昨夜遅く、急に『もう、このお仕事を引き受けることが出来なくなりました』と泣きながら電話をしてきたキョーコを説得して朝、直接この社長室に来てもらったのだ。
「・・・本当なのか?・・・本当に蓮が君の正体に気が付いて・・・」
ローリィの問いかけにキョーコは頷いた。
「ずずっ・・・はあ・・・・本当です・・・『なんで男なんだ?』って聞かれて・・・キスされて・・・・・私の正体も気持ちもバレちゃって・・・だから一晩相手をして、私に諦めてもらおうと・・・っっっつ~~」
そこまで言ったキョーコは、また耐え切れなくなりボロボロと大粒の涙をこぼし始めた。
そんなキョーコの姿を、痛々しそうにローリィは見つめた。
「すまなかった・・・・君なら・・・君の強さなら・・蓮を救い出してくれるんではないかと思って、この仕事をさせた俺の責任だな・・・・ビル清掃の君を無理やり引き抜いて、大学時代の友人がいる秘書課に入社させるからとこんな仕事を押し付けた俺の責任だ」
君を傷つけてすまなかった・・・・と、ローリィに深々と頭を下げられキョーコはようやく涙を止めた。
「ぐすっ・・・・・いえ・・・私が悪いんです・・・ちゃんと知っていたのに・・・うっかり好きになっちゃったから・・だからバレちゃって・・・・」
「しかし蓮は、俺の所に何も言いに来ないぞ?」
「・・・もしかしたら社長に頼まれたことは、バレていないのかも知れません・・・男装までして側に来たがったバカな女だとしか・・・・」
キョーコは、諦めに満ちた笑い顔を張り付けて言ったがローリィはどうにも腑に落ちなかった。
「・・・・・・ちょっと蓮に連絡してみよう・・・もし正体がばれているなら、最上 キョーコとして企画営業課で今手がけている仕事をこなして欲しい」
「ええ!?」
ローリィの提案にキョーコは驚きで、一度涙が引っ込んだ。
「企画営業部長から、『最上 京太は本当にいい新人だ』と連絡をもらっているんだよ・・・だから、本当はこの仕事をこなしても秘書課に配属するのは惜しいと思っていたことろだったんだ」
ウィンクするローリィに、キョーコが呆気に取られているうちに電話を企画営業課にかけ始めた。
「ああ・・俺だが・・・・・蓮を出してくれるか?・・・・・ああ・・・蓮か?」
ローリィのその言葉に、キョーコはドクンっと心臓を高鳴らせた。
昨晩の苦しそうな表情の蓮を思い出したからだ。
(・・・きっと・・・ひどい奴だって思ってる・・・・男のフリして近づいて・・・信用を得て・・・・・・裏切った・・・・)
キョーコの瞳にまた熱いものが込みあがってきた。
(いつ気づかれたんだろう・・・・敦賀さんに『京太』って呼ばれるの・・・本当はすごく嬉しかったのに・・・・でも・・・・こんなことになるなら、一度でいいから『キョーコ』って呼ばれてみたかった・・・・)
蓮に拒否されたらここにはいられない・・企画営業課の仕事も楽しくなってきて、仲間たちも同じ会社内にいる奏江たちにも会えなくなることを思い涙が溢れてきた。
赤くなるのも構わずに、ジャケットでゴシゴシと乱暴に目元を拭うと会話を終えたローリィが戻ってきた。
「今から蓮が来る」
「!!」
「俺からもちゃんと説明しよう・・・・その上で君をここに残れるようにする」
「・・・・はい・・・でもっ!もし・・・・・・もし、敦賀さんに二度と顔も見たくないと言われたら・・・その時は、元の清掃会社に戻らせてください」
「・・・・・・・・善処しよう」
ローリィの返事に、キョーコは涙の痕も痛々しい顔で笑って見せた。
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「・・・蓮・・・社長、なんだって?」
「・・・・・京太のことで話があるって・・・」
内線でかかってきた電話を終えると、蓮は険しい顔で立ち上がった。
「昨晩のことか?・・・でも・・・いくら蓮が社長の甥っ子でも、一社員の・・・しかも新入社員の京太が社長直々に話に行くかな?」
「・・・それぐらい・・・京太にはショックな出来事だったんだな・・・・直属の上司に裏切られたって・・・・」
暗い表情で自分を嘲笑う蓮に、社は心配そうに見上げた。
「もし、俺が飛ばされたら・・・そっとしておいてくれ・・・」
そう言って社長室に向かった蓮の背中を、社はいつまでも心配そうに見送った。
蓮は所長室直通のエレベーターに乗り込み、深く息を吐いた。
『最上 京太・・・のことなんだが・・わかっているな?』
ローリィの言葉に、蓮は息を呑んだのが電話の最初の内容だった。
『彼について・・・お前の知っていることを聞きたい・・・・今すぐ来れるか?』
蓮は一拍おいて頷いた。
『・・はい・・・伺います』
ぐっと蓮は両手で拳を作って、社長階に着いた旨を知らせるエレベーターの音を聞いた。
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「失礼します」
ドアを軽くノックした音の後、蓮の声がドアの向こうから聞こえキョーコは肩を震わせた。
そんなキョーコの肩をポンポンと叩いたローリィが返事をすると、ドアがゆっくりと開き蓮が入ってきた。
思いつめた表情で蓮はローリィに頭を下げた。
「おはようございます」
「おう、朝の挨拶をしている顔には見えんが・・・まあ、入れ」
「はい・・・」
促され中に進むと、先にソファーに座っている栗色のサラサラとした髪が見え蓮は心臓を跳ねさせた。
後ろ姿だけでも視線を捉えて離さない人物・・・。
(居るのは・・わかっていたじゃないか・・・・)
それでも落ち着きなく早まる心臓に、蓮は何度も深呼吸を繰り返し少しずつ京太の元に近づいた。
すると、京太がゆっくと立ち上がった。
その後ろ姿はいつものスーツ姿なのだが、少し違和感を感じた。
それでも蓮は、会いたくて・・会って謝りたかった人物を目の前にして心が急いていた。
「お・・おはようっ京太・・・・・あの・・・昨夜は・・・・」
上手く言えないのをもどかしく感じながら、気合を入れて蓮は頭を下げた。
「ごめん!!」
「ごめんなさい!!」
「「!?」」
自分だけでなく、相手も謝ったことにお互い驚き顔を上げた。
京太はいつの間にか振り返っていて、蓮に深々と頭を下げていたらしい。
驚いて目を見開いている京太が、じっと蓮を見つめていた。
(・・・・・あ・・・れ?・・・)
蓮は、じっと京太の顔を見つめた。
いつもの京太と少し雰囲気が違ったからだ。
沢山泣いたのであろう目元の赤みが痛々しいが、それだけじゃない。
雰囲気が違うのだ。
(あ…髪型?・・・いや・・なんか・・いつもの京太よりも丸く感じる・・・体系とかじゃなくて雰囲気が・・・・これだと・・まるで・・・いや・・まんま女の子・・・・)
目をパチパチとさせ、自分を見つめてくる蓮から離れようとしながらも必死に両手を前に握り真っ直ぐ立っている京太を上から下まで見つめた。
そんな蓮の視線を断ち切ったのはローリィだった。
「蓮・・・いつ、『最上 京太』が女の子だと気が付いた?」
「・・・は?・・・・女?・・・・」
思わず間の抜けた返事をした蓮に、質問をしたローリィもざっくりと斬られる覚悟をしていたキョーコも目を点にした。
「は?!えっ!?だ、だって敦賀主任、気付いてたからあんなことして私を自分から諦めさせようとしたんじゃ?!」
「ええ!?なにが!?君が男で、俺も男で・・・でも俺は・・京太への想いが抑えきれなくて思わずっ・・・・って・・本当に女の子なの!?」
噛み合わない会話を頭の中で整理しつつも、まだ混乱の中蓮は一番知りたい真実を聞いていた。
すると、京太は哀しげに眼を伏せて小さく頷いた。
「・・・・・あ・・・・・・・・・・はい・・・・すみません・・・・・私・・ずっとだまし・・っ」
「よかった!!」
キョーコは俯いて謝りかけたのだが、突然蓮に抱きしめられて言葉を失った。
「俺、本当に悩んだんだ・・・今まで女の子たちを特別に思えなかったのは、男が好きだからなのか?!って・・・・・でも、京太以外に男にトキメクことなんてなかったし・・・・いや・・・今まで出会った誰ともこんなに心を持って行かれることなんてなかった・・・」
「・・・敦賀・・主任・・・・・でも・・・私・・騙してたんですよ!?ずっと・・・・」
キョーコの言葉に、ようやく蓮はそのことに気が付いた。
「そうだ!・・・なんで・・・そんなことになったの?」
「それは俺から説明しよう!」
今まで出番がなく、しょんぼりしていたローリィがイキイキとし始めたのを見て蓮は察しがついた。
「もしかして、叔父のせい?」
「え!?あ・・・のっ・・・社長さんに、ここのビル清掃で入った時に社員になって欲しいと言われて・・・昨夜会った友人がここの秘書課にいるからそこに置いてあげると約束してもらって・・その・・・敦賀さんに告白した後、新人社員が退職しないようにするお仕事を・・・・するために・・・」
「ああっ!最上君!!全部言っちゃ俺の出番が~!!」
がっくりと項垂れるローリィを見やり、蓮は盛大にため息をついた。
「・・・・叔父・・・いや、社長・・・・今回の件は、俺のためを思ってしてくれたんですよね?」
蓮の言葉にローリィは、鼻を鳴らした。
「フンッ・・・いつまでも女性を扱いきれないお前に振り回される新入社員を、みすみす辞めさせる訳にはいかないからな・・・別にお前のためだけじゃない」
「それでも・・・彼女に会えた・・・・それは感謝してもしきれないです」
ずっと腕の中に囲ったままの京太に、蓮はすっかり目尻を下げて甘々な笑みを落とした。
その笑顔に、京太が小さく『ぎゃっ』と悲鳴を上げても蓮は離す気などなかった。
「京太・・・・・じゃなくて・・・君の本当の名前は?」
「あ・・・・・最上 キョーコです」
「なるほど・・・それで『京太』か・・・」
「あの・・・そろそろ離し・・・」
「それは無理」
「は!?」
「だって、本当に悩んで諦めようとしても諦めきれなくて、男同士でも構わないって腹をくくったほどの相手だからね?障害が無くなって本当に嬉しいんだ」
ホクホクとした笑顔を見せる蓮に、キョーコは恐る恐る訪ねた。
「あの・・・・つかぬ事を伺いますが・・・本当に男だったら・・どうしたんですか?」
「・・・・・・・・・・口説き落として、海外で挙式?」
「○☆*$%&!?」
どっちにしても諦める気のなかった事に絶句していると、蓮は満面の笑顔のままキョーコの両手を取って片膝をついた。
「俺を救い出してくれた勇敢なお姫様・・・キョーコさん、君が好きです・・・俺と付き合ってください」
まるでプロポーズをするような仕草で告白をする蓮は、あまりにも様になっていたためキョーコは思わず頷いてしまっていた。
「お~~い・・お二人さん・・・ここ、どこだか忘れてない?」
ふてくされたローリィにそう声をかけられ、しばらく自分たちの世界に浸っていた二人は帰ってきた。
「「すみません・・・」」
謝る二人に、ローリィは葉巻を燻らせながら尋ねた。
「・・で?」
「は?」
「どうする?今後、最上君を『京太』として企画営業課に在籍させるか『キョーコ』として秘書課に在籍させるか」
ローリィの言葉に、二人は顔を見合わせた。
「え・・っと・・・京太・・・・じゃなかった・・キョーコ・・・さんはどうしたい?」
「私は・・・・」
キョーコは、じっと蓮を見上げた。
****************
「よかったな?蓮・・・京太、気にしてなくて・・・・蓮?おーい、蓮く~~ん?」
社長室から戻ってきたその後・・・・
仕事をテキパキと終わらせる企画営業課アイドル、最上 京太に群がる男どもに青筋を立てて睨んでいた蓮に社が話しかけても蓮は聞く耳持たずにいつものように村雨に構われている京太をその輪の中から引っ張り出した。
「行くぞ京太」
「え!?行くってどこへ・・・」
「資料倉庫、資料集め!」
「え?!でも・・・資料は・・・・」
先ほど持ってきたばかりの資料は蓮のディスクに置いてあるのを指差したのだが、それも虚しく京太は小脇に抱えられて資料倉庫に連れて行かれるのだった。
その直後、終業のチャイムが鳴った。
「あ~あ・・・まった主任に京太持っていかれちゃいましたね~今夜も二人残業なんですかね?」
「さあ?でも、京太のおかげで俺たちは残業もしないで業績も伸びてるんだ彼に頑張ってもらうしかないだろ?」
「主任への生贄ですね?」
口々に好き勝手言われているのを、社は笑った。
「そうじゃないだろうな・・・・・京太は、アイツを救うために来てくれた天使ってところかな~♪」
「「「は??」」」
社の言葉に、企画営業課の者たちが首を傾げているころ資料倉庫では・・・
「敦賀主任っ・・・そこはダメです!!」
「いいだろ・・・減るもんじゃないし」
「減ってます!・・・ここの予算から引っ張ってきたらこっちが採算合いません!」
「う~~ん・・・じゃあ、これを削れば?」
「あ・・・ああっ!いけます!やった~!!さすが主任!!」
以前キョーコが突っ伏して寝ていた小さな机に持ち込んだ仕事を広げて、あーでもないこーでもないとさわいでいる内にガチャンと資料倉庫のカギが施錠された音が響いた。
時間は午後11時。
以前閉じ込められた後、この時間にオートロックが作動することを後から聞いていた。
「・・・鍵・・・閉まっちゃいましたね?」
「・・・閉まっちゃったね?」
二人は顔を見合わせて笑いあうと、京太風にセットした髪を蓮がくちゃくちゃとさせてキョーコに戻した。
「じゃあ・・・これからの時間は、京太じゃなくて・・・キョーコでよろしく」
「はい!・・・しゅに・・・蓮さん」
二人はゆっくりと顔を近づけていった。
今夜も語り合う二人は、眠れないのだった。
end