《一ヶ月以上開いてしまいました・・・どうしよう・・・とりあえず・・・一話目はこちらから→
話進むのかな・・・・辛抱強くお付き合いくださいませ!!(土下座DE落涙!!!!)》
†この世界に生きて 半
蓮は物音がした森の中へ慎重に分け入ると、すばやく黒い人影を捕らえた。
「!!貴様か!?京子を何処へ連れ去った!?」
蓮はレイノの腕を捕まえると、ものすごい勢いで地面に叩き付けた。
「っつ!?このっ・・・ばかちからっ・・!!?お前・・保津の跡取り息子か!?」
今まで一見しただけでは正体を見破られたことなど無かったのに・・・・。
蓮が驚いている隙にレイノはすばやく手を振り払い、立ち上がると蓮と距離をとり身構えた。
「・・・・本当に生きていたとはな・・・」
「・・・・ああ・・・・あの時は本気でダメだと思ったが・・・・お陰で先祖がえりしたかのように日本人の毛色になったよ」
不適に笑いながら自分の髪をくしゃっとかきあげる蓮にレイノは威嚇しながら笑った。
「そのお陰で生きていることが表に出なかったのか?・・・ただでさえ予想外のことが多かったのに・・・つくづく運のいい奴だな・・・」
「・・・どういう意味だ?」
「・・・確かに俺は致死量の毒を渡したのに・・・あの女中は意識を奪われながらも躊躇したようだからな・・・・」
「・・・・そう・・だったのか・・・」
自分の屋敷内の人間に手をかけられたことを嘆いていた蓮だったが、今ここに生きていられたのは彼女が躊躇ったことも手伝っていたことを知って少なからず安堵した。
「それに・・・・すぐに狙いがお前ではなく宝田家に向いたのも運が良かったな・・・お陰であのお嬢様が邪魔になったんだがな」
「!!・・・・・・京子は!?彼女を何処にやった!!?」
「・・・知らない・・・・」
「・・嘘をつくな!!・・・・口を割らないなら・・・・言いたくなるようにしてやろうか?」
ゆらりと近づく蓮に底知れない暗い光を感じ、後ずさった。
「・・・冗談だろ?その拳は人を壊せるくらいのものなのに・・・だから俺は直接お前に会うのを避けたんだ・・・・・・・それに、本当に知らない・・・突然早馬に突っ込まれて有無を言わせず彼女を連れ去った・・・・」
「どっちに行った!?」
「・・・・・表通りに向かっていっ・・・!」
そこまで聞くと蓮はすばやくレイノのみぞおちに一発拳をめり込ませ、意識を手離したレイノを半壊の馬車の中に放り込んだ。
「俺の後を追ってきた屋敷の者にこいつの身柄は任せるか・・・・・それまでいるかは甚だ疑問だが・・・・それよりも!」
蓮はすばやく乗って来た馬に跨ると表通りに向かい馬を走らせた。
**************
「はあ?・・・何、寝言の言ってるの?」
京子は尚の話にまったく聞き耳を持たなかった。
「お前が俺の前からいなくなれるとでも思ってんのか?」
松太郎は嘲笑いながらゆっくり京子に近づいてきた。
「なっ!?・・・なによ・・・お・・脅し?そんなのに屈しないわよ?!ちょこちょこ屋敷に現れてはそんなことをのたまうから、奏江はあんたの事を追い出す為に画策してくれてるわっ」
京子は動かない体を必死に捻らせ、松太郎に歯向かった。
「・・へえ~・・それは楽しみだ・・・」
寝床の上で京子が後ずさるのを松太郎は可笑しそうに嗤いながらのそっと京子の体に乗りかかった。
「!?なに!?」
「じゃあ・・・屋敷じゃなくてここなら・・・画策も何もないよな?」
「!?なっ・・・・・・!!」
京子はばたばたと、手足をばたつかせ必死の抵抗をみせた。
「っ!?たっく・・骨に響くぞ!?」
「骨が折れたってあんたになんかに負けないんだから!!」
「負けるって・・・・・・たっく・・・・・・相変わらずだな!?」
「ひゃあ!?」
松太郎はため息をつきながらそう言うとバタつかせていた京子の手を簡単に一まとめにすると、傷まないように頭上に押し上げ片手で押さえつけた。
余った手は京子の浴衣をはだけさせて、顕になった白い陶磁器のような素足に手をかけた。
「!!い・・いやっ・・・・・いやあああ!!!久遠!!久遠!!」
「っつ・・・誰だそれ・・・」
「助けて!!久遠!!!」
「うるさい!!黙れよ!!」
足を触っていた手は京子の小さな口に手ぬぐいを突っ込み塞いだ。
「少し痛むが・・・我慢しろよ?・・・」
「!?ふっうううう~~っ!!?」
一生懸命首を振って手を外そうとする京子に松太郎は寂しさと苛立ちを交えて舌打ちをするとゴソゴソと何かを探り始めたが、突然障子が開き現れた人物にわき腹を蹴り上げられた。
「!!!ぐっはっ!!っつ・・・・誰だお前!?」
衝撃で吹っ飛ばされながら、入ってきた人物に苛立ちを見せる松太郎よりも凶悪な表情をした来訪者を見て、京子は目を見開いた。
「・・・・れ・・・蓮・・・!?」
「・・・・・・・・探しましたよ・・・お嬢様・・・・・・」
その声は暗く低く唸るようで京子は固まってしまった。
「お嬢様?・・・・・と言う事は・・・お前は宝田家の者か・・・」
「・・・・・貴様に名乗る気はない・・・お嬢様は連れ帰させてもらう・・・邪魔したな」
まだ苦しそうにわき腹を押さえて松太郎に凍てつくような表情で礼を形だけで述べると、蓮は京子を担ぎ上げた。
「きゃあ!?蓮!?こんな格好させないで!!下ろしなさい!!」
「貴女は少し黙ってなさい・・・」
「!?・・・・・・・」
蓮のあまりの怒りように京子は押し黙ると、座り込んでいる松太郎を置いて部屋を後にしようとした。
「待てよ!!」
「・・・・まだ・・何か?」
蓮は振り返ることなく立ち止まると、松太郎は何かを投げて寄こした。
「!?」
蓮は咄嗟にそれを受け取ると、驚いて松太郎を見た。
「そいつ、大怪我してる・・・足も今薬を塗り替えようとしたけど嫌がられた・・・・よく効く薬だ・・・もってけ・・」
「・・・・・・・すまない・・・・」
蓮はつい京子の叫びで松太郎が狼藉を働いたのかと思っていたため、一撃を食らわせたのだ。
それが勘違いだった事を謝ったのだが、松太郎は軽く笑い飛ばした。
「早く良くなってもらわないとな・・・・何せ来月には手はずを整えてお前をもらいに行く予定だからな」
「「!!??」」
松太郎の言葉に蓮も京子も固まった。
「・・・・・どういうこと!?」
蓮の肩に担がれたまま、京子は目を見開いて嗤っている松太郎を見つめた。
「どういうことも・・・・来月、お前を嫁にもらいに行くって言ってんだ」
「・・・・・・そんな話は聞いてない・・・」
呆然としている京子の代わりに蓮が松太郎を睨みながら低く唸ると、松太郎は笑った。
「一介の使用人には話しなんてこないだろうな?・・・今頃、届いてると思うぜ?宝田家の主宛に・・・」
玖へ