バングラデシュのダッカを訪れたのはもう10年以上前のことでした。
バンコクの旅行代理店で8900B(約24,000円)のダッカ行き往復航空券を見つけて
即買い。その日に大使館でビザを取得し、次の日のフライトでダッカへ飛びました。
「地球の歩き方」バングラデシュ編なんてのも出版されていない未知の国に
予備知識無く突然降り立ってしまったのです。客引き付きの胡散臭い空港の銀行で
両替してようやくこの国の通貨単位が「タカ」だと知ります。
両替レート基準で考えれば1タカ=2.5円といったところでしょうか。
(↑もしかするとボラれて気づいていないだけかもしれない。・・・結局ボリではありま
せんでしたが。)
バスでダッカ市内へ向かい、まずは宿を探します。
街は人とリクシャーで溢れんばかりです。とにかく無数の人。ものすごい人口密度
です。高級のショナルガオンやシェラトンは予算外。しかし、歩けど歩けど中級ホテルは
見つからず。そんなとき、一人の青年が中級ホテルまで連れて行ってあげようと
申し出てくれました。インドなら100%疑ってかかるところですが、どうせトラブった
らリクシャーを降りればいいやとついて行くことにしました。
リクシャーで15分くらい走って9F建てのホテルに着きました。
設備は申し分なく宿代は1泊2,000円くらい。これなら満足なのでここに決定です。
青年にお礼を言って、リクシャーの運賃を払おうとすると何と頑なにお金を受け取らない。
「リクシャー代くらい払わせて!」
「異郷の地で困ったら心細いでしょ。客人を歓待するのがバングラ人の心粋って
もんです。」
と言って、私をホテルへ届けた上に何とリクシャーの乗車賃まで払ってくれたのです。
しかも何の見返りも求めずに去っていきました。
(インド人なら大抵ここから250%くらいの見返りを求めて襲い掛かってきて、壮絶な
バトルが始まるのですが。。。)
途上国で現地人におごられたのは初めての経験でした。
この人に限らず、バングラ人は一様に親切でした。
私は滞在中にバングラデシュ人に何度も助けてもらい快適に旅することが出来ました。
病気で倒れたときも、中級ホテルのスタッフは気を利かせて部屋に中華料理を作って
持ってきてくれましたし、運悪くハルタル(=ゼネスト)が暴動に発展し外出禁止令が
出された中でも、私のために医者さがしに奔走してくれました。
こんな感じで昔は旅人にとって天国であったバングラデシュも、最近は治安が
悪化しているようです。再訪したくても行けず残念でなりません。
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そこで今回訪れたのは東京の中のバングラデシュ。
「バングラデシュ料理」専門店のジャラル。
日本で営業しているバングラ人店主は皆「インド料理」と掲げている中、
堂々と「バングラデシュ料理」を謳っているところは珍しいです。
こんなお店は応援したくなります。
ぜひ、もっと日本にバングラデシュの良さを広めてください。
チキンカレー しっかりした味なのに後味スッキリ。それがバングラデシュのカレー。
南アジアの中でも最も日本人の味覚に合うカレーかも。
(左)ルティ 米食全盛のベンガル地方でもパンを食べます。
家庭のルティはもち米を使うことが多いとのことです。
ご主人の悩みはナーンが置いてないと日本人に「この店は偽者だ」って言われること
だそうです。確かに何故か日本では「インド料理=ナーン」という図式が出来上がって
いますが、本来ナーンはアフガニスタン方面発祥のものでインド庶民にはそんなにメジャー
ではありません。
(右)サモサ ジャガイモベースではなく挽肉ベースでした。
今回はランチBセット(\1200)でした。
他に本日のパスタがあったので「パスタ???」と思ったのですが、
ご主人のジャラルさんいわく「バングラデシュの味付けのパスタですよ」と言われました。
ひえーっ!バングラ風パスタですかぁ?
私もパキスタンのムルターンという地方都市の高級ホテル(パールコンチネンタル)の
レストランで「たまにはパキスタン料理以外のものが食べたいっ!」と張り切って注文した
ボロネーゼソースのパスタを思い出しました。
そのとき何となくイヤな予感がしたのですが、予感は的中。
とってもスパイシーで、まるでキーマカレーのパスタでした。
パキスタン料理の粋を抜けきらずにガッカリしたのを思い出しました。
...月日は流れ、今度は東京でスパイシーなパスタに遭遇したわけで。
怖いもの見たさに今度食べてみようか検討中です。