恋の五行歌の作り方 あるいは でき方 | 栢瑚(kashiko)五行歌部

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五行歌人4人(白夜、南野薔子、水源カエデ、水源純)のブログです。

こんにちは。南野薔子(みなみのしょうこ)です。

別に恋の五行歌の作り方指南をしようというわけではありません。

今、五行歌の会で25周年記念の企画のひとつとして

「第6回恋の五行歌」を絶賛募集中ですが

詳細はこちら

私がどういうふうに恋歌を作るかという話を読んで

「そういうのもありか」とか思って作ったり、応募してくださる方など

いらしたらいいな、と思う次第です。

 

一般的には、恋の五行歌は

実体験から書き起こす人が比較的多いのかな?

現在進行中の恋の場合もあると思いますし

過去の恋の思い出ということもあるかと思いますが。

多分、栢瑚の私以外の三人、白夜(さや)さん、水源純さん、素音さんは

おそらくその恋歌の少なくとも大部分を実体験から

書き起こしているのではないかと思っていますがどうでしょう。

そのあたり、どんなふうにして書いているのか

私も興味があるので、そのうちこのブログに差し障りのない範囲で

書いてくれないかなあ、とか思っていたりします。

 

というふうに書くということはつまり

私自身は、実体験から書き起こさないタイプです。

書き起こせないという方が正確かな。

なぜなら、恋の経験が少ない、それもはるか昔だからです。

なんだろう、モテるとかモテないとか以前に「適性がない」感じ。

あと「面倒くさい」。

近頃の若者は恋愛を面倒くさがるというような記事など見かけたりしますが

若者でないのに結構前から恋愛が面倒になった私は時代を先取りしていたのかも。

というようなことはさておき

それでも、私は恋歌を書くのです。

なんでかっていうと、自分には縁がないけれど

恋愛っていう存在自体は好きだからでしょうね。

すごく素敵なことだと思うんですよ。

もちろん現実の恋愛は素敵ばっかりじゃ進まないと思いますが

でもまあ、恋愛がちゃんとできる人はいいな、と思ったりします。

でもやっぱり「面倒くさい」。

 

で、そんな私がどうやって恋歌を書いているかというと

ほぼ「イメージ先行」です。

何か恋歌に使えそうなイメージが心に湧いたら

それを上手く生かせそうな状況設定、言葉の組み合わせを考える。

以前このブログで紹介した、前回の恋の五行歌募集で賞をいただいた下記の歌もそうです。

(ツイッタで「詩人の本懐」という企画に投稿した画像を使ってみました)

 

「闇に黒薔薇」というイメージがまず最初に湧きました。

そのイメージを活かすのは、なんだか秘密の恋というような設定。

で、昔書いた詩で、どこにも出してないんですが

「この一日をカレンダーから切り抜いて逃避行」というような

フレーズがあったのがありまして

それを思い出して、アレンジして「闇に黒薔薇」と組み合わせてできました。

とはいえ、この歌に関してはすごく頑張って作ったという意識はなくて

実は応募したのもその後けろっと忘れていて

ひとから「入賞おめでとう」メールが来て「なんだっけ?」と思って

びっくりしたという始末……。

つい最近やはりツイッタの「アトリエ文芸部」という企画に投稿した次の歌も

完全に「ときめきの仕掛け花火」というイメージ先行です。

 

「ときめきの仕掛け花火」というイメージはずいぶん前から

心の中にあったのですが、アトリエ文芸部の企画に出会って

あ、これは使えるわ、と思ったのでした。

 

そうすると、そもそものイメージをどこから得てくるかということに

なるかと思うんですが。

もちろんいろいろありますが

私の場合、多分、本や音楽や美術や映像などから

触発されてイメージが湧くことが比較的多いです。

そういうものに触れている最中に浮かぶこともありますし

時間が経って、たとえば散歩しているあいだとかにふっと思いつくこともあります。

 

あと、歌の作り方としては邪道な部類に入るのでしょうが

何か言葉を知って「それを使いたい」という動機で作ることもあります。

『五行歌秀歌集2』に入れていただいた次の五行歌は

「ミルフィオリ」を使いたいがために出来たようなものです。

ミルフィオリとは直訳すれば千の花、硝子細工の技法のひとつで

たくさんの小さな花が密集しているような模様が出来上がるもの。

その小さな花が集まっている感じを恋の陶酔感と結びつけたかったのです。

 

さて、そういうふうに恋歌を作ることもありますが

作るつもりじゃなくても出来てしまうというパターンもあります。

私の場合、誰かに対するファン心理を描写していると

結果的に読んだ方にとっては恋歌に見えてしまう

というようなことがよくあります。

この夏から秋に行われていた五行歌の会25周年巡回展で

「恋」カテゴリで展示された下記の五行歌はその典型例です。

 

これは、フィギュアスケートの羽生結弦選手が

2015年に世界最高点を連発したときの印象で

作ったものです。

ただ、恋歌ととられても仕方のない出来上がりになってますよね。

ファン心理というのは、擬似恋愛的な要素も往々にして含みやすいので

そういう面から見れば、広い意味で「恋歌」ではあるのでした。

このタイプの恋歌を私によく書かせてくれた対象として

他にはhyde氏や堺雅人氏がいます。それ以外にも若干います。

 
恋の五行歌公募
いろいろなタイプの恋の五行歌がたくさん集まるといいなあと

思っています。

私自身も〆切日までにはなんとかするつもりです。

入選作を読むのが楽しみです。

 

ではまた。