底のあっさい映画だなあ。情けないなあ。
一体この映画は何を言いたかったんだ?
僕はラスベガスの旅行雑誌を制作するという職業上の理由で、
このラスベガスを舞台にした映画を見てみようと思っただけで、
もちろんその理由からは、非常に興味深い映画ではあった。
というのも、自分が取材するホテル「ベラッジオ」が舞台となっていたから。
その他、僕がこのくず映画を楽しめた理由は、
同じくラスベガス雑誌を制作する上でいろいろな関連図書を読んでいたから。
たとえば主人公がホテルオーナーに「部屋にはミニバーを」というセリフがあるのだが、
これはカジノを知らない日本人にはなんのこっちゃわからん問答だと思うんだけど、
僕がこの映画で一番笑ったところだ。
というのも、ラスベガスのカジノホテルは、客をできる限りカジノフロアに行かせて、
金を使わせるために、部屋の設備をわざと整備していない。
だから冷蔵庫もなければミニバーもない。
つまり「部屋にはミニバーを」というのは最高の皮肉言葉なのだ。
しかしこの映画を見た日本人でこの言葉を理解するのは用意ではないだろう。
またヒロインが同じくホテルオーナーに「カジノはいつもどこかで誰かが見ている」
という捨てゼリフも、これは誰でもわかることだろうが、カジノを皮肉った言葉だ。
というかこの映画はこのようにしてカジノを皮肉っている箇所が多く、
また金の亡者で何をしでかすかわからないみたいな、
ベラッジオのホテルオーナーをこきおろすために作られたのではないかと思えるほどだ。
というのもベラッジオの実在のホテルオーナー「スティーブ・ウイン」は、
まさしく超実業家で華々しい成功を収めたホテル王というか、
ラスベガスの帝王といっていい存在だが、
そうなるためには当然手荒なこともしただろうし、人に恨まれるようなこともあっただろうし、
彼の人生を描いた暴露本まで出されるほど、ビジネスでは成功し大富豪になった反面、
実にそういう闇的な部分があって、それを批判するために作られた映画なのか?と思えるほど、
金を盗まれてしまう彼を悪役に仕立てているが、
実際にベラッジオでの撮影許可をしているということは、
この映画をホテルの宣伝になると了承したのかなあと非常に不可解ではある。
このようにしてベラッジオのホテルオーナーが何者であるかということがわからないと、
この映画のおもしろさは半減するわけで、
アメリカで受けても日本で「おもしろい」と思う理由は、
ラスベガス通でない限りありえないわけである。
というのも、ベラッジオを皮肉った部分以外は、まったくおもしろくない。
超厳重な金庫なはずなのに、あまりにも簡単にホテルオーナーが騙され、たやすく浸入できてしまう。
あんなあやしい武器商人の荷物が、なぜ1億6千万ドルが保管される金庫と一緒に、
いとも簡単に保管されてしまうのかも、あまりに設定に無理があるし、
簡単にカジノの従業員として入り込む設定にも不自然がある。
ましてそのホテルの金庫を襲うっていうのに、
いかにもあやしげな犯罪グルームがそのホテルに泊まるか?
はっきりいって超厳重な金庫を破るスリリング&超頭脳的な犯罪サスペンス映画としては、失格である。
かといって設定の不自然さはともかく、おもしろおかしく楽しいだけの、
エンターテインメントギャグ映画として楽しめるかというとそうでもない。
ましてホテルオーナーとムショ帰りの男が1人の女をめぐってとりあう、ラブロマンスでもない。
というかホテルオーナーがヒロインより金を取ったからといって、
いとも簡単に泥棒夫によりを戻すというのはあまりに不自然。
どうにもこうにもどうしようもない映画なのだ。
なぜそれが人気があったかといえば、
僕はようわからんが、どうもキャストが豪華らしい。
誰も主役級の人たちが何人も出てるからということらしいが、
ってことは、話もおもしろくない、映画そのものに対する制作費もかけず、
工夫も苦労もせずにいかに人気映画を作るかという確信犯的に、
制作側が豪華なキャストでしかこの映画では興行収入を得ることはできないと、
わかっていて作ったとしか思えない。
だいたいブラピが出てると騒ぐけど、彼はちょい役じゃないか。
犯罪グループにいて、いばってるだけで何もやってない。
やったのは医者に化けただけで、
他の人たちの方が金庫破りのためにはるかに重要な役割を演じているではないか。
※さらに彼ら豪華なキャストはDVDの付録で映画の撮影について、
素人にポーカーを教える役(ブラピ)だの素人としてポーカーを教わるシーンが、
自分の俳優イメージと違うのか、「あんなみじめな役をみんなよくやってのけた」みたいな、
非常に低レベルな会話をしていることに驚かされる。
別にそんなにイメージダウンになるほどのシーンでもないし、
第1あんたら名俳優としてのプライドがあるなら、格好良い役なんかすることだけでなく、
そんな難しい情けない役も見事に演じられることは普通であって、
わざわざDVDの付録の部分で、よくあの情けない役を演じたななんて自画自賛しあっている姿には、
本当の意味での俳優としてのプライドもくそもなく、ただ自分の人気だけを追っかけている、
底の浅い連中だよなあとぞっとする想いだった。
ということでラスベガスを知っている人、またはこれからベラッジオに泊まろうという人には、
おすすめしたいけど、別にラスベガスに興味があるわけでもなく、まして行く予定もなく、
ベラッジオというホテルがどんなものかを知らない人にとっては、こんなつまらん映画はないだろうな。
この「オーシャンズイレブン」を見る前に、
同じくラスベガスを舞台にした映画ということで「カジノ」という映画を見たが、
こっちを見た時も「間延びして見せ方が下手な映画だなあ」と思ったけど、
ストーリーの引き込みや設定の自然さ、何をテーマにしているか、
女性の取り合いなど、すべてこの「カジノ」の方が勝っているなと思う。
ま、それは現実のマフィア抗争をモデルにしてるから、
ストーリーにリアリティがあるからだろうな。
オーシャンズイレブンなんかが2002年の人気映画になるとは、
日本人の映画を見る目を疑いたくなる。
ラスベガスにかかわっているから僕はそれなりにおもしろかったけど、
そうでない人、この映画、はっきりいってくずですよ。