格闘技「ブーム」は今年で終わる | つぶやきかさこ

つぶやきかさこ

カメライター(カメラマン&ライター)かさこの毎日更新ブログ。政治・金融・社会問題から旅行記、写真などさまざまな話題を提供します。ホームページhttp://www.kasako.com/

紅白も揺るがす大健闘した格闘技番組と随分、もてはやされているが、
今回、大晦日に行なわれたK-1にしてもPRIDEにしても、
非常につまらない試合ばかりだったなと思っていたが、
やはりそういった実態があるらしく、
朝日新聞でも「人気定着、視聴率UP」と題しながらも「試合内容には不満も」
という副題がつけられていた。

単に対戦カードがつまらなかったということだけでなく、
どちらにしてもルールそのものが試合をつまらなくしている原因になっているのではないか。
ルールそのものとなるともうこれは根本的な問題になる。
もし両者が大晦日の視聴率に浮かれて、努力を怠れば、
多分、オタク的な格闘技ファンからも、一般的な普通のファンからも見放される時期に来ているのではないか。

●K-1
今回行なわれた試合でまず素晴らしかったものだけを先にいっておこう。
K-1では魔裟斗VS山本KID徳郁。
これこそ大晦日にふさわしい、前評判を裏切らない大変素晴らしい試合だった。
この試合も判定になってしまったのだが、
他のただ長ったらしく膠着状態で仕方なく判定になってしまった試合とはわけが違う。
お互い攻めて攻めて攻めまくり、ものすごい死闘の末、
それでも互いが倒れず、時間切れになり、やむなく判定になってしまったという、
非常に内容の濃い試合だった。
そしてその両者が、判定の結果うんぬんではなく、
試合が終わった後、素晴らしい相手と戦い会えたという感慨で、
抱き合っている姿は、まさしく両者が力を出し合った試合だったからだろうなと、
見ている方も自然に思えた。

この試合がすばらしかったのは、皮肉なことだが、
ヘビー級ではなくミドル級の比較的小さい選手同士の戦いだったということにある。
ヘビー級の試合は圧倒的なパワーでファンを魅了していたにもかかわらず、
最近は膠着状態の試合ばかりで、のろまな巨人の戦いを見せられているだけになってしまっているのだが、
この戦いはミドルだけに、実に早い。だからすごい。見ていて飽きない。
フルラウンドまでいっても。
このままこのような情けない試合状況が続くのであれば、
とろいヘビー級の試合より、早いミドル級の試合がメインになっていくのではないか。
その点、魔裟斗が吐いた感想は最もだ。
「何でオレの試合がメーンじゃないんだ」と。

ちなみにK-1のメーンは曙VSホイス・グレイシー。
デビュー以来5連敗中でまったく格闘技などできるはずもないことを証明済みの、
ただのデブ曙が、単に元横綱だったというだけでメーンをはり、
またしてもあっという間の不甲斐ない戦いでマットに沈んだ。
余興としてはおもしろいかもしれないけど、曙の試合は真剣な対戦カードにはなりえないですよ。
しかも相手も一昨年の「ボブサップ」のように「華」のある選手ではない。

まあなぜこんな情けない試合をメーンにするかというと、
結局、大晦日にゴールデンタイムにやるということで、
オタク的格闘技ファンだけでなく、一般大衆も巻き込みたいという意図なんでしょう。
普段、格闘技を見ない人でも曙は知ってる。
だから彼をメーンにする。
そういう一般大衆向けの中身のない対戦カードが増えれば増えるほど、
絶対に逃してはならないお得意様、オタク的格闘ファンをしらけさせてしまい、
またそうでない人も負け続ける曙に何の魅力もない。
だったらつまらんけど紅白でも見ようかって話になるでしょう。
そうやって、格闘技「ブーム」は終わっていくでしょう。
その終わりを感じさせたのが今回のK-1だった。

ちなみのK-1のセミファイナルも実に情けない試合だったな。
ボブサップVSジェロム・レ・バンナ。
何が情けないかって、1Rごとにルールが変わるんですよ。
サップの得意な「総合格闘技」ルールという名の、単なる寝技ありのPRIDEルールと、
バンナの得意な立ち技のみのK-1ルール。
行ってみればね、同じ1つの試合で1回表裏は柔道をやりましょう、
2回表裏はボクシングをやりましょう、みたいなことをしてるわけですよ。
だから非常に一方的な試合になっていた。
サップが得意なルールの時は一方的にサップが攻めて、ひたすらバンナが耐える。
バンナが得意なルールの時は一方的にバンナが攻めて、ひたすらサップが耐える。
そしてその結果、時間がかかった挙句、判定にという非常に情けない結果となった。
立ち技のみと寝技ありの試合では柔道とボクシングほど違うわけだから、
それを交互にやらせると、お互い噛み合わないつまらん異種格闘技戦になってしまうわけですよ。

●PRIDE
そしてこの立ち技のみと寝技ありのルールでおかしなことになっているのがPRIDEである。
わかりやすくいえばK-1は立ち技のみで、PRIDEは寝技もありということになるのだが、
立ち技、寝技両方OKだから「総合」格闘技なんて偉そうな名前つけてるけど、
一体、何が総合なのか、私にはさっぱりわからん。
だったらよっぽどプロレスの方が総合でしょうと思うんだけど。

まあそれはさておき、立ち技と寝技両方OKのルールの弊害で、
PRIDEの試合はほんとくだらんものが増えて非常に残念だ。
まず、曙と同じく、オタク的ファンではなく一般大衆の視聴率稼ぎをするために出している、
柔道金メダリストの滝本誠の試合と吉田秀彦の試合。
PRIDEはこの2試合からテレビ放映がはじまるんだけど、
1R10分、2R5分、3R5分の計20分、膠着状態の試合を見せられた結局判定。
この情けない両者の試合ではじめの1時間終わってしまう。
実に情けない。

まず滝本の試合は試合になっていない。
柔道出身だから滝本は寝技が得意なわけだけど、対戦相手の元相撲取り、戦闘竜は寝技は嫌で、
立ち状態での打撃で決めたいから、まったく両者が噛み合わない。
滝本がマット上で寝転がっていても戦闘竜は攻めにいかない。いけない。
寝技に持ち込まれると嫌だから。
だから寝転がっている相手を攻めずに立って待っている。
これが「総合」格闘技の実態ですよ。
寝転がっている相手を攻められないのが総合というなら大笑いですな。

これは吉田の試合も同じ。
柔道出身者だから吉田は寝技で決めたいと思ってるけど、
相手はそれを知ってるからあまりグランドの戦いにはつきあわず、
ひたすら立ちで勝負する。
打撃を鍛えたという吉田のパンチは力はあるかもしれないけど、
もともとボクサーなわけでもないから、はっきりいって空を切るばかり。
この試合も延々20分膠着状態を見せられ判定という情けない結果だ。

結局、立ち技・寝技ともに優れたバランスのあるファイターではなく、
どちらかだけ極端に得意なものが偏っている場合には総合といいつつ、
その片方でしか勝負ができない、異種格闘技戦のような噛み合わなさばかりが目立ってしまうわけですよ。
だったらたとえば立ち技しかできない奴は立ち技しかないK-1にいけばいいわけだし、
寝技しかできない柔道出身者は滝本と吉田で共に戦って、柔道でもやってりゃいいわけですよ。

それはK-1からPRIDEに移ったマークハントの試合でもいえた。
ハードパンチが武器のマークハントは立ち技のみのK-1だからこそすばらしい試合ができるのに、
寝技ありのPRIDEに移ってしまったせいで、膠着状態の情けない試合を演じている。
自分の特性から立ち技のみルールの舞台で戦うべきなのにな。
たとえていうならボクサーがレスリングやっても試合にならんでしょうに。

皮肉なことに、「総合格闘技」にふさわしい、
PRIDEのメーン、ヒョードルとノゲイラの試合は、
この情けない両金メダリストの試合より視聴率が高かったそうな。
だから、視聴率獲得のために、試合の質がどんどん下がっているんだろう。
ちなみに私の大好きなミルコ・クロコップの試合はすばらしかったな。
あっという間のKO劇。
こういう試合を見たいんだけど、最近はただひたすら互いに手を出せない膠着試合ばかり見せられ、
それをいかにももっともらしくバカな高田が「すごい見所がありますよ」なんて、
解説してるのをみると、ああもうブームは終わったなと思うわけです。

●というわけで
せっかくいい試合もあるのに視聴率稼ぎのために変な試合が入ってしまうだけでなく、
総合ファイターが少なくなった中での立ち技・寝技の混在ルールのために、
膠着状態の試合が非常に増えてきた。
膠着状態が多く、審判からイエローカードが出る始末。
そんな試合を誰が見たいかってことですよ。

爽快で素晴らしい格闘試合を多く見せてもらうためにも、
今回の非常に情けない試合の多かった大晦日の試合内容を反省し、
もう一度、原点にかえって、一般大衆受けではなく、毎回見てくれるファンのための試合運営を心掛けてほしいと思う。
でないと、ファンからも普通の人からも格闘技は見放される危機的状況にあると私は思う。