玄関ドアを開けた瞬間、自分は夢を見ているのかと思った。
目を開けたまま
立ったまま
これは夢?
そうじゃなきゃ幻か?
だって、そうだろう。
会いたいと思っていた相手が
会いに行こうと思っていた相手が
今まさに俺の目の前にいるんだから。
これこそクリスマスイブの奇跡ってやつか?
いや、そんなのどうだっていい。
夢だろうが奇跡だろうが、そんなの関係ない。
今、ここに雅紀がいる。
それが全てで、それだけが事実だ。
俺は雅紀が消えてしまわないように、思い切り彼を抱き締めた。
「雅紀……雅紀……」
「さくら、い……?」
もしかして、オレのこと
「思い……出したの?」
腕の中、雅紀の声が震えてる。
「ごめん」とか「すまない」とか、そんな言葉じゃ足りないくらい、俺はコイツを傷つけた。
悲しませて、不安にさせて
恋人なのに
恋人だけど
「雅紀……」
今は名前を呼ぶことしか出来なくて、俺は抱き締める腕に力を込めた。
つづく