コンコン……
部屋のドアをノックする音に一瞬顔を顰めたけど
「雅紀くん、櫻井だけど……」
ちょっといいかな?
えっ、櫻井さん!?
ドア越しに聞こえてきたその声に、オレはびっくりしてベッドから飛び下りた。
どうして櫻井さんがオレの部屋に?
いったい何の用だろう。
不思議に思いながらもドアを開けると
そこにはさっき見た時と同じように優しく微笑む櫻井さんがいた。
「突然ごめんね。ちょっとだけいいかな?」
「は、はい」
どうぞと言って、フローリングの床に放ったままのカバンを慌てて拾い上げた。
「いいよいいよ、そのままで。
ていうか、結構キレイに片付いてるね」
俺の部屋とは大違いだよ。
「えっ、そうなんですか?」
「うん、俺の部屋なんか酷いもんだよ。
あちこちに雑誌のタワーが出来ちゃってさ」
足の踏み場もなくて、そのうち寝る場所さえ失くなっちゃうかも。
「まさかぁ……」
「いや、マジで」
そう言って笑う櫻井さんは、とってもキレイ好きで部屋には塵一つ落ちてなさそうなイメージなのに
なんか、意外かも。
この瞬間、アイドルみたいにキラキラしていた櫻井さんがぐっと身近に感じられた。
つづく