ルイス・C・ティファニー庭園美術館 | 行雲流水 ~所長の雑感~

行雲流水 ~所長の雑感~

松田進税理士事務所 所長の松田が日々思うことを思うままに綴った雑記帳

 年一回の京都税理士協同組合の慰安旅行で玉造温泉と松江市に行きました。そこで表題のちょっと珍しい美術館を見学してきました。ルイス・C・ティファニーは有名なティファニーの二代目だそうですが、家業は継がず画家を経てインテリアデザインやステンドグラスの分野で世界的な名声を得ているようです。この美術館に展示してあるもので歴史的な作品は「鹿の窓」と呼ばれるステンドグラスの3.3m×1.78mの窓や、「ヴァージニア・クリ-パー」「ロータス」「蜘蛛の巣」と呼ばれる90cm高の三大テーブルランプなどです。それぞれにガラスを重ね合わせた精巧な技術と、何とも表現できない光に熔け合った色合いが見事でした。彼は1848生まれで1933年になくなっています。彼の作品の性質上富豪の特別な注文で作られたものなので、探し出すのが難しくコレクター泣かせでもあるようです。ところで年表を見ていると、これらの作品を生みだしたティファニー・スタディオが彼の死の前年、1932年に倒産しています。どんなドラマがあったのでしょうか。



 この美術館の入り口に次のような挨拶の看板が出ていました。

【当美術館は平成11年まで、名古屋で仮オープンをしていましたが、美術館はただ作品をみていただくだけの場ではなく、「美」「食」「花」「遊」そして“夢”を満たす21世紀の複合美術館をつくりたいという構想と夢がありました。

 

 また、ルイス・C・ティファニーの世界的コレクションを後世にずっと残すために免震構造の建物をつくり、そこに移したいという思いもあり、それを実現できる場所を全国に探していました。


平成9年から11年にかけて松江市より、それはとても熱心に「美術館をつくっていただければ、美術館に併設してロンドン近郊の名園『シシングハースト城庭園』のような優雅さと気品を備えた、国内でも屈指の庭園をつくります。そして食文化も大切にこの施設にあったクォリティの高いレストランをつくり、その前の宍道湖に噴水をつくります。屋内ガーデンでは魅力あるイベントを行います。無料駐車場をつくります。出雲空港と美術館を結ぶ高速船を就航させ、ご来観のみなさまにお喜びいただけるようにいたします。……‥」等と熱意ある誘致をいただき、その約束を信じ平成13年4月この地にオープンいたしました。

※高速船の就航・レストランなど実現されていないものもありますので、お間違いのないよう申し添えさせていただきます。】


 この美術館の館長がティファニーの情熱的なコレクターなのだそうですが、その思いと地方都市の美術館誘致の思惑との微妙なずれが浮き出していて、興味深く読んだのでちょっと長いけれど全文載せました。ここへ到着直前バスガイドが「松江空港からの高速船の運航がシジミ漁をする人たちの反対で就航できていません。今度来る時はなくなっているかも(美術館が)。」と言ったのがやけに現実味を帯びてきました。行政の思惑と市民の賛否、予算の問題など複雑に絡みあっていそうです。 


 ところで先にあげた作品は1910年当時に名の知れた富豪から、一点3億円から4億円で受注していたものだそうです。またジャポニズム(19世紀末のヨーロッパの日本美術への憧れ)と日本美術の彼への影響を示すために、写楽の「三世市川高麗蔵」とロートレックの「アンバサドール」が並べて展示されていました。美術館の設置者はグリコ・コーポレーション(株)のグループとしか書かれてないのですが、コレクターは誰でどのような性質の資金とどれぐらいの量の資金を用意しているのでしょうか。


 私には美術品そのものの審美眼はないので、この展示品の真の価値はわかりません。今回は挨拶の看板に刺激されてティファニーの生涯そのもの、地方都市の美術館誘致ブームが一時あったようですがその裏に隠れた物語、コレクターに対する個人的興味が沸いてきた一日でした。