延利農業農村活性化委員会アドバイザー | 行雲流水 ~所長の雑感~

行雲流水 ~所長の雑感~

松田進税理士事務所 所長の松田が日々思うことを思うままに綴った雑記帳

 「京丹後市大宮町延利地区は、内山ブナ林を背に田園風景が広がる所帯数45戸、人口145人の集落である。産業は、織物、農業の兼業、サラリーマンが主であり、耕地面積は約30haと比較的少なく、経営面積も1ha未満の稲作農家が主流で、個々に農機具を持つ稲作中心の自己完結型農業を行ってきた。近年、食の安全性、消費者ニーズが変化しブナ林から流れる竹野川の清流と標高100mの自然の恵みを受けた五十河(いかが)地域のお米は、特Aのランク付けと丹後米食味共励会でも味一番のお米として評価されている。


 一方、地域の農家は高齢化し、後継者が少なくなり、……。米価が年々下落する中、農業の組織化をはじめ、生産単価の抑制とともに施肥管理の統一化など安全で美味しい米作りを通して……差別化した地域ブランドの米作りを目指し、……都市交流事業を活用して付加価値をつけた広域的営農を展開していきたい。特産のコシヒカリ販売を目的に延利農産グループ(16人)を平成17年に結成、3年目を迎えた現在、京都市内の米穀を取扱う2業者へ販売し、消費先は年々拡大している…。」


 ちょっと長かったですが、これは、中山泰京丹後市長から山田啓二京都府知事に宛てた「平成19年度地域対応型ふるさと推進事業(農業・農村活性化経営体づくり事業)費補助金交付申請書の冒頭部分です。そして、表題のアドバイザーに平成19年8月から20年3月まで私が就任、総事業費56万円、府の補助金40万円、アドバイザー活用費30万円。えっ、事業費の半分以上がアドバイザーに、無茶苦茶責任重いやん。それで何するの。延利公民館で開催する1回3~4時間の会議に4回出席、助言指導しレポートにまとめる。そんなことで付加価値をつけた広域的営農が展開出来るのかな、と首をふりつつこれで3回の会議を終えました。今までに見えてきたことを中間報告すると……。


 延利地区の農業経営学事始め。所帯数45戸、人口145人。耕地面積30ha。ヘクタールは、面積のイメージが出来ないので尺貫法に直すと、1haは約1町歩、1町歩は約3,000坪。ざっと100メートル四方です。一枚一枚の田圃はそんなに大きくありません。1反(約300坪)で数えるのが一般的ですから、30メートル四方の田圃が300枚点在していると思えば実際に近いでしょうか。
 

一反あたり8俵の米が収穫出来ます。1ha(1町歩)では、80俵、30haでは2,400俵になります。昨年、このグループが販売した1俵あたり単価は16,000円なので、この価格で2,400俵すべて販売出来たと仮定して3,840万円、1所帯あたりにすると85万円になります。10町歩を耕作する専業農家で1,280万円、もし、事業として考えるならばこれぐらいが最小単位でしょうか。農水省のいう大規模化、法人化がこういうことなら、集落としての活性化にはつながりません。


 ここは、たまたま16,000円と言う価格で販売出来たのですが、JAの買上価格は10,000円程度と言いますから、条件はもっと悪くなります。これは、延利だけの問題ではなく日本全国すべての農家の問題です。農水省とJAにすべての罪を押しつけるつもりはありません。しかし、戦後間なしのGHQによる農地改革と、民法の改正により長子相続が無くなったことにより農地が細切れになったことと共に、票田を確保するため公共事業で地方に金をばらまき、兼業農家は農業の採算を無視してその金でつないできた農政の無策が、現状を招いていることは間違いありません。補助金をもらう側で文句をいう筋合いでは無いですが、こういう細切れの補助金が、農水省だけでなく各省庁に無数に存在しているのかと思うと、ぞっとします。決して有効なお金の使い方とは思えないのですが。


 この委員会で「活性化」とは何ですか、と聞いたところ、異口同音に「先祖から受け継いだ田圃を守っていきたい。」「若者が田舎で食って行ける=魅力ある生活が送れる状態ににしたい。」と言うことでした。現在60才台の彼等は、深刻に5年後を心配しています。日本全国の彼等が元気な内に、前が見える農村に出来るよう現状を認識する必要がありそうです。幸いこの委員会の目標とアドバイザーの任務はそんな大層なことではなく、平成19年度900万円ほどだった販売額を地域を巻き込みながら、5年後1,800万円ぐらいにすることです。地道に、消費者への直販、もう一件の京都以外の業者の探索などを模索しています。


 しかし、補助金交付申請書の中にある京都の2業者とは、実は当事務所の顧問先、深尾米穀さんと洛東食糧さんです。それぞれ「京の宮御前」と「いかが紫峰米」のブランドで販売されています。内山ブナ林の清流をたっぷり含んだ本当に美味しいお米です。魚沼コシヒカリからこちらに代えたお客様も少なくないようです。この二つのブランドのシェアが、両店でじわじわと上がることでも目的は達成されそうに思います。是非、皆さんにも「京の宮御前」と「いかが紫峰米」を味わって頂いて京丹後の活性化と、松田アドバイザーの任務遂行にご協力をお願いします。