涙の分だけ墜ちてゆく -10ページ目

クールス キターー(≧▽≦)

長い呼び出しコールを見つめながら、少し罪悪感が芽生えたけど走り始めた気持ちに嘘は付けなかった。
あたしはそのまま携帯の電源を落とし鞄の奥に放り込んだ。

ユウジがバリッとリーゼントをキメて楽屋から戻ってくると、

「ライナ、何かあったか?」

と言った。

きっとユウジの方にも恵美から携帯入ったんだろうな…

「ん?別に何もないよ~」

「…ってオマエ何飲んでんだよ~テキーラなんか中学生が飲むんじゃね~よ」

テヘヘと笑って場の空気は元に戻った。

さぁ!いよいよクールスの登場だ。

一体どんな曲を演奏するんだろう?知ってる曲が多いといいのになぁ~

会場内はグリースの甘い香りが漂っていてあたしはテキーラとWパンチで既に酔っ払って気分はアゲアゲだった。
うぉぉぉぉぉぉぉ~!!

クールス キターーーー!!

本物の村山さんのクールでダンディな事といったらありゃしない!

キューティスーから始まり、恋のゴールデンリング、サマーレディー、シンデレラ、Tバードクルージング、ひび割れたグラス…

もうサイコー!!

あと十年早く生まれていたら、もっとロックンロールを堪能出来たのにって過去に何回か考えた事があったけど、こんなライブに参戦しちゃうと満足感に包まれちゃうょ

ユウジも気分がアガっていたのか踊りながら人目も気にせずに何度もキスをした。

アンコールのMr.ハーレーダビットソンでライブは終わり、あたしはユウジに連れられて楽屋に行きクールスのメンバーにお疲れ様を言って記念写真を撮ってもらい会場を出ました。

「今日はサイコーだね!」

ユウジは、あたしにそういったけど、それに対してあたしは突拍子もない事を口走ってしまったのです。

クールスRCライブin岐阜ケントス

「今日はケントスでクールスのライブなんだ!楽しもうぜぇ~」

それなら恵美を…
思いかけた事を消し去って、

「キャ~ユウジ最高~ありがと~」

イェイ!とハイタッチして拳を当てて握手して腕相撲みたいに握り直して…

よく見るとまわりにもユウジと同じようにレザーの上下やテディボーイジャケットを着たお兄さん達が何人もいた。

開演は夜7時だったので時間はまだ充分あったけどユウジとあたしはメルサの上階にあるケントスに入った。

「おはよ~ユウちゃん!早いね~」

「単車で来たからアタマ潰れちまったよ~ちょっと楽屋借りるね~ムラさん達もう来てるの~?」

ワォ!

岐阜ケントスで顔を知られているだけじゃなくて、クールスの村山さんとも顔見知りみたいなの!

スゴイなぁ~でも、ユウジが何だか遠い存在に感じるよ~

そんなあたしの気持ちを察したように

「ムラさんは俺達ロックンロールファンをすげぇ~大事にしてくれる人なんだ。ヒデミツさんだって他のメンバーだってみんなそうなんだぜ!ちょっとアタマ直しがてら挨拶してくるわぁ~」

なんか飲んで待っててね~

と言ってユウジは楽屋に入って行った。

本物のクールスの演奏を目前にしてあたしはドキドキしていた。
その時、恵美から携帯が鳴った。

タンデムシートで告白不発弾

あたしの遊んでいた時代は暴走族がほぼなくなって、チーマーギャングが街を闊歩していた。

聴く音楽は雁首揃えてギャングスタラップ。
でも、あたしのハートをトキめかしてくれたのは一昔前のロックンロール。

生キャロルはみた事ないけどCDで聴きまくったよ。

他にも先輩達が聴いていた、

クールス
ブラックキャッツ
チェリーボーイズ
トラブル
横浜銀蠅
ヴィーナス

なんかを聴くようになった。

「ユウジ~どこ行くのォ~!」

「…えぇ!?ナニ~?」

「どこ行くの~?」
「岐阜~」

「岐阜~?」

名古屋にいて岐阜に行く事は少ないのに何だろうと思ったケド、ユウジのバイクは直管とかいうマフラーが付いていて声が聞こえにくい。

「ユウジ大好き~!」
どさくさ紛れで叫んでみた(|||_|||)
「何だって~!聞こえねーから信号の時な~!」

何だきこえなかったのか…少し残念…でも本当に聞こえなかったのかな?
本当は、聞こえていて聞こえないふりしてるんじゃないかな…

なんて考えていたら胸がドキドキしてきた。

岐阜の神田町にある名鉄メルサの前で止まった。

「ねぇ~ユウジ…あたしタケシの事なんか興味ないから…」

そこまで言いかけるとユウジはイタヅラっぽくウインクしながら人差し指をあたしの口に「シッ~」といってあてた。

「それ以上は言わなくていいよ。アレはただの口実!実は今日素敵な事があるんだ!それにライナと一緒に来たかったんだよ。」

一体なんだろう…もったいぶらずに早く言ってよ~