「先生、近所のクリニックと総合病院、
どっちに行ったらいいですか?」
実は、このご質問はよくいただくのですが、
そう簡単にはお答えできないご質問です。
どうしてかというと…
それぞれの症状によっても違うし、
ライフスタイルによっても違うし、
価値観によっても違うので、
「〇〇がいいよ!」と、
安易にお答えできないんです。
そしてまた、
クリニックにはクリニックの利点があるし、
総合病院には総合病院の利点があります。
そして、それぞれにデメリットも…
すでにこの時点で、
「自分だったら総合病院に行くな~」とか、
「私だったらクリニック!」
という声があがりそうですが、
それが、それぞれの好みでもあり、価値観でもあると思えます。
その選択をしている時点で、
それぞれのメリット、デメリットを
ご存知だから…という場合もあるでしょうし、
単なる好みかもしれませんし、
ライフスタイルによるものかもしれませんね。
そしてそこには、
それぞれの方が「何を大切にするのか」という
価値観が判断を左右しているようでもあります。
この質問については、
はじめにお伝えしたように、それぞれの状況によるのですが、
最終的には、それぞれの「価値観」により、
患者さんご本人が決めるということが大切だと私は思います。
今回ご質問をいただいた受講生の場合は、
ご家族のことで、どうしたらよいのか迷っていらっしゃいました。
ですから、そのご家族の症状から経過、ライフスタイル等を伺ったうえで、
クリニック、総合病院それぞれを受診した場合についてなどをお話ししました。
そして肝心なことは、
この話を聴いて、あなたがどちらが良いと思ったのか…だけではなく、
必ずご本人に今日の話を伝えて、そのうえでご自身としてはどうしたいのか…を
聴くことが大切だと伝えました。
やはり最終的には、
患者さんご自身による選択が重要です。
もし…後々後悔するようなことが起きた時、
どうしても納得できないことが起きたとしても、
自分で選択したのか、
人にすすめられて…なのかは、
患者自身の気持ちに大きく影響しますし、
何より勧めた方にとっても影響するのではないでしょうか。
どちらを受診するにせよ今度は、
「どこの総合病院」「どこのクリニック」
という選択が待っています…。
これまで各地の病院にかかり、
約200名ほどの医師に出逢った私の経験からすると、
「知名度の高い病院だから大丈夫!」ということもなければ、
「この病院、この先生なら絶対に大丈夫!」というこはない
というのが医療だということを
知っていただけたなら…と思います。
これは決して医療を否定するものではなく、
これが医療の現実だということです。
多くの医療者が努力していらっしゃることも現実ですし、
患者さんの最善を模索し続けているのが医療でもあります。
そして、どんなに優れた医師であっても、
予期せぬことは起こり得ますし、
日常的な医療行為であっても、予期せぬことが起こることもあります。
それが医療だと、今の私は痛感しています。
そして、みなさんに覚えていてほしいことがあります。
単なる「風邪」であったとしても、
病院を受診するということは、
あなたのいのちに関わる選択だということを…
もちろん、
病院を受診するのか、しないのか…
という選択も同じです。
どんなに小さくとも、なにか症状があるということは、
身体からのメッセージ
つまりは、
いのちからのメッセージであるということを
心のどこかに留めていていただけたらうれしいです
