小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
百輪村の人
V(元SE・パートタイマ) 美々 ビビ
D(大工)         大吾  デイビッド
E(村長・教諭)     栄一  エデン
K(理容師・Eの妻)    加恵  カーラ   
 
草切村の人
草切マーケット・店長  (No Name)
α(パートタイマ・気弱) 在子  アルマ
δ(パートタイマ・賛同) 丑実  グロリア
γ(パートタイマ・強気) 寅代  デイジー

 

 

 

見えないみかた(3)

 

 

 

次の日、草切マーケットの朝シフトに出勤すると、

なんだか周囲がざわついてる雰囲気です。

 

「おはようございます」と挨拶すると、

αさんが私の方にやってきて、

「Vさん、ちょっと、こっちに来て」

と人のいない方に連れていかれました。

 

「どうしたんですか?αさん」

「あなた、百輪村の村長さんと不倫してるの?」

「は?・・・はあ~~?」

自分の口から、素っ頓狂な音が漏れました。

 

「昨日、橋の上で、2人でよろしくやってた、って

 噂が流れてるんだけど」

「えっ?ただ、悩みを聞いてもらってただけなのに。

 誰なんですか、そんなことを言うの」

「・・・」

 

αさんがちらっと目線を動かすので、

私もそっちに目をやると、

γさんとδさんがさっと目をそらすのが見えました。

 

もーやだ。これだから、人間関係って。

 

私は、二人のそばにつかつかと近づきました。

 

「・・・変な噂を流してるのは、あなた方ですか?」

 

「だって、事実じゃないの。私見たんだからね」

 

と、γさんはつんと鼻の頭を上げて言い、

横にいるδさんは、怪訝そうな顔で私を見ています。

 

私はγさんに焦点を合わせました。

 

「γさん、つまんないことを言いますね。

 ただ、相談に乗ってもらってただけです。

 私のことはどうでもいいですけど、

 村長のことを言うのはやめてもらえますか?」

 

「あーらら、かばってるぅ。やっぱりねー」

 

「ふざけないでください。

 メロドラマの見過ぎじゃないですか?」

 

「テレビを見てる暇なんかないわよ」

 

「じゃあ、介護疲れを私で解消しないでください」

 

「う、うるさいわね。

 もうあんたなんか、ここ辞めなさいよ」

 

「・・・辞めませんよ。ここで辞めたら、

 不倫疑惑を認めちゃうことになるから」

 

「くう、生意気」

 

そこへ慌てた様子の店長がやってきて、

2、3回、拍手しつつ、

「はいはい。仕事しましょ~」

って言うから、私たちは方々に散りました。

 

私は、自分のレジの配置につきます。

 

(嫌だなあ。変な一石を投じちゃったかも。

 変な噂が出ちゃってごめんなさい、村長。

 あと、K先輩にも会って謝らないと・・・)

 

機械的にバーコードを通しながら、

暗澹たる気持ちになりました。

 

 

 

(続く)