登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
C(牧場主→村の守護霊) 千太郎 クリス師匠(守護霊・Cの先生)老師(守護霊・師匠の知り合い)
では、どうぞ。↓
見えない応援(1)
百輪村の守護霊として活躍しているCは、
今日も村の畑に降りて
村人たちみんなで育てている野菜に
癒しと元気のパワーを送ります。
Cの癒しの波動は畑全体にも広がり、
百輪村の野菜を食べた人はとても元気になります。
が、百輪村の人たちにはCの姿は見えず、
彼が腕を伸ばし両手を広げて
植物に波動を送っていても、
それにはまったく気づかないまま、
透き通ったCの体を通り抜けていきます。
最初は、人が自分の体をすり抜けていく経験や
大声を出しても注目されないことに驚きましたが、
今では透明人間として扱われることに
慣れてしまいました。
雲の上では同じ霊体の師匠がいて、
まだ守護霊としては未熟なCに
色々なことを教えてくれます。
ところが、ある日、雲の上でお茶を飲む師匠から、
こんなアドバイスをもらいました。
「Cよ、癒しのパワーを畑で
やみくもに使ってはならないぞ」
と。
Cは驚きました。
癒しの波動を教えてくれたのは師匠本人なのに、
なぜそれをセーブしなければならないのか、
理解できませんでした。
いつものCなら、
素直に「はい」と返事をして終わる会話でしたが、
今回はどうしても気になって反論しました。
「やみくも?どういう意味ですか?
僕は村の守護霊として
村の畑の世話をする仕事に誇りを持っています。
それを、まるで、無鉄砲にやってるように言われたら、
ちょっと納得ができません。
むしろ、まだ足りないとさえ思っています」
「そこじゃよ、C。
足りない、と思っているのは、おぬしだけじゃ」
「え?」
「愛は、与えすぎてもいかん」
「・・・わかりました。じゃあ、師匠、
どのくらい与えればいいか、教えていただけますか?」
「わしに聞いてどうする。わしにはわからんよ」
「ええ?じゃあ、誰に聞いたらいいんですか?」
「畑に行って聞いてきなさい」
Cは眉をひそめて、また畑に降り、
畑仕事をしている村人に声をかけてみました。
「あのー、すみませーん。
畑に愛情をかけるにはどうすればいいですか?
どのくらいの量を与えればいいんですか?」
でも、Cにはわかっていました。
自分の声は、人には届かないということが。
誰に聞けというのだろう。
Cは、師匠の言葉に首をかしげるばかりでした。