小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
C(牧場主→村の守護霊) 千太郎  クリス
師匠(守護霊・Cの先生)
老師(守護霊・師匠の知り合い)

 

では、どうぞ。↓

 

見えない応援(2)

 

 

百輪村の人たちはそれぞれ仕事を持っていますが、

畑の世話も兼用しています。

 

特に決まったやり方はないので、

各自がやりたいように畑の世話をしています。

 

自分が蒔いた作物しか手入れしない人もいれば、

全体を見回ってケアをする人もいます。

 

村内で出来た作物は収穫後、八百屋に集められ、

食べたいものを食べられる分だけタダで

自宅に持ち帰ってよいことになっています。

 

Cは、村人たちが畑の世話をする様子を見回って、

彼ら一人一人がどうやっているのかを

横でしばらく眺めてみました。

 

土を耕し、種を蒔いたり、苗を植えたり、

水や肥料を与え、支え棒を立て、害虫を取り除き、

雑草を抜き、実が大きくなったら収穫する。

 

自分の世話の何がいけないのか、

やみくもとは何なのか、

Cにはわかりませんでした。

 

Cは生前、牧場をやっていたので、

牛や馬、羊の世話には長けていますが、

植物の育成にはあまり自信がありません。

 

動物だったらわかるんだけどな。

Cはため息をつき、また師匠の下に戻りました。

 

「師匠、誰に聞いたらいいか、わかりません。
 僕の声は、村の人には聞こえないんですから」
 
「自分の声を聞いてもらえないのは、つらいのお」
 
「はい」
 
「植物の声は、誰が聞くんじゃろうな」
 
「植物の声?でも、しゃべれないのに、どうやって」
 
「畑の達人を紹介しようかの。
 アチダ国の〇〇山にいる、守護霊に聞いておいで。
 彼のことは、老師と呼ぶがいい。
 ワシのことをよろしく伝えておくれ」
 
「わかりました。老師にお会いしてきます」
 
Cは、師匠に頭を下げると、
すぐさま空を飛んで○○山へ向かいました。
 
あっという間に、山のふもとに到着しましたが、
山のどこにいるかも、その老師の風貌もわかりません。
 
歩いているうちに見つかるかな、と、
Cは、山頂へ向かって進みました。
 
しばらく歩いていくと、近くに生えている植物で、
元気のなさそうな葉を見つけたので、
Cは、癒しのパワーを送りました。
 
「ワシの山で勝手に何をしてるんだ、お前は」
 
少し苛立たし気な声を聞こえたので、
ビックリしてCは振り向きました。
 
穏便な師匠とは真逆で、目つきが鋭く、
しわも深く、日焼けをしてごつごつした顔。
ワイルドな風貌の年老いた男性がいました。
 
「あの、あなたはもしかして、老師・・・?」
 
「その呼び名でワシを呼ぶということは、
 師匠の弟子か?百輪村のCとかいう」
 
「はい。そうです、Cです。
 お初にお目にかかります。
 今日は師匠に言われて、あなたに会いにきました」
 
「ほー、そうかね。『まだ村の守護霊になって
 それほど時は経っておらぬが先が楽しみだ』などと
 この間お前の師匠が、ほめておったがな。
 だが、ワシはそう簡単には、ほめんからな」
 
「・・・それでけっこうです。
 お世辞を言われても仕方がないですから」
 
「ふむ。それで、用件はなんだ」
 
「僕は、村の守護霊として、
 畑に癒しの波動を送っていたところ、
 師匠に”やみくもにやるな”と注意されました。
 けれど、僕としては、
 畑の作物を元気にするためにやってるんです。
 決して乱暴に扱っているわけではないんです。
 なので、師匠の深意を測りかねています」
 
「ほお。そういえば、さっき、ワシの山に
 なんか、いらんことをやってたな」
 
「いらんことって・・・。元気がなさそうだったから、
 それで・・・」
 
 
(続く)