登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
【今回の登場人物たち】
C(牧場主→村の守護霊) 千太郎 クリス師匠(守護霊・Cの先生)老師(守護霊・師匠の知り合い)
では、どうぞ。↓
見えない応援(2)
百輪村の人たちはそれぞれ仕事を持っていますが、
畑の世話も兼用しています。
特に決まったやり方はないので、
各自がやりたいように畑の世話をしています。
自分が蒔いた作物しか手入れしない人もいれば、
全体を見回ってケアをする人もいます。
村内で出来た作物は収穫後、八百屋に集められ、
食べたいものを食べられる分だけタダで
自宅に持ち帰ってよいことになっています。
Cは、村人たちが畑の世話をする様子を見回って、
彼ら一人一人がどうやっているのかを
横でしばらく眺めてみました。
土を耕し、種を蒔いたり、苗を植えたり、
水や肥料を与え、支え棒を立て、害虫を取り除き、
雑草を抜き、実が大きくなったら収穫する。
自分の世話の何がいけないのか、
やみくもとは何なのか、
Cにはわかりませんでした。
Cは生前、牧場をやっていたので、
牛や馬、羊の世話には長けていますが、
植物の育成にはあまり自信がありません。
動物だったらわかるんだけどな。
Cはため息をつき、また師匠の下に戻りました。
「師匠、誰に聞いたらいいか、わかりません。
僕の声は、村の人には聞こえないんですから」
「自分の声を聞いてもらえないのは、つらいのお」
「はい」
「植物の声は、誰が聞くんじゃろうな」
「植物の声?でも、しゃべれないのに、どうやって」
「畑の達人を紹介しようかの。
アチダ国の〇〇山にいる、守護霊に聞いておいで。
彼のことは、老師と呼ぶがいい。
ワシのことをよろしく伝えておくれ」
「わかりました。老師にお会いしてきます」
Cは、師匠に頭を下げると、
すぐさま空を飛んで○○山へ向かいました。
あっという間に、山のふもとに到着しましたが、
山のどこにいるかも、その老師の風貌もわかりません。
歩いているうちに見つかるかな、と、
Cは、山頂へ向かって進みました。
しばらく歩いていくと、近くに生えている植物で、
元気のなさそうな葉を見つけたので、
Cは、癒しのパワーを送りました。
「ワシの山で勝手に何をしてるんだ、お前は」
少し苛立たし気な声を聞こえたので、
ビックリしてCは振り向きました。
穏便な師匠とは真逆で、目つきが鋭く、
しわも深く、日焼けをしてごつごつした顔。
ワイルドな風貌の年老いた男性がいました。
「あの、あなたはもしかして、老師・・・?」
「その呼び名でワシを呼ぶということは、
師匠の弟子か?百輪村のCとかいう」
「はい。そうです、Cです。
お初にお目にかかります。
今日は師匠に言われて、あなたに会いにきました」
「ほー、そうかね。『まだ村の守護霊になって
それほど時は経っておらぬが先が楽しみだ』などと
この間お前の師匠が、ほめておったがな。
だが、ワシはそう簡単には、ほめんからな」
「・・・それでけっこうです。
お世辞を言われても仕方がないですから」
「ふむ。それで、用件はなんだ」
「僕は、村の守護霊として、
畑に癒しの波動を送っていたところ、
師匠に”やみくもにやるな”と注意されました。
けれど、僕としては、
畑の作物を元気にするためにやってるんです。
決して乱暴に扱っているわけではないんです。
なので、師匠の深意を測りかねています」
「ほお。そういえば、さっき、ワシの山に
なんか、いらんことをやってたな」
「いらんことって・・・。元気がなさそうだったから、
それで・・・」
(続く)