小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

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登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
C(牧場主→村の守護霊) 千太郎  クリス
師匠(守護霊・Cの先生)
老師(守護霊・師匠の知り合い)

 

では、どうぞ。↓

 

見えない応援(3)

 

 
「余計なお世話、という言葉を知らんのか」
 
「よ、余計ですって?
 じゃあお聞きしますけど、
 老師はこの山でどうやって守護されてるんですか?
 
 見たところ、あちこちに、
 元気のない植物がみられますよ?
 ひょっとして、怠慢なんじゃないですか?」
 
「わはは。威勢がいいのお。ワシに説教しにきたか」
 
「あ、す、すみません。つい。
 ・・・カッときてしまいました」
 
「お前は、戦士の時代が長い魂なんだな。
 戦いには長けていても、見守り育てることが未熟だ。
 ならば、大サービスで教えてやろう。
 
 自然というものはな、手をかけすぎると、
 逆にダメになるものなんだ。
 一時辛い目に遭ってるように見えたとしても、
 それもまた、個々の大切な学び。
 その学びを奪ってはならんのだ」
 
「そんな、無責任な」
 
「責任?お前は、植物全部の責任を負うつもりか?
 おごるのもたいがいにせい」
 
「おごるなんて。そんなつもりはありません。
 けれど・・・僕は・・・
 植物の世話をする必要がない?
 弱そうに見えても、放置しろと?
 ならば、僕の役目っていったい・・・」
 
「人間は・・・まあ、ワシもそうだった時期もあるがな、
 無言の自然にやたらと手をかけたがる。
 
 人間に与えられた使命だと勘違いして、
 自然は弱いものだ、守ってやらねば、
 セーブ・ユア・アースとかきれいごとを言ってな。
 
 だがな、地球、大地、自然、っていうのは、
 人間が変に介入した途端、かえってリズムを崩すんだ。
 
 地面の下には、独自のルールがあるんだと思え。
 植物は、こっちが思っているより強いんだ。
 そこに敬意を払うんだ」
 
「でも、水が足りない時は、足してあげたほうが」
 
「多少はいいだろう。
 けどな、依存させてはいけない。
 水が足りない時は、植物は根を下に延ばそうと努力する。
 なのに、逆に水を与え続けたら、根はどうなる?」
 
「根も伸びないし、葉も・・・
 きっと弱くなってしまう・・・?」
 
「自力を忘れて、最悪、腐る」
 
「・・・わかりました。でも・・・
 癒しの波動って、結局なんだったんですか?」
 
「わからんで使ってたのか?・・・応援だよ。
 信頼して見守る力が、一番相手に届くんだ。
 
 はい、サービス終わり。
 なんとまあ、しゃべり過ぎちまった。
 お前の根が腐らないことを祈るよ」
 
老師はそう言って、ふっと消えてしまいました。
 
 
(続く)