小説です。「百輪村物語」の第三部です。

 

小説と漫画をまとめた目次はこちら→ 百輪村物語 目次

 

 

登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

今回の章は、百輪物語の登場人物たちの

前世の話になります。

 

 

 
【今回の登場人物たち】
Cの国
C 国王        クリス
K Cの妹 →A国へ   カーラ
D Cの側近      デイビッド
J Dの部下      ジャック
B 踊り子 →A国へ  バーバラ
 
Aの国
A 国王        アーク
K Aの一人目の妻   カーラ
B Aの二人目の妻   バーバラ
E Aの第一王子    エデン
F Aの第二王子    フランク
G Aの第三王子    ジョージ
高僧

 

では、どうぞ。↓

 

見えない因縁(4)

 

Cの国とAの国の戦いは、最終局面を迎えました。

 

それぞれが兵の数を減らし、

最終決戦で王同士の一騎打ちになりました。

 

馬に乗った2人が、正面から剣で打ち合います。

とうとうCがAに長い剣を突き刺しました。

 

Aは血を吐きながら

「生まれ変わったら絶対に俺がお前を殺す」

と恨みつつ、馬から落ちて絶命しました。

 

息子のEもその戦に参加しており、馬を走らせて

父Aの亡骸に近づくと、下馬して縋りつきました。

 

「・・・よくも・・・父さんを・・・」

 

CとDは、少年Eに近づきます。

「私はお前の伯父だ。一緒に暮らそう」

「E、ひょっとしたら、君は僕の息子かもしれない」

と手を差し伸べるも、Eは突っぱねました。

 

「僕がこの国の王になる。

 次に会ったら伯父だろうと、父だろうと、

 あんたたちを倒すからな」

 

CとDは諦めて、Eとその場で別れました。

 

 

后のBは国王のAが死んだことを知り、継子のEに

「Jを探しに行くわ・・・」

とつぶやいて、国を出て行ってしまいました。

 

残された幼児のFとGを、

Eは「弟たちよ、僕のそばにいて」と抱き寄せます。

 

FとGも、Eを本当の兄と思って慕い、

Aの残した国を3人で盛り立てていくのでした。

 

 

荒れ果てた自国に戻ったCとD。

生き残っていた国民たちは散り散りとなり、

もはや国としての機能はなくなっていました。

王Cの親友Dは、その場で剣を捨てました。

 

「戦争には勝ったかもしれないよな、・・・C。

 けれど、もうここには何もないじゃないか。

 好戦的な君には、もうついていけない」

 

鎧も何もかも外したDは、自慢の竪琴だけを持ち、

吟遊詩人として生きる、と、Cに背を向けました。

 

「D、行くな。私を一人にしないでくれ」

「なら、君も剣を今ここで捨ててくれ」

「・・・できない・・・」

「そうか。君が戦を捨てたら、また会おう」

そう言うと、Dは戦の哀れを歌いながら去っていきました。

 

たった一人になった王のCはその場でしゃがむと、

足元の砂をすくい取りました。

 

「国も妹も親友も失った。

 Dの言う通り、残ったのはただの焦土だけだ。

 

 勝つことが正義のはずなのに、

 Aに勝ったはずなのに、

 なぜこんなにも虚しいのだろう・・・」

 

Cの手のひらから、握りしめた砂が

さらさらと零れ落ちていきます。

 

まるで、自分の居場所そのものが崩れていくかのように。

 

「・・・そこのお方」

 

背後から静かに声がして、Cははっと振り向きました。

そこには、一人の高僧が立っていました。

 

「先ほどから見ておった。

 もし行き場を失っているのならば、

 騙されたと思って、わしと修行をせぬか。

 心を満たす境地に至れるやもしれぬぞ」

 

「・・・そんな場所がこの世にあるのか?」

 

苦笑するCに、高僧は静かに言いました。

 

「この世にではない。まずは、心に作るんじゃよ。

 イメージしてみるがよい」

「心に・・・?」

 

Cは静かに目を閉じ、

焦土になる前の国の姿を、ひとつひとつ心に描きました。

 

緑の草原が広がり、そよぐ風に花々が揺れる。

小川のせせらぎ、子どもたちの笑い声、

竪琴の調べが遠くから聞こえる。

失った国も、妹も、親友も、

全てが再び息を吹き返すような、柔らかな光景。

 

ーーああ、私はこのような世界を望んでいるのだ。

誰もが戦わなくても生きられる、そんな場所をーー

 

Cが再び目を開いたその瞳には、

迷いのない光が宿っていました。

 

「・・・師匠、修行の道へお導き下さい」

「うむ」

 

Cは、心の中に緑の大地を根付かせ、育むことを誓い、

高僧の後に従って山奥の修行の場へと旅立ちました。

 

 

 

 

 

ending music

 

Viva La Vida - Coldplay

 

 

 

 

 

 

 

********

 

上記の過去生を経て、

「百輪村物語」が1章から始まるのです。

 

 

また、この過去生から

Cがどうなったか、という内容だけを、

手っ取り早く知りたい方はこちらをどうぞ。

 ↓

 

 

 

 

前世の話はこれで終わりです。

 

次回より、百輪村の現在に戻ります。