登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
E(村長&小学校教諭) 栄一 エデンK(理容師・Eの妻) 加恵 カーラR(EとKの息子) 陸 ライアン(ジュニア)D(大工→建築士) 大吾 デイビッドJ(キックボクサー→インストラクター) 純 ジャックA(Eのボス・故人) 悪久太 アーク◎(Rの同級生) 介人 カイト◆(Rの同級生) 大司 ダイン
今回のお話は、
「番外編③」の続きですが、読まなくても通じますよ。
では、どうぞ。↓
見えないカラー(2)
オフの日なので、Dは呑気に家でギターを弾いていました。
そこへ現れたのは、神妙な顔のEです。
D「お、E。・・・まあ、座れよ。コーヒー作るから」
コーヒーフィルターにお湯を注ぐと、
香ばしい香りがDの家中に広がりました。
Dはマグカップ2つをテーブルに置くと、
目の前のEに身を乗り出しました。
D「また煮詰まってんだな。聞くぞ」
E「・・・。いつも、すまないな。
君にしか話せないから」
D「わかってる。他言無用だよな。なんだ?」
E「・・・実は最近、昔ほど村長らしいことを
何もしていないんだ・・・」
D「ん?うん」
E「全てに目を配らなくても、勝手に整っていくんだ。
・・・手を放すほど、物事がうまく回る。
それはいいことなんだが・・・
自分の立場が見えなくなってきたんだ」
D「ぶっちゃけ、やめたいってこと?」
E「必要なら、このまま続ける。
ただ、この状態が、妙に落ち着かなくてな・・・。
手放しと役目の狭間で、宙ぶらりんなんだ」
D「ふうん。・・・それ、Kちゃんに相談した?」
E「Kには何も話していない。
こんな話、重すぎるだろう?」
D「そっか。うーん。
最終的に決めるのはお前だけど、
オレもちょっと言いたい事あるぞ」
E「なんだい?」
Dは、気の利いた比喩を思いついたので、言いました。
D「”患者がいなかったら、
病院はなくなってもいいのか?”ーーってさ」
E「それは・・・いざという時にないと困るが、
赤字経営なら、規模の縮小か廃業の可能性もあるな」
頬杖をついていたDの腕が、ずるっと滑りました。
D「・・・え?そう思うんだ?
えーっと、じゃあ、”噴水の中の彫像”はどうだ?
無くても困らない。
でもな、あるだけで格が上がるだろ?」
E「格調としてなら、意味はあるな。
でも、それとこれとは話が別だろう?
・・・ああ、お飾りの村長ってことか」
D「ちょ、違うって。
今の百輪村のカラーがお前なんだよ。
・・・それで十分なんじゃねえ?」
E「カラー?社風みたいなものか?」
D「あ、そうそれ」
E「・・・そうか・・・うーん・・・
社風の働き・・・空気感・・・
D、オレの社風ってなんだ?」
「あーもー、そういうところ!」
Dは嬉しそうに、Eの肩をバンバン叩きました。
E「痛たた。な、何をするんだ」
D「押しつけねえのがいいんだよ。
だからみんな居やすいんじゃねえかな」
E「・・・なるほど」
D「でもさ、もっと遊び心を増やしてもいいと思うぞ。
景気づけにJでも呼ぶか?」
Dは、草切村のJに電話をします。
D「おー、J。ヒマか?」
J「絶賛フリータイム中だよー。なあにー?」
D「今、Eもいるんだが、何かやらないか?」
J「わー、やるやる。そうだ!こっちの村においでよ。
近所に、いいテニスコートが出来たんだよ」
Dは振り向いて、Eを誘いました。
「Jがテニスやろうってさ。行くか?」
Eは、ちょっと眉をひそめましたが、立ち上がりました。
「・・・なら、着替えてくる」
