小説です。「百輪村物語」の番外編です。

             

 

小説と漫画をまとめた目次はこちら→ 百輪村物語 目次

 

 

登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
D(大工→建築士)    大吾  デイビッド
C(牧場主→村の守護霊) 千太郎  クリス
E(村長&小学校教諭)  栄一  エデン
K(美容師・Eの妻)    加恵  カーラ
J(キックボクサー→インストラクター)  純  ジャック
師匠(守護霊・Cの先生)
 
A(靴屋・ボス)     悪久太  アーク
B(靴屋の妻)      若葉   バーバラ

 

では、どうぞ。↓

 

見えない青写真

 

 

 

  

 

C「ああ、やっと来た。こっちだよ、D」

J「待ってたよー、遅いじゃーん」

E「D、お疲れさま」

K「あなたのこと、話してたのよ」

 

Dが立っているのは、ただっぴろい空間。

足元には白い雲が広がり、

見上げれば、どこまでも続く青天井。

Dの友人たちが、みんな集まっていました。

 

D「・・・オレがラストだったな。みんな、待たせたな」

 

そこへ、白い服の老人が現れました。

師匠「D、お疲れじゃったのお、ほっほっほ」

C「師匠。お陰様で、全員揃いました」

 

Dの脳内に、過去生の記憶が一気に流れ込みました。

D「あ、あなたは!前前前世の先生だ」

師匠「ワシを思い出したか?嬉しいぞ、D。

 みんなで、少し、振り返ってみるかの?」 

 

6人で大きな円形テーブルに着きます。

楽しいお茶会が始まりました。

 

C「僕は、やっと、Aとの因縁を断ち切れたよ。

 自分の土地を繁栄させる、という夢も、

 みんなのおかげで叶った。どうもありがとう」

 

E「オレは、前世でAの後を継いで王になったけど、

 うまく統治が出来なかった。

 それを今生では、リベンジしたかったんだ。

 今回は村をまとめたが、ほぼうまくいったと思う」

 

J「オレはさ、とにかく荒波を超えるのが大好きなんだ。

 元気にやれたらいいなって、いつも思ってる。

 それと、今回は約束を果たそうと思ってたんだよね。

 Eと遊ぶ約束、Bと結婚する約束、他にもあってさ。

 Eがなかなか遊んでくれないのも、逆に面白かった。

 Bと結婚はしたけど、継続が難しかったなー。

 次は何も考えずに、もっと遊びたいよ」

 

E「え?まだ遊び足りないのかい?」

 

J「うん。今度も遊ぼうよ、E。

 はじけようぜ、マブダチだろ?」

 

師匠「Kはどうだったかの?」

 

K「私は、今世で母との確執を手放すことができたわ。

 それから、前世に息子だったEを、

 今生では、たくさんサポート出来て良かった・・・。

 Eとの結婚生活、とっても楽しかったわよ」

 

E「オレもだよ。ありがとう、K。

 君はとってもキュートで愛の深い妻だったよ」

 

KとEは、にっこりとほほ笑み合いました。

 

C「Dは、前世でも今世でも、Kと結ばれなかったね」

 

E「そうだな。今世では、オレがKを取っちゃったからな」

 

D「いいんだよ。みんなが幸せなら、それで。

 今生では、Kちゃんを妹みたいに思ってたし、

 仕事のほうで、とても充実してたからな。

 自分の技術を磨くことに全力で打ち込めたから、

 さらにオレの土台がかたまった気がするんだ。

 

 Cともう一度再会できたときは、胸が躍ったよ。

 のこぎりを買うところで会うなんて、劇的だよな。

 前世では王と配下という主従関係だったから、

 今回は対等な立場で友人になれて良かった。

 短い間だったけど、楽しかったよな、C」

 

C「うん、僕も、とてもいい思い出になったよ。

 アチダ国から何度も通ってきてくれて、ありがとう。

 実際には1年も遊んでないけど、

 とても濃密な時間だったよね」

 

D「ああ、だよな。

 ・・・それから、E。

 オレは、お前のそばにいて、

 父親のように寄り添いたかったんだ。

 前世では、それが出来なかったから」

 

E「ありがとう、D。本当に心強かった。

 村長として深く学べたのは、君とKのおかげだよ」

 

J「じゃあさ~、もう振り返りはこの辺にしてさ、

 Dの来世の話をしようよ~」

 

 

 

 

  2

 

JがDの来世の話を振ると、Eが頷きました。

 

E「そうだね。

 オレたちは、既にもうだいたい決めているんだよ。

 D、次はどうしたい?」

 

Dは面食らいながらも、正直な気持ちを打ち明けました。

 

D「そうだなあ・・・

 できれば、来世こそは、

 Kちゃんと結婚したいな・・・。

 ははは、なんてな」

 

ちょっと照れるDに、Kはにっこり頷きます。

 

K「いいわよ。ぜひ、そうしましょう」

 

E「それなら、仲介役をやらせてくれ」

 

Eも明るく申し出ました。

すると、Jがちょっと口をとがらせます。

 

J「えー?そんなシンプルじゃ、つまらないよ~。

 人生は、波乱万丈がいいんだって!

 なあD。オレ、恋のライバルになってやろうか?

 Kのために雪山で死んでもいいよ?」

 

D「ま、待て待て!そこまでしなくていい!」

 

C「へえ、面白そう。僕も混ぜてよ。

 そうだなあ。Dのお兄さんになろうかな。

 でもって、弟の片思いのKを狙う、ってのどう?

 ”Dより先に甲子園に連れてってあげるよ、K”って」

 

D「え?オレ、野球部、確定なのか?」

 

E「ふーむ。・・・それなら、オレも参戦するかな。

 金持ちのボンボンになって、Kに薔薇を毎日送るよ。

 ビルの壁を借り切って、プロジェクターでプロポーズ。

 もしくは、プリティウーマンみたいに、姫に仕立てるか。

 ふふふ」

 

D「・・・ちょ、ちょっと待ってくれ。

 ライバル、多すぎないか?

 規模も、でかすぎるって。

 お前たちに勝てる気がしないんだけど・・・?」

 

J「気持ちで負けんな。真剣に来いって」

C「僕も手を抜かないよ」

E「もう一度Kと結婚するのもいいなあ」

D「おいおい、マジで勘弁してくれよ~」

 

K「わあ、それって、とっても楽しそう。

 恋愛シミュレーションゲームみたい。

 頑張ってね、D」

 

D「他人事みたいに言ってるが、

 K・・・オレを選んでくれる・・・よね?」

 

K「えー?わからないわ。

 だって、青写真だもの。うふっ」

 

E「そうだよな。

 今生だって、別にオレとじゃなくて、

 DとKが結婚する可能性だってあったんだし。

 いくら決めてても、それが絶対ってわけじゃない」

 

J「死ぬ気で割り込んでこないとな」

 

C「Dの結婚物語。輪廻版に突入?あはは」

 

師匠「ふおっふおっふおっ。

 すぐ譲ってしまうところを克服するのが、

 次の課題になりそうじゃの、Dよ」

 

D「そ、そんなぁ・・・」

 

Dの弱気な声に、みんながドッと笑いました。

 

 

 

ーーDは、布団から、がばっと起きました。

 

周囲を見回すと、百輪村の自宅。

「・・・え?夢か?なんだったんだ?」

荒唐無稽さと変なリアルさで、Dは混乱しました。


 

後日、マブダチで愛妻家のEに会った時、

(変な夢を見てしまったよ・・・すまん、E・・・)と

心の中でそっと謝るD。

 

Dは睡眠中に時空を超えて、

遠い未来のひとつに行っていたのです。

 

もちろん青写真のひとつなので、

この会議すらも、確定ではありません。

 

いずれにせよ、それは、

今のDがあずかり知らぬことでした。

 

 

 

 

 

(「見えない青写真」終)

 

 

 

 

 

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上記の「見えない青写真」は、

未来の可能性のひとつであり、未確定のお話です。

(夢オチとして、軽く受け取ってくださいませ)

 

 

ちなみに、彼らの前世の話はこちらです ↓