小説です。「百輪村物語」の番外編です。

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番外編は(番:通し番号〇)にします。

 

 

小説と漫画をまとめた目次はこちら→ 百輪村物語 目次

 

 

登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
【百輪村】
E(村長&小学校教諭) 栄一  エデン
R(Eの息子・中学生)   陸 ライアン(ジュニア)
D(大工→建築士)   大吾  デイビッド
U(バーテンダー)   梅吉  ウニー
P(元・カメラ屋)   三平  ピート

【その他の村】
◎(Rの同級生)     介人   カイト
$(Rの同級生)     透    トール
 
【草切村】
J(プロボクサー → インストラクター) 純  ジャック
ダズン(←元不良グループ名)
M(ダズンの元ヘッド)   正道  マックス
N(Mの父・N組の棟梁)    紀道  ニック

 

この話は、以下の①と②の続編です。

 

 

 

 

 

 

 

 

では、どうぞ。↓

 

見えない連携(3)

 

 

◎が連れていかれたのは、草切村のN組でした。

 

 

「棟梁、新入りです。◎です」

◎を捕まえている男たちが言います。

 

振り向いたのは、N組と書かれた法被を着たN。

「またか。おいM、頼むぞ」

 

「任せとけ、親父」

Nと同じ服装のMが現れました。


◎を両脇で押さえているのは、

元不良グループ・ダズンのメンバーたちで、

Mはかつてはそのヘッドでした。

 

Mはしゃがみ込んで、◎に顔を近づけました。

「もうお前の面は割れてんだ。逃げれねえぞ。

 しばらくうちで働いてもらうからな。

 放課後、死ぬ気でここへ走ってこい。

 ビシビシ鍛えるからな。覚悟しろ」

 

「働くって・・・」

 

「バイトだ。大工の下っ端をやれ。金は払う」

 

「そ、そんなの、やってられるかよ!

 オレは『剃刀E』の息子のダチだぞ!

 こんなことしていいと、思ってんのかよ?!」

 

Mは懐から携帯電話を取り出し、

◎の前で電話を掛けました。

 

「あ、Eさんですか。Mです。お久しぶりですー。

 ◎ってガキ、預かってます。

 ・・・ええ。こっちでやっときますんで。

 はい、じゃあ、また」

 

呆然とする◎。

 

電話を切ったMが、にやりと笑いました。

「お好きにどうぞ、ってさ」

 

元ダズンのメンバーたちも、とうとう笑い出しました。

「よりによって、Eさんの名前を使うとはな」

「いい度胸してるよな。わははは」

「俺たちだって、束になっても無理だったもんな」

 

M「この辺のガラの悪い奴らはみんな、

 Eさんに世話になってんだよ。

 ・・・ほら、箒持て」

 

Mの言葉に、◎は、がっくりとうなだれました。

 

 

Mからの携帯電話を切ったEの横で、

村民会議の打ち合わせをしていた村人の一人が

「何かあったんですか?」

と尋ねると、Eはわずかに口元をゆるめて、

「いや、別に」と言いました。

 

 

その後、放課後のチャイムが鳴ると、

◎が全速力で校門を出て行くようになりました。

 

教室の窓から見ていた$が、

日直で黒板を消していたRに言いました。

 

$「◎ってさ、毎日、どこ行くんだろうね?」

R「さあ?用があるんじゃない?」

 

 

子どもたちには見えない、

ゆるやかなつながりの風が、

初夏の校舎の上を、静かに通り過ぎていきました。

 

 

 

(「見えない連携」終)