小説です。「百輪村物語」の番外編です。

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番外編は(番:通し番号〇)にします。

 

 

小説と漫画をまとめた目次はこちら→ 百輪村物語 目次

 

 

登場人物名は、アルファベット表記です。

(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)

 

 
【今回の登場人物たち】
R(EとKの息子)    陸 ライアン(ジュニア)
E(村長&小学校教諭)  栄一  エデン
K(理容師・Eの妻)   加恵  カーラ
 
◎(Rの同級生)     介人   カイト
$(Rの同級生)     透    トール
#(Rの同級生)     翔太   シュート 
◆(Rの同級生)     大司   ダイン

 

 

 

前話「見えない比較」の続きの話です。

 

 

 

 

では、どうぞ。↓

 

見えない放課後(2)

 

 

放課後になってRが教室を出ようとすると、

また◎が近づいてきました。

 

「ジュニア、ゲーセン行こうぜ」

「悪いけど、パスするよ。僕、お金持ってないし」

「全部、おごるから。なあ、いいじゃん」

「・・・ちょ、ちょっと」

 

◎の大きな体がRを包むようにして歩き始めるので、

押されるようにRは連れていかれました。

 

 

◎の住む村のはずれに、

少し大きめのゲームセンターがありました。

 

◎はまるで自宅のように気軽に入っていきます。

 

Rは初めての場所だったので、

落ち着かず、きょろきょろしました。

 

◎は近くにいた高学年の小学生の集団に近づくと、

「おい」と声掛けしました。

 

すると、子どもたちは

「あ」という顔をして小銭を◎に渡し、去りました。

 

Rは目を丸くしました。

 

「どういうこと?」

「あいつら、オレの財布」

「ちょ、待って!そんなの、良くないよ。僕、帰る」

「いいじゃん。気にすんなよ。お前からは取らないから」

「気にするよ!」

 

Rは鞄から紙袋を取り出し、◎に差し出しました。

 

「マンガも、もういい。じゃあね」

「なんだよ。持ってけよ」

「もう僕に近づかないで」

 

ふたりで紙袋を押しつけ合っていると、

今度は高校生くらいの男子2人が現れました。

 

「おい、◎ってお前か?」

「は?それがどうした。なんだよ、てめえら」

「お前、この辺に来たばかりの癖に調子に乗りやがって。

 でかい面してんじゃねえよ。厨房のくせに。

 いっぺん〆ねえとわからねえのか」

「ふん。なんだよ、やんのか」

 

体の大きな集団を前にして、Rは足ががくがくし、

自分の鞄を抱え逃げようとしました。

 

が、◎がRの学生服を掴んで抱き寄せ、言いました。

 

「オレはなあ、『剃刀のE』の息子とダチなんだぞ。 

 手え出すと、どうなってんのかわかってんだろうな」

 

高校生たちは、Rの顔を見てハッとし、

「おい、ホントにジュニアだ」とぼそりと言い、

「ちっ」と舌打ちして、◎をにらみながら去りました。

 

◎は、「ざまあねえや、な」とRに笑いかけました。

 

Rは「ど、どういうこと」と震える声で尋ねます。

 

「オレはお前を助ける。お前はオレを助ける。

 ウィンウィン」

 

Rは口をへの字にし、泣きそうになりながらも言いました。

 

「ウィンウィンなもんか。

 父さんのことをダシにしてるだけじゃないか!

 君は僕の友だちなんかじゃないよ。知らないよ」

 

◎はふうと息をついて、ニヤニヤしました。

 

「じゃあ、お前はそう思っててもいいよ。

 オレは、お前のこと、ダチだと思ってる。じゃあな」

 

◎が帰っていく背中を、Rは呆然と見送りました。

(ど、どうしたらいいの?父さん・・・)

 

 

 

(続く)