登場人物名は、アルファベット表記です。
(和名と英名の、覚えやすい方で読んでください)
R(EとKの息子) 陸 ライアン(ジュニア)E(村長&小学校教諭) 栄一 エデンK(理容師・Eの妻) 加恵 カーラ◎(Rの同級生) 介人 カイト$(Rの同級生) 透 トール#(Rの同級生) 翔太 シュート◆(Rの同級生) 大司 ダイン
前話「見えない比較」の続きの話です。
では、どうぞ。↓
見えない放課後(1)
4つの村の子どもたちが通う公立中学。
放課後、百輪村の村長Eの息子Rが
下駄箱へ向かおうとしたとき、
先日Rを殴った同級生の◎が、また声をかけてきました。
◎は別の村の子どもで、体が大人のように大きいです。
「おーい、ジュニアー」
中肉中背のRは、胸の奥がざわっとしつつも、
足を止め、ゆっくりと後ろを振りかえりました。
が、◎は親し気にRの肩につかまります。
「そう警戒するなよ。もうお金の話はしないからさ」
「・・・」
「この間はごめんな。ホント、あやまるから」
「・・・なんか用?」
「俺ら、ダチにならないか?嫌なことがあったら、
オレが守ってやるからさ」
「守る?別にいいよ」
「遠慮するなって。なあ。握手しよ。仲・直・り、って」
「・・・」
◎がRの手を取って、ぶんぶん振りました。
「このマンガ、超、面白いんだぜ?知ってる?」
◎は小脇に挟んでいた紙袋からマンガを取り出し、
Rに差し出します。
「読んだことない。・・・けど・・・いいよ」
「読んでみ?マジで笑えるやつだって!貸すから。なぁ?」
「・・・うん」
Rは半ば強引に紙袋ごと押しつけられ、
仕方なく家に持ち帰りました。
自室の学習机に紙袋を置き、じっと見つめます。
(なんか、モヤモヤするなあ)
Rの心境は複雑でした。
一応、内容を読んでみました。
ちょっと下品なギャグマンガでした。
(うーん・・・明日、返そう)
Rはため息をつき、マンガを紙袋に戻し、鞄に入れました。
翌日の昼休み。
Rは◎の席に行き、紙袋を出しました。
「ありがとう。これ、返す」
「どうだった?今日、2巻持ってきた」
「えっと、もう、この1巻でいいっていうか」
「そう?こういうの嫌い?もっとアクション的なのが良い?
それともエッチなのにする?」
「・・・なんでそんなに貸そうとするの?」
「だからーぁ、ジュニアとダチになりたいんだってばー」
Rは眉を八の字にして、さらに困惑するのでした。
結局、2巻の紙袋を持って、Rは自分の席に戻りました。
すると学級委員の女の子がやってきて、
そっと小声で言いました。
「ちょっとR君。◎に近づくの、やめなさいよ」
「え」
「あの子、去年うちの村に来たんだけど、評判悪いの」
「そうなの?」
「お金取られたりしてない?乱暴されてない?」
「・・・もうしないって言ってるけど?」
「なにそれ。信用しちゃだめよ」
「・・・」
学級委員が去った後、Rは窓の外を見て、
不安になっている心を静めました。
「マイペース、マイペース」
そうつぶやいて、何度も息を整えました。
家に帰ったあと、Rは父親のEに相談してみました。
Eは右手をおでこに手を当て、考えています。
「父さん?」
「・・・ちょっとデジャヴがあって。ふふ。こっちの話だ。
それより、Rはどうする?」
「どうって、・・・わかんなくて」
「これからも話が聞きたいな。Rのやり方を知りたい」
「えー?」
Rの眉はますます八の字になりました。
(続く)
