サルビアアズレア

 実際に、介護申請や介護認定など、自分がやるというのは初めて。しかも、再婚してからというもの、家計はもちろん、全ての事を夫が判断して決めていたので、そういう意味でも夫を頼らずやらなくてはならない事が本当に不安だった。しかも夫は、まだまだ大丈夫という気持ちも強く、現実を受け入れ難いという状況もあった。

 初めてケアマネージャーさんが来られた時、聞かれるままに、夫の病状と今後の自宅での介護支援について相談したら、最初の一言が次のようなものだった。

「あくまで利用者さんの自立支援の為にしか使えません。
 家族を助けるための物ではないです。」
「えっ?」
 そのまま言葉を失った。自宅看取りも視野にいれて、今後の在宅医療について、もっと相談できるのかと思っていた私は、頭が真っ白になった。

 また、ケアマネさん(男性)は、夫と2人だけで直接話したいと言われ寝室へ入って優に1時間越えの聞き取り調査。
「悪いけど今後はお前…対応してくれるか。」
と、あきれた様子で言いう。よく聞けば、「自分を語れ」と言われたらしい。夫にすれば、かなり失礼な印象を受けたようで、私も同じように感じたなんて、とても言えず。
 
 とりあえず、包括支援センターへもう一度出向き、あった事実をそのまま伝えた上で、私も、今後相談したり、うまくやっていける気がしないことを伝えた。
後日、所長と仰る方から謝罪の連絡があり、女性のケアマネさんに交代していただく…という事も体験したのだった。

 そしてやっと、面談などを経て、介護認定があり、訪問看護と訪問介護をお願いできる状態になったのが、4クール目を受けた後の、あの酷い下痢の時だった。

 4クール目直後の通院日(2022.7月)、夫は入院を拒否して自宅に帰ることになったが、自宅で点滴を受けられるように、主治医が提案してくれ、急遽、2日後には、訪問看護に来ていただくことになった。
 毎日下痢とうわ言。お腹や背中を撫でながら、夫と思い出を語る静寂の空間。食べられず、眠れず…あのまま2人きりの生活をしていたら、どうなっていただろうと思う。

 もちろんそれまで夫婦二人きりの気楽な生活だったのだから、他人が家の中に入ることに、私も抵抗があったし、夫は尚更だったと思う。でも、私の状態や、仕事もこのまま辞めるしかないと言ったこともあり、今後の生活の為には、誰かの支援が必要だと、夫も思ったのだと思う。

 看護師さんが週1回でも自宅に来てくれるというのは、本当に心強かった。またそれと共に、新しいケアマネさんからも仕事復帰した方が良いと勧めてもらい、訪問介護の方にも、週2回入ってもらえるようになった。

 こうして体制が整って来たことで、私も、仕事の復帰日を決めることができた。

 「(具合の悪い人が家族にいて)いつ休むか分からないような人は辞めて欲しい」と言っていた同僚が、コロナ感染。出勤出来なくなった事で、私は復帰する日、ストレスなく出勤することができたりもした。



 その頃のリアルな気持ちが下の記事です。