サッカーをテレビで楽しみたい! -15ページ目

Tottenham v Man.U

Tottenham v Man.U(2011/1/16)を見て思ったことを書いていきます。


・解説者の話す回数が多い


解説者にはあまり話をしすぎないでほしいと思います。解説者の話というのは基本的に画面上のプレーと連動しないので、試合への集中力が途切れてしまうからです。



・実況者が自分の印象について解説者に同意を求める


この試合で実況者は、プレーや選手に対する自分の印象・感想について解説者に何度か同意を求めていました。これも止めてほしいと思います。理由は2つあります。
1つ目は解説者が否定しない場合、「そうですね」とだけ言って話が終わってしまうからです。これでは解説者がいる意味がありません。印象、感想、意見などは解説者に任せたほうがいいと思います。
2つ目は解説者が実況者の意見を否定した場合、解説者が意見を言い、それに実況者が応答してまた解説者が話して・・・という風にやり取りが続き、実況できなくなってしまうからです。



・解説者が話す対象は実況者


この試合に限ったことではありませんが、解説者は実況者に向かって話をすることが多いです。それ自体は悪くないと思います。ただ解説者の発言にに対して実況者が応答し、また解説者が話すという流れになると、実況がおろそかになってしまいます。



・実況者が画面(試合の流れ)を無視して話し続けることがあった


時々ですが、実況者がプレーを伝えずに話したいことを話すという時間がありました。DF同士でパス交換しているときなどは問題ないと思いますが、相手ゴールに迫る場面でもそれを伝えずに関係のない話を続けることがあったので、止めてほしいと思いました。
ただこの試合の解説者は自分が話すべき時とそうでない時を見極めることができる人だったので、それが救いではありましたが



・実況者と解説者が順不同で話していた


プレー中は実況、その後に解説という順序ではなく、2人が話したいように話すという場面がありました。聞いている側としては、見ていること(試合)と聞いていること(2人の会話)がずれてしまっていて困りました。話を理解しようとすると試合に集中できなくなるからです。2人はそれぞれの話す場面をきっちり分担してほしいと思いました。

野球中継の影響

前回紹介した書籍にアナウンサーの講演が収録されています。その中に興味深い部分があったので紹介します。

このアナウンサーの働くテレビ局では、男性アナウンサーは入社後の研修を受けた後、まず野球の実況の練習をするそうです。練習の内容は「ラジオと一緒」で、「すべての描写をする」というもの。実際にスタジアムへ行って野球を見ながら練習したということです。(このアナウンサーは相撲も平行して練習していたそうです。)


ここで分かるのは、(少なくともこの局では)野球が実況の下敷きになっていることです。したがって、サッカーを中継する際にその影響が現れることが考えられます。


「描写をする」ことに関してはどのスポーツの実況でも同じだと思いますが、その方法はスポーツによって変わります。野球とサッカーの特徴は大きく違いますから、実況の方法も異なるはずです。


このことで思い当たるのは、実況者と解説者のやり取りです。野球中継を見ていると、よく実況者と解説者が会話していることがあります。ある話題について、実況とも解説とも言えないことを話している場面です。


これができるのは、野球がセットプレーの多いスポーツだからだと思います。1つ1つのプレーが独立しているので、その合間に話をすることができるのです。


野球はそれで良いと思いますが、サッカーではどうでしょうか。サッカーの特徴は、野球とは反対にプレーがあまり途切れないことです。つまり、会話する時間がありません。


ところが、実際のサッカー中継でもよく会話がなされているように思います。この点は野球中継ととても似ており、その影響を受けているのかもしれません。いずれにしても、会話が多くなされるこの方法では、サッカーはうまく中継できないと僕は考えます。


野球の実況は練習するがサッカーはしない、なんてことはないと思いますが、野球的な実況がサッカー中継でもよく見受けられます。この書籍からその理由の1つが見えたような気がします。


参考書籍(再掲):篠田潤子著 「スポーツとメディア メディア・スポーツで働くということ―スポーツ社会心理学」(ブレーン出版、2007年)

実況の効果

今回も実況について。
テレビを見ている人が試合に集中するために、実況は欠かせないと思い
ます。実況の良し悪しがテレビ中継の成功の鍵を握っていると言っても良いでしょう。


実況によって視聴者が試合を面白く感じることを実験で明らかにした研究が、「スポーツとメディア メディア・スポーツで働くということ―スポーツ社会心理学」(ブレーン出版、2007年)の中で紹介されています


簡単にその研究の内容を紹介します。(詳しく知りたい方は書籍をご参照ください。)

この研究は1970年代にアメリカで行われたものです。実験では、アイスホッケーの試合から「激しい場面」と「ノーマルな場面」として選ばれた映像が用いられました。被験者は4つのグループに分けられ、煽るような実況つきのノーマルな場面、無音のノーマルな場面、平穏な実況つきの激しい場面、無音の激しい場面のどれか1つを見て評価する形式でした。


この実験の結果、「平穏な実況の激しい場面」より、「煽るような実況のノーマルな場面」のほうが高い評価を得ました。ノーマルな場面では実況があるほうが無音より評価が高く、激しい場面では平穏な実況よりは無音のほうが動きを感じると評価されました。


大雑把に言ってしまえば、試合展開があまりない場面でもやや激しく実況するほうが見ている人は面白く感じるということです。逆に、激しい場面で冷静な実況をしてしまうと動きを感じにくいのです。


あまりに感情的な実況は批判されやすいものです。(「ゴール!」と連呼しすぎて非難された実況者もいました。)ただ、この実験結果によれば激しい場面での冷静な実況もよくないようです。試合展開がないときは冷静に、激しいときは激しくというように、試合の内容に合わせて実況するのがよいのだと思います。


参考書籍:篠田潤子著 「スポーツとメディア メディア・スポーツで働くということ―スポーツ社会心理学」(ブレーン出版、2007年)