以前、高須克弥院長が骨盤矯正を否定されていたことを思い出しました。
私は医療や整体は専門外ですが、人体構造上、骨盤そのものは開いたり閉じたりしないものだと思っています。
数ミリ単位で動くことはありそうですが、開きっぱなし、縮みっぱなしということは無いでしょう。
骨盤を支える靭帯が緩んだら大変です。
歩行もままならなくなるのではないしょうか？
ただ、巷で言うところの骨盤矯正とは、
「骨盤の角度の矯正」
だと思います。
骨盤の角度自体は、左右差があることもあれば、前傾後傾することがあります。
それ自体は当たり前ですね。
そして、骨盤の左右のバランスが悪い、前傾過ぎる（反り腰）、後傾過ぎる（猫背）状態を、矯正することで、姿勢が良くなったり、結果として代謝が良くなりダイエットに繋がるということは、充分考えられることです。
つまり、骨盤という局所そのものを矯正することは構造的に不可能ですが、骨盤の向きを矯正することは可能です。
もし骨盤矯正と言って、骨盤そのものをベルトで締めて矯正（変形させる）しようとする場合があるとしたら、高須院長の言う通り間違っていると思います。
おそらく、骨盤矯正については、言葉へ認識違いがもたらしたのだと思います。
私も以前、言葉への認識違いによって、話が噛み合わなかった経験がありました。
以前、私は「筋肉は伸びない」という主張をしたら、否定をした人がいました。
「筋肉が伸びない」と主張したのに、なぜか「『筋弾性は無い』は間違っている！」と反論されたのです。
私は筋肉に筋弾性が無いとは一言も言っていないのですが、何らかの誤解をしたのでしょう。
私は「筋繊維は運動時に物理的に長くならない（例：10センチ→11センチにならない）」という意味で主張しました。
それを「筋肉が伸びない→ゴムのような性質ではない→筋肉に弾性が無い」と解釈したのかもしれません。
またある時は「足首回しの是非」について認識違いがありました。
「足首回しは運動前に良くない」「足首が緩んで怪我をする、パフォーマンスが落ちる」
という意見があり、私は賛同していました。
しかし、
「足首の靭帯が足首回し程度で緩まない」
と認識した人がいました。私は、
「緩む＝筋収縮反応が鈍る」
と解釈したのですが、その人は、
「緩む＝靭帯が緩む」
と解釈したようです。
今話題の
「肩甲骨はがし」
も正確な表現ではありません。
肩甲骨がはがれる訳無いのですから。
ただ多くの場合、ニュアンスとして意味は伝わります。
「肩甲骨がはがれる訳無い！」
と怒る人はほとんどいないでしょう。
スポーツ等の指導では
「○○筋を伸ばします～」
という表現がありますが、「伸びているような感じ」を厳密に言うと、
「伸張性収縮」
という現象です。つまり、
「筋肉は縮もうとしているが、動作は伸びている。この時に『伸びている』と感じている」
のですが、毎回指導でそこまで厳密に語っていては非効率です。
このように、人に伝える際は、言葉を省いたり、抽象化することが多々あります。
が、その為に、
「誤解をする・させる」
ことが起きる場合があります。
「誤解をしない・させない」
ようにするには、知識云々に加え、文脈力を養う必要があると思います。
私も、本を書いたり、ブログを書いたりしていますが、同じ言葉や文章でも、受け取り方は千差万別だと感じています。
同じ内容でも絶賛されることもあれば、酷評されることもあります。
思うに解釈の違いは、受け手が文系タイプか、理系タイプかの違いも大きいようにも感じます。
理系の知識（解剖学や物理学等）を一生懸命勉強してきた人は、言葉の正確性への拘りが強い傾向にあると感じています
逆に実力があるが、理系の知識が乏しい人は長嶋監督風（例「スーッと来た球をガーンと打つ」）な伝え方になりがちです。
長嶋監督風の伝え方が向いている人もいれば、解剖学や物理学の用語を使った伝え方が向いている人もいるでしょう。
文系タイプ、理系タイプ、どっちが良い悪いはありません。
学会に提出する論文では抽象的な表現はダメですが、人に伝える際は、その人の理解力や場によって使い分けることが大切だと思います。
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