昨年の夏に見た夢です。
そこはおそらく、大学の実験室でした。
机が整然と並び、教壇の前には一人の教授が立っています。何かの特別講義のようでした。教授の説明は簡潔でした。
「本日行うのは、反射神経の実験です」
そこで一拍、間がありました。
「今から皆さんの眼球に、釘を刺します」
刺したらどうなるかは、考えるまでもないのに。
周りの学生たちはどういう反応をしているのだろうと思い、私は室内を見回しました。
学生たちは静かに立ち上がり、順番に教授の前へ並び始めていました。誰も教授の言葉に疑問を持たず、抗議もしていません。ただ、無感情に整列していました。
まじか、こいつら。私は痛いのはごめんです。
私は席を立ち、できるだけ目立たないよう小走りで実験室を飛び出しました。
階段を駆け下りる途中、後ろから激しい足音とともに「待ちなさい」という声が聞こえましたが、私は振り返りませんでした。いや、待つわけねーだろ。私に何のメリットもないのに。
外へ飛び出したものの、背後からはすでに教授と助手の足音が迫っていました。いや、勘弁してよ。やけに足が速い。白髪頭に瓶底メガネのおじいちゃんだから大したことないだろうと見くびっていた私が甘かった。このまま走り続けても体力が持たないのは明白です。
私は最終手段を使うことにしました。その場に立ち止まり、強く目を閉じました。
目に釘を刺される前に、この世界から強制離脱してやろうと、ただ「目を覚ますこと」だけに、すべての意識を集中させました。
次に目を開けると、そこは寝室の天井でした。
あの知らない実験室の風景は、もうどこにもありませんでした。