今週見た夢です。


「きみたち、明日から一週間、中華料理屋さんにバイトに行ってくれるかな?」

上司からの急な命令に私は困惑しつつも、渡された地図を頼りに、同僚と共にとある雑居ビルの中にある中華料理店を訪れました。


明日から一週間、エアコンの入れ替え工事で事務所が使えなくなるんだよ。そう言った上司の困ったような笑顔が脳裏に浮かびます。

とはいえ、さすがに業種が違いすぎません??他のみんなはどこで働くのですか??と聞きたいことはいくつもありましたが、この機会に得意料理を増やすのも悪くありません。面白そうなので、特に反論せず従うことにしました。


お店に入ると、恰幅の良い店長らしきおじさんと、ウェーブのかかった黒髪を後ろでひとつに結んだ中年女性が出迎えてくれました。二人とも、胸の辺りにお店のロゴが印刷された、白いエプロンを身に付けています。

「あなたたち、明日からバイトの?」

女性が笑顔で尋ねてきました。

「はい!よろしくお願いしまあす」

ともかく第一印象が肝心です。私が声を張り上げて答えると、彼女はおじさんと共に、私たちをそのまま厨房へと招き入れてくれました。


おじさんは早速大きな鍋を振り、手際よく料理の説明を始めました。

中華料理人が使っているのだから、本来であれば「中華鍋」と呼びたいところですが、その形状は私の知っているものとはずいぶん異なっていました。学校の給食でおかずを入れるような、底の深い鍋に近い形をしています。どう見ても、具材を混ぜるには不向きに思えました。


「ほら、味見だよ」

差し出されたのは、見たことのない肉料理でした。口に運ぶと、中華というよりは「肉じゃが」に近い、甘い風味が広がります。

「ありがとうございます!これ、何のお肉ですか?」

「ダメだよ。もっと面白いコメントをしなきゃ」

おじさんは笑って、味見のおかわりをくれました。厳しいな、と笑いながら横目で同僚を見ると、彼女は一言も発さず、ただ黙々とその料理を口に運んでいました。


私はおかわりの二杯目を完食し、「明日からよろしくお願いします」と改めて挨拶を交わしました。

そして、謎の肉料理であたたまった身体を冷まそうと、同僚と共にビルの屋上へと向かいました。外はすっかり暗くなっていました。

「さっきのおじさんたちのエプロン、見た?」

私は寡黙な同僚に話しかけました。

「見てない」彼女は短く答えます。

「料理人なのに、新品みたいに真っ白だったよ。あの底の深い鍋は、油を跳ねにくくさせるための工夫だったりして」


ビルの屋上に涼しい夜風が吹きました。ふと遠くの夜空を見上げると、鮮やかな花火が打ち上がっていました。

「後ろ、うしろ!!見て!花火だよ」

笑顔で同僚に呼びかけましたが、彼女は振り返りもせず、淡々とした声で返しました。

「へえ。あまり興味ない」

「ええ??そうなの?」

私はあまり気にせず、花火をよく見ようと、屋上の柵のギリギリまで身を乗り出しました。


「緑色の花火は、何の化学反応だったっけ?」

ドォーン、ドォーンと大きな音が何発も聞こえてきます。混雑しているであろう花火大会の会場よりも、ここのほうが断然特等席かもしれません。

「思い出した。バリウムだ!!」

私は花火の轟音に負けないよう、空に向かって声を張り上げました。


そこで目が覚めました。