鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2024年7月29日号)

*在日米軍、統合司令部新設へ

 昨日、都内で日米外交防衛閣僚会合いわゆる日米2+2が開かれた。上川外相、木原防衛相、ブリンケン国務長官、オースチン国防長官が一堂に会した会談で、あらたに在日米軍に統合司令部が設置されることが決まった。

 今年度末に自衛隊に統合作戦司令部が設置されることに対応した措置だと言う。これについてオースチンは6月3日、シンガポールで在日米軍司令官の階級を大将とすると明言している。

 

 自衛隊の統合作戦司令官の階級は中将だから、日本の方が、階級が下になる。つまり在日米軍統合司令官と自衛隊統合作戦司令官が共同作戦の調整をした場合、対等な立場での調整は不可能になり、事実上自衛隊は米軍の指揮下に入る訳である。

この問題については4月8日号「統合作戦司令部は米軍の手先?」で追及したが、また同じ結論を繰り返さなければならない様だ。

 1970年に、三島由紀夫は、自衛隊に向けた檄文で次のように述べて自決した。「諸官に与えられる任務は、悲しいかな、最終的には日本からは来ないのだ」「アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本の国土を守ることを喜ばないのは自明である。あと二年のうちに自主性を回復せねば、左派のいう如く、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終わるであろう」

統合作戦司令部は米軍の手先? | 鍛冶俊樹公式ブログ (ameblo.jp)

 

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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2024年7月22日号)

*バイデン撤退後の米国

 バイデン大統領が11月の米大統領選への出馬を取りやめた。現職の大統領が次期大統領選への出馬を取りやめるのは1968年のジョンソン大統領以来、56年ぶりの異例の事態である。

 当時のジョンソン政権もバイデン同様、民主党政権だったが、類似点はそればかりでない。60年代、ベトナム戦争は民主党のケネディ政権で始まり、続くジョンソン政権で拡大し、泥沼に陥った。

 米国内では反戦運動の嵐が吹き荒れ、本来、民主党支持である筈のマスコミや学生たちがジョンソンに批判の矢を浴びせかけたから、ジョンソン再選は危ぶまれていた。そこでジョンソンは健康上の理由で出馬を取りやめたのである。

 

 これは、アフガニスタン撤退で躓(つまづ)き、ウクライナとパレスチナで泥沼に陥り、学生たちの批判を浴び、認知症が疑われるバイデン現大統領の状態と、完全に重なる。ならば今後の推移も当時の推移と似るのではないか?

 1968年の大統領選に勝利した共和党のニクソンは、米軍をベトナムから撤退させることに成功し一時的に東南アジアに平和をもたらしたが、政治スキャンダルで失脚し、東南アジアは再び紛争の巷(ちまた)となった。

 

 共和党のトランプは、ウクライナとパレスチナの戦争を終わらせると公約しており、ゼレンスキーやネタニヤフもトランプの停戦交渉に期待を示し始めた。米国の政権が交代することにより停戦交渉が進展する例はしばしばあり、トランプは停戦を実現できるかもしれない。

 しかしニクソン同様、政治的スキャンダルで失脚する可能性も否定できず、その場合、世界は再び戦争の危機に連れ戻されるかもしれない。

 

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鍛冶俊樹の軍事ジャーナル

(2024年7月17日号)

*トランプの選挙公約

 トランプ銃撃を受けて、却って勢い付いている感のある米共和党だが、15日、トランプ出席の党大会で政策綱領が採択された。同日、トランプが共和党の次期大統領候補に正式指名されているから、この綱領は事実上、トランプの選挙公約と見て差し支えない。

 その外交・防衛政策を見ると「同盟国による共同防衛への投資の義務を確かなものとし、欧州への平和を取り戻すことで同盟を強化する」とある。

 

 分かりにくい表現だが、トランプ政権でEU大使を務めたソンドランド氏は「トランプ氏が望むのはヨーロッパが今よりも多くの軍事費を使うことだ。そうすることでアメリカが中国・北朝鮮・イランの封じ込めに集中できる。」と説明している。

 EU諸国は、トランプが大統領に返り咲いたら、米国はNATOから脱退するのではないか、と戦々恐々だが、次期トランプ政権の政策は欧州軽視、インド太平洋重視となるわけだから、それも無理もない。

 

 逆に日本にして見れば、安倍総理が提唱したインド太平洋戦略をトランプは継承し推進すると公約したのも同然であり、むしろ大歓迎というべきであろう。

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