鍛冶俊樹の軍事ジャーナル
(2026年3月8日号)
*サイバー戦争
2月28日に米イスラエル連合軍によるイラン攻撃が始まりイラン最高指導者ハメネイ師が殺害されたが、ほぼ同時刻にインターネットが遮断されイランは通信不能状態に陥った。これによりイラン革命防衛隊は戦略的判断が不能となり、周辺国にミサイルを撃ち込んで周辺国を敵に回してしまい、昨日謝罪に追い込まれた。
これはイランの戦略的致命傷と言っていい。軍事の格言に「初期の戦略的失敗を戦術的に補完することは出来ない」というのがあるが、その伝で行けば、イランの敗北は、このサイバー攻撃で確定したのである。
サイバー攻撃を正規戦と併用するハイブリット戦略は、現代戦では常識で、4年前ロシアもウクライナ侵攻を始めたときもサイバー攻撃が併用された。ウクライナがこのサイバー攻撃に堪えることが出来たのは、ウクライナ軍の防衛努力の賜物である。
2014年にロシア軍はウクライナ領のクリミア半島を占領してしまったが、このときもロシアはサイバー攻撃を併用した。ウクライナ軍は通信不能に陥りロシア軍の侵攻に対して、何の抵抗もできなかった。
これに懲りたウクライナ軍は、その後、米軍の支援を受けて強力なサイバー部隊を作り上げたのである。
さて昨今、云々される台湾有事だが、もし中国が台湾に侵攻するとしたら、当然サイバー攻撃も併用されよう。そして日本も中国のハイブリット攻撃の犠牲となろう。日本は、それに対処できるのか?
3月4日、笹川・読売グローバルフォーラム「サイバー攻撃から社会を守る」で元内閣官房副長官補の兼原信克氏が「日本のサイバーセキュリティは30年遅れ」と強調していた。日本にインターネットが普及して、ほぼ30年だから、この発言は、「日本のサイバーセキュリティはゼロ」と明言しているのに等しい。
ウクライナはクリミア半島を失って、サイバーセキュリティに目覚めた。日本も台湾を失ってサイバーセキュリティに目覚めることになろうか。
軍事ジャーナリスト鍛冶俊樹(かじとしき)
プロフィール・バックナンバー等は公式ブログを参照。下記をクリック
*このブログは、メールマガジンで配信されています。どなたでも無料で登録できます。下記をクリック
https://www.mag2.com/m/0001690052.html