南米12か国など1 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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2019年6月6日にYahoo!ブログから引っ越してきました。よろしくお願いします。

 世界地理シリーズの第5弾は、南米12か国を取り上げます。

 これまで全く取り上げてこなかったアフリカの一部を取り上げようかとも思ったのですが、アフリカは国の数のわりには破綻した国が多くて、今のところ特に魅力を感じる国がなかったので。

 まあ、南米の方が馴染みがありますからね。

 

 さて、南米は12か国あるので、6か国ずつ取り上げようかと思ったのですが、うまい切り分けができそうもないので、一括して取り上げる代わりに2回連載とします。

 また、記事名の「南米12か国など」の「など」も合わせて紹介します。

 それらは、次の国々と地域です。

  ブラジル Brazil、フランス領ギアナ French Guiana、スリナム Suriname、

  ガイアナ Guyana、ベネズエラ Venezuela、コロンビア Colombia、

  エクアドル Ecuador、ペルー Peru、ボリビア Bolivia、チリChile、

  パラグアイ Paraguay、アルゼンチン Argentina、ウルグアイ Uruguay

 この順序は、面積の一番広いブラジルから南米大陸を逆時計周りの順となっています。

 ただし、ボリビアとパラグアイの2国だけは海に面していない内陸国家なので、適当な位置に挿入しています。

 とりあえずいつも通り12か国+1地域の首都、面積等々を表の形で紹介します。

 数値データはグローバル・ノートに依拠しています。

 

   南米12か国などの首都、面積など

  国名   首都     面積     人口  一人当たりGDP  独立など   

 ブラジル  ブラジリア 850万km2 2億2,000万人 11,000ドル 1822年 ポルトガル

 仏領ギアナ カイエンヌ 9.1万km2     29万人    ―     ―

 スリナム  パラマリボ 16万km2    62万人    5,900ドル 1975年 オランダ

 ガイアナ ジョージタウン 21万km2   81万人  21,000ドル 1966年 英

 ベネズエラ カラカス  92万km2    2,900万人   3,700ドル 1830年 大コロンビア

 コロンビア ボゴダ   110万km2  5,200万人   7,000ドル 1810年 西

 エクアドル キト    28万km2    1,800万人   6,600ドル 1830年 大コロンビア

 ペルー   リマ    130万km2  3,400万人   7,900ドル 1921年 西

 ボリビア  ラパス(注) 110万km2  1,200万人    3,800ドル 1825年 西

 チリ    サンティアゴ 76万km2   2,000万人  17,000ドル 1818年 西

 パラグアイ アスンシオン 41万km2    690万人   5,800ドル 1811年 西

 アルゼンチン ブエノスアイレス 280万km2 4,700万人 14,000ドル 1816年 西

 ウルグアイ モンテビデオ 18万km2   340万人   22,000ドル 1825年 ブラジル

 (注) 仏はフランス、英はイギリス、西はスペインのそれぞれ略称。

 ボリビアの首都は実質的にはラパスだが、憲法上はスクレ。

 

 12か国は、面積、人口とも最大のブラジルから最小のスリナムまで規模に大きな開きがあります。

 特に、人口では3桁の違いがあります。

 

 南米大陸はこれらの12か国+1地域から構成されます。

 南米大陸の東側には大西洋、西側には太平洋が存在します。

 また、中米の地峡部により北米大陸と地続きになっています。

 南米のコロンビアと中米のパナマとが接しています。

 南米諸国のうちコロンビアだけは、大西洋と太平洋の両方に面しています。

 コロンビアから東側、南に向かって大西洋に面している国々を挙げていくと、

  ベネズエラ、ガイアナ、スリナム、仏領ギアナ、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチン

 の6か国+1地域となります。

 コロンビアから西側、南に向かって太平洋に面している国々を挙げていくと、

  エクアドル、ペルー、チリ

 の3か国となります。

 内陸国は、ボリビアとパラグアイの2か国です。

 アルゼンチン南部の大西洋沖にフォークランド諸島があり、こちらはイギリス領ですが、詳細は省略します。

 

 赤道が南米大陸の北部を通っており、赤道直下にある国は西からエクアドル、コロンビア、ブラジルとなります。

 南米大陸の約2/3が両回帰線の間にあり、熱帯性気候となっています。

 ただ、大陸南部は、温暖な地中海性気候から寒冷多雨な西岸海洋性気候となっています。

 なお、最南部はパタゴニアと呼ばれ、特にそのアルゼンチン側は強風と乾燥冷涼な気候により居住に適さない不毛の地となっています。

 

 南米大陸は、その西側、太平洋沿いに南北8500kmに及ぶアンデス山脈が走っています。

 アンデス山脈には5000~6000m級の高山が並び、最高峰は標高6961mのアコンカグアで、アルゼンチンにあります。

 アンデス山脈は、国では北からベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、アルゼンチン、チリの7か国にまたがっています。

 アンデス山脈の中腹部は低緯度でも温和な気候で、古代アンデス文明の時代から現代に至るまで多数の人口が居住しています。

 大陸東側には、北部のギアナ高地やブラジル高原があります。

 大陸を流れる大河としては、北から南にオリノコ川、アマゾン川、ラプラタ川があり、いずれも大西洋にそそぎます。

 オリノコ川の流域は大部分がベネズエラに属し、一部がコロンビアに属します。

 アマゾン川は世界最大最長級の河川とされ、特に流域面積は世界最大です。

 アマゾン川の流域は大部分がブラジルに属し、熱帯雨林となっています。

 ラプラタ川の流域は、ボリビア、パラグアイ、ブラジル、ウルグアイ、アルゼンチンにまたがっており、河口にはアルゼンチンの首都ブエノスアイレスとウルグアイの首都モンテビデオがあります。

 

 歴史的には、ペルーからボリビアにかけての2千~3千m級の高地でアンデス文明が栄え、15世紀後半にはアンデス文明最後の国家インカ帝国が最盛期を迎えました。

 しかし、1526年にピサロ兄弟に率いられたスペインの征服者たちがインカ帝国の領土に達しました。

 その後、インカ帝国の内紛、天然痘をはじめとする旧大陸の感染症の蔓延による人口激減などもあり、1572年にはインカ帝国はスペインにより完全に滅ぼされました。

 南米大陸の西部を中心に過半はスペイン領となりましたが、ブラジル北東部からポルトガル領が広がりました。

 スペインとポルトガルはともにラテン系の国家であり、ラテン系の言語と文化が深く浸透し、メキシコ、中米と並びラテンアメリカと呼ばれるようになりました。

 19世紀初頭、ナポレオン戦争によりヨーロッパが混乱すると、南米各地でも独立の機運が表面化し、スペイン領諸国は1820年代に相次いで独立しました。

 ブラジルも、ポルトガル王家の分裂により1822年にブラジル帝国としてポルトガルから独立しました。

 スペイン領諸国が独立する過程で、シモン・ボリーバルの指導の下、現在のベネズエラ、コロンビア、エクアドル、パナマの全域とガイアナ、ブラジル、ペルーの一部に相当する地域がまとまり、コロンビア共和国を名乗りました。

 この国は1819年~1831年の間存続しましたが、現在のコロンビア共和国と区別する意味で大コロンビア(Gran Colombia)と呼びます。

 しかし、各地方の分離傾向が強まり、大コロンビアはボリーバルの死後に解体しました。

 その後は、各国間で領土をめぐる戦争が多発し、また経済的には旧宗主国に代わりイギリスの強い影響下に置かれることになりました。

 1870年代以降、南米南部で政情が安定し、経済成長が起こりました。

 しかし、1930年代以降、南米各国では世界恐慌による一次産品価格の下落で経済危機に見舞われ、その混乱の中でポプリスモ(ポピュリスト)が各国で政権を握りました。

 それによる経済の混乱から、米国の支援を受けた軍部がクーデターを起こして実権を握って、新自由主義的経済政策をとるようになりました。

 ただ、軍部も経済危機を乗り越えることができず、1980年代以降南米各国では急速に民主化が進みました。

 

 人種・民族的には、先住民(現在はインディヘナと呼ばれることが多い)がスペインの征服期に感染症で激減し、スペイン、ポルトガルの入植者やアフリカからの黒人奴隷が大量に入りますが、それらの間で混血が進みました。

 その後、ヨーロッパ各国だけでなく日本を含むアジアからも移民を受け入れました。

 

 言語は、ほとんどの国でスペイン語が公用語ですが、先住民の言語もともに公用語となっている国も多いです。

 スペイン語以外が公用語の国は、ブラジルがポルトガル語、ガイアナが英語、スリナムがオランダ語、仏領ギアナがフランス語となっています。

 

 宗教は、ガイアナとスリナム以外はカトリックが大部分あるいはほとんどとなっています。

 

 

 ここからは、各国別にみていきます。

 

 ブラジルは、面積が 850万km2 で世界第5位、人口が 2億2千万人で世界第7位の大国です。

 政治・経済両面でその動向は注目されており、発展途上の大国がまとまったBRICS5か国にも含まれています。

 (BRICSはブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの頭文字から)

 アマゾン川流域には多様な生物を含む世界最大の熱帯雨林が存在します。

 ただ、近年は開発によりその破壊・砂漠化が進行して面積が縮小しつつあり、地球温暖化との関連で問題となっています。

 

 ブラジル最大の都市はサンパウロで人口 1,100万人、第2の都市がリオ・デ・ジャネイロで人口620万人、ともに南東部にあり、海に近い位置にあります。

 首都のブラジリアは1950・60年代に当時未開のブラジル高地に建設された計画都市であり、人口 350万人で第3の都市です。

 

 政治面では、1889年に帝政から共和制に移行しました。

 1930年~1945年まではヴァルガスによる独裁政治が続きました。

 その後は民主的選挙も行われましたが、重債務とインフレ加速による危機に直面して、米国の支援を受けたブランコ将軍によるクーデターが発生し、軍事独裁政権が1964年~1985年の間続きました。

 1985年に民政移管が実現しましたが、その後は親米反共、緊縮財政、市場中心、新自由主義を掲げる右派の支配が続き、汚職や腐敗の深刻化と格差拡大を招きました。

 これに対して、2003年には貧困・格差拡大に反発するルーラ大統領の左派政権が成立しました。

 その後は左派と右派の対立が続き、2024年現在は再びルーラ大統領の左派政権となっています。

 

 経済面では、長らく重債務国で、1983年には対外債務不履行(デフォルト)を宣言しましたが、それによりハイパーインフレーションが起こりました。

 1994年にドル・ペッグ制を導入し、ようやくハイパーインフレーションは収まりました。

 1999年の通貨危機も何とか乗り越え、経済の回復とともに2007年には債務国から債権国へと転じました。

 

 日本との関係も歴史的に深く、1908年以降日本人移民が行われました。

 現在の日系人は約200万人、一方近年出稼ぎなどでブラジルから日本に渡った日系ブラジル人は約20万人とされます。

 

(2024/9/28追加。検索に引っかからなかったので今では誰も言わなくなったのだと思いますが、20世紀末、ブラジルを「22世紀の超大国」と揶揄する文章を見かけました。国土面積、埋蔵資源、人口規模など非常に大きな潜在力があるにもかかわらず、20世紀から見た次世紀の21世紀、つまり予想できる未来では大きく発展することが全く見込めない残念な国という意味です。そういうことを言われなくなったのであれば、今はだいぶ改善されたということでしょう。)

 

 ------------------------ 続 く -----------------------

 

 

 ★ 猛暑が続きますが、空調に頼って何とか生き延びています。

 昨日今日は、渡辺明九段が藤井聡太王位に挑戦する王位戦七番勝負第3局ですが、藤井王位が苦戦しています。先手番で負けるのは痛手が大きいので、何とか2勝目を挙げてほしいです。

(19時20分過ぎ追加) 藤井王位何とか勝ちました。良かった良かった・・・

 

 ★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス211

   .i «lu mi kakne ti ma —sei .abu pensi— .i ja’o mi za’u re’u jdika lo ka barda li’u»

  「どうしてこんなことができちゃったんだろう?」とアリスは思いました。「あたし、また小さくなってるんだ」

 kakne : できる,x1は x2(事)が x3(条件)において;x1は 有能だ。-ka’e- [過程・制御過程]

 ja’o : つまり。論理・法則・体系に照らし合わせて必然的。心態詞(認識系)UI2類 <- javni 法則

 za’u re’u : また、再び

 jdika : 減る,x1は x2(性質)に関して x3(数量)ほど [構造・比較]

 

 引用符 lu と li’u に挟まれた引用文で、中に { sei .abu pensi } 「アリスは思う」が挿入されています。

 挿入句の前の文は、kakne 「できる」が主述語で、そのx1が mi 、x2が ti 「これ」、x3が疑問代項詞 ma です。

 挿入句の後の文は、jdika 「減る」が主述語で、そのx1が mi 、x2(性質)が { lo ka barda } 「大きさ」です。「大きさが減る」ので「小さくなる」となります。

 出典は、

 lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)