東大アタカマ天文台完成 | 宇宙とブラックホールのQ&A

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 ・標高5640mの高地に東京大学アタカマ天文台が完成

 アストロアーツ5月8日付記事、元は東京大学大学院理学系研究科です。

 標高5640mの高地に東京大学アタカマ天文台が完成 - アストロアーツ (astroarts.co.jp)

 

 概要>東京大学アタカマ天文台(TAO)がチリ・アタカマ砂漠の標高5640mの高地に完成した。来年から銀河や惑星の起源などに迫る科学観測が始まる。

 

 >東京大学アタカマ天文台(TAO; The University of Tokyo Atacama Observatory)計画では、26年前からチリのアタカマ砂漠にあるチャナントール山山頂(標高5640m)で、口径6.5mの大型赤外線望遠鏡であるTAO望遠鏡の建設を進めてきた。2012年に望遠鏡の製作が本格化し、2018年には天文台へつながる道路の拡張工事が始まった。

 

 チリのアタカマ砂漠というと、ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)が有名ですが、空気が薄く乾燥した高地は天文観測の最適地であるため、他にも観測施設が建設されています。

 東京大学アタカマ天文台(TAO)もその一つです。

 

 >2020年からの山頂施設の工事では新型コロナウイルス感染症蔓延といった困難にも見舞われたが、2023年に観測運用棟が完成した。そしてこの4月、エンクロージャを含めた山頂施設もできあがり、ついに天文台が完成した。来年から科学観測を開始する予定だ。

 

 エンクロージャというと、英国史の羊が人間をどうたら(トマス・モア)というエピソードを思い出しますが、この場合は日本語の「構内」くらいの意味かと。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の上の画像をご覧ください。

 チャナントール山山頂に完成した東京大学アタカマ天文台TAOの雄姿(?)です。

 

 >TAOは、高感度観測装置や遠隔操作、低圧環境での動作といった斬新な特徴を持ち、地上の望遠鏡としては最高地点となる場所から観測を行って銀河や惑星の起源などの解明に挑む。他に類を見ない高さからの観測は貴重なデータをもたらすと同時に、従事者にとって高山病のリスクもある。こうした高所にTAOを建設した意義について、研究者たちは次のように語る。

 

 「地上の望遠鏡としては最高地点となる場所」なのですか。

 ちなみに、ALMAは標高 5000 m という表記がほとんどで、細かい数字は見かけませんが、当然TAOの方がより高いわけですね。

 

 >「ダークエネルギーや原始的な宇宙で最初の星など宇宙の謎の解明には、TAOだけが可能にする方法で空を見る必要があります。高度5640mという赤外線観測に影響を与える大気中水分がほとんどない標高により、鮮明な視界が生み出されます。私たちが夢見た研究がまもなく現実のものとなります。これ以上の喜びはありません」(TAOプロジェクト研究責任者 東京大学名誉教授 吉井譲さん)。

 

 水蒸気は温室効果ガスであり、赤外線を吸収するわけです。

 

 >「この高さと乾燥した環境のおかげで、TAOは中間赤外線をはっきりと見ることができる世界で唯一の地上望遠鏡となります。この波長領域は、惑星形成領域を含む恒星周辺の環境を研究するのにひじょうに適しています」(東京大学大学院理学系研究科附属天文学教育研究センターアタカマ観測所所長 宮田隆志さん)。

 

 得意分野は中間赤外線というわけです。

 天文学の分野では、1~3 μm の波長の赤外線を中間赤外線といいます。

 

 ここで、アストロアーツ掲載の下の画像をご覧ください。

 チャナントール山です。

 TAOは標高5640mのチャナントール山山頂にあるとのことですが、草一本生えていない様子に驚きます。

 お茶を寿司屋の湯呑茶碗で一日に何杯も飲む私は、こんな所に行ったらあっという間に干からびそうです(^^; ナメクジかよ・・・

 

 >TAOは比較的利用しやすいため、これまでの望遠鏡よりも多くの若い天文学者が観測・研究の機会を得られるようになる。さらに、これまでにない方法で自分のアイディアを実現するチャンスも与えられる。「次世代の天文学者がTAOや他の地上望遠鏡、宇宙望遠鏡を使い、現在の理解を覆すような思いがけない発見をしたり、従来説明がつかなかったことを説明できるようになることを願っています」(東京大学 小西真広さん)。

 

 TAOの観測成果に大いに期待したいと思います。