『地球規模の気象学』1 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
『地球規模の気象学』3 | 宇宙とブラックホールのQ&A (ameblo.jp)
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ロスビー波は、コリオリの力が緯度によって異なることにより生じます。
コリオリの力の大きさは両極で1とすると、赤道ではゼロとなります。
一般に緯度をφとすれば sin φ に比例します。
(北極ではφ=90°なので sin 90°=1,赤道ではφ=0°なので sin 0°=0.)
ただ以下では、文章で分かりやすく解説します。
あなたは北極の真上に立っているとします。
あなたの身体は地球の自転と同じように上空から見て反時計方向にスピンしていますが、本人にはその自覚はなく、近くで観測している人から見てもスピンは分かりません。
次に、あなたは摩擦なしで(宙に浮いて)赤道まで移動するものとします。
赤道では、あなた自身から見てももともと赤道にいた人から見ても、あなたの身体は反時計方向にスピンしています。
ただ、地球の外から見ると、あなたの身体は北極にいたときも赤道に移動してきた後も同じようにスピンしています。
次に、あなたは赤道上に立っているとします。このときはスピンしてはいません。
今度は、摩擦なしで(宙に浮いて)北極まで移動するものとします。
すると、北極にもともといた人から見ると、彼/彼女が反時計回りに回転しているので、あなたの身体は時計回りにスピンしているように見えます。
この場合も、地球の外から見ると、変わっていません。
北極と赤道という両極端で考えてみましたが、その途中でも北半球で北(北極方向)に向かえば時計回りの方向に、南に(赤道方向)に向かえば反時計回りの方向にスピンが生じるあるいは加速します。
水や空気のような流体であっても同様です。
流体は、南北に移動すると渦的な成分を得るのです。
この渦的な成分、回転に相当する動きのことを地球の流体に関する物理学の言葉で「相対渦度(そうたいうずど)」といいます。
ロスビー波を考えるときには、この渦度という考え方が有用です。
ここで、1点における風の流れに対する相対渦度の厳密な定義を行います。
下図のように、点Pを取り囲む東西南北の正方形を考えます。
u2
┌ ・ ─→・
Δy│v1↑ p ↑v2
└ ・ ─→・u1
└──┘
Δx
u1, u2:風の東向き成分=西風成分
v1, v2:風の北向き成分=南風成分
上昇・下降する風は考えません。
風の速度を東西方向、南北方向の成分に分けて、渦の強さを求めます。
反時計回りを正、時計回りを負として、正負を考慮して引き算を行い、差を距離で割ります。
2点の速さの差 ÷ 2点の距離
東西距離、南北距離を限りなく小さくする(極限操作)と、点Pでの渦度となります。
式で書くと、
点Pでの渦度の大きさ = v2-v1 u2-u1
Δx Δy
= 南風成分の差 西風成分の差
東西距離 南北距離
上の式の第1項は南風成分による正の渦の強さ、第2項は西風成分による負の渦の強さを表し、正負の違いから両者の差をとっています。
渦度は、名前の通り渦のように回転していなくても、蛇行してさえいればゼロではなくなります。
流れが左に曲がっている箇所は渦度が正、右に曲がっている箇所は渦度が負となります。
さて、以上で定義された渦度は、相対渦度というものです。
空気塊の相対渦度は、その空気塊が北に動けば小さくなり、南に動けば大きくなります。
これは先にみたように、相対渦度に惑星の自転の効果が加わるためです。
しかし、両者の和は南北への動きに関わらず不変であることが分かっています。
相対渦度 +自転の効果 = 一定
そこで、自転の効果を「惑星渦度」、両者の和を「絶対渦度」と定義すれば、
相対渦度 +惑星渦度 = 絶対渦度 = 一定
という式が成り立ちます。
この式を「絶対渦度は保存する」あるいは「絶対渦度保存則」といいます。
これらの用語を使って改めて北上する空気塊について描写しましょう。
反時計回りが正の方向です。
北上するにつれて、惑星渦度は増加します。
絶対渦度が一定なので、その分、相対渦度は減少します。
もともと相対渦度がゼロだったのなら、北上によりどんどんマイナスが大きくなります。
つまり、時計回りの回転成分が増えていくのです。
渦度を使って、ロスビー波の動きを説明します。
ロスビー波が存在するとき、時間の経過とともにそれがどのように変化するかを見ていきましょう。
絶対渦度の保存がポイントです。
偏西風が北(北東)方向に蛇行している場所の東側には、時計回りのロスビー波が存在します。
偏西風が北に蛇行している西側には、反時計回りのロスビー波が存在します。
基本流を取り除いて考えると、その中間の空気は北に向けて移動します。
↺ ↑ ↻
これにより、中間の空気は惑星渦度が大きくなり相対渦度はマイナスになって、時計回りの力を受けます。
その結果、東側にある時計回りのロスビー波は、西に移動します。
偏西風が南(南東)方向に蛇行している場所の東側には、反時計回りのロスビー波が存在します。
偏西風が南に蛇行している西側には、時計回りのロスビー波が存在します。
基本流を取り除いて考えると、その中間の空気は南に向けて移動します。
↻ ↓ ↺
これにより、中間の空気は惑星渦度が小さくなり相対渦度はプラスになって、反時計回りの力を受けます。
その結果、東側にある反時計回りのロスビー波は、西に移動します。
以上のような仕組みで、ロスビー波は西に移動していきます。
しかし、現実にはロスビー波は西から東に向かう基本流と重なっています。
そのため、東から西に向かうロスビー波の速度と、西から東に向かう基本流の速度との大小関係が問題となります。
波の特徴は、「波長」「振幅」「振動数」で表されます。
今、注目すべきは、ロスビー波の波長です。
時計回り、反時計回りの渦が東西に並んでいるとすれば、時計回りの渦の中心から次の時計回りの渦の中心までの距離です。
偏西風が南北に蛇行していれば、北に蛇行した部分と、次に北に蛇行した部分との距離です。
波長に注目するのは、ロスビー波が西に向かうスピードは波長により異なり、波長が長いほど西に向かうスピードが速いからです。
(その理由は方程式による計算が必要とのことで示されておらず、結論だけ述べられています。)
北緯40度前後の中緯度だと、波長が 6 000 km のロスビー波が西にむかって進むスピードは秒速 15 m ほど、時速 50 km あまりで、自動車くらいのスピードです。
波長が 4 000 km のロスビー波は、秒速 6 m ほどで、自転車くらいのスピードしかありません。
一方、偏西風帯の風は速く、冬場だと、高度 5 000 m くらいで秒速 10 m 前後、高度 1万m くらいで秒速 20 m にもなります。
ロスビー波は、この基本流に乗っています。
私たちが暮らす中緯度では、春と秋に移動性高気圧が西から東へ移動していきます。
偏西風の蛇行、つまりロスビー波はこの移動性高気圧の動きに関係しています。
このロスビー波の波長は数千kmなので、西に進むスピードは上空で西から東に向かう基本流のスピードより遅く、東へ流されてしまいます。
このため、偏西風の蛇行は東に進み、移動性高気圧もそれに伴って西から東へ移動していくのです。
---------------------------- 続 く ---------------------------
最後の部分の偏西風の蛇行と移動性高気圧の関係については、次回もう少し詳しく書きます。
ただ、保坂さんの書き方がかなり分かりにくい、というより事柄自体が難しいのでしょうが、うまく要約できず苦戦しています。
★ 能登半島地震の被災地は、半島で交通の便が悪いこと、地震の発生が真冬に当たったことにより、これまでの大地震と比べてもより厳しい面があるようです。特に、輪島は観光と漁業で成り立っていたはずですが、これまでに例を見ない規模の海岸べりの大規模隆起で港湾と漁業施設の復旧の目途が立たないようです。そうなると、地域全体の復旧復興を見通すのが難しくなります。もう一つの産業である輪島塗も大打撃を受けたようですが、適切な支援があれば復旧の目途が立たないということはないと思います。
★★ 今日のロジバン 不思議の国のアリス151
.i uu doi cmalu jamfu ma do ba dasygau lo cutci jo’u lo smoka doi dirba
「ああ、かわいそうな足さん、これから誰が、靴やストッキングを履かせてあげるんだろう。
doi : 呼びかけ。「あのう」「ねえねえ」聞き手を特定しながら呼びかける。COI類が先行していれば不要。心態詞(呼応系)DOI類
cmalu : 小さい,x1は x2(性質)に関して x3(比較対象)の中で。x3は群れでも集合でもよい。-cma-
dasygau : 着せる/履かせる <- das+gau, das<- dasni, gau<- gasnu する
dasni : 着ている/履いている/被っている/身につけている,x1は x2を x3(着用様式)で。-das- 身に付けている状態を表す。{ co’a dasni } 「着る」、{ co’u dasni } 「脱ぐ」 x2は、taxfu と違って着用目的で作られたものでなくても構わない
cutci : 靴だ,x1は x2(足/ひづめ)を覆う/守るための x3(素材)の 。-cuc- ブーツ tupcutci、サンダル、下駄、草履も
smoka : 靴下/ストッキング/タイツだ,x1は x2(素材)の。-smo- 伸縮する履物全般
dirba : 貴重/大切,x1は x2(者)にとって。-dib-
感情的/精神的に重宝すること。x1は物だけでなく事や性質も
冒頭の { uu doi cmalu jamfu } は心態部ですが、英語原文は “Oh, my poor little feet, ” なので、cmalu 「小さい」は直訳による誤訳だと思います。
命題部の主述語は[未来][使役]の { ba dasygau } 「履かせる」で、そのx1が ma 「誰が」、x2が do 「あなたに」、x3が { lo cutci jo’u lo smoka } 「靴とストッキングを」です。
最後の { doi dirba } は再び心態部で、「大事なあなた!」です。
出典は、
lo selfri be la .alis. bei bu'u la selmacygu'e (lojban.org)